TPPそのものを徹底検証し、自由貿易の波から地域、暮らし、主権をどう守るか? ~徹底検証!秘密とウソのTPP―自由貿易の波をはねかえし、共に生きられる地域と経済を創りだそう!― 2013.6.23

記事公開日:2013.6.23取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・富田/奥松)

特集 TPP問題

 2013年6月23日(日)15時から、東京都千代田区外神田の昌平童夢館で、東京大学名誉教授の醍醐聡氏、TPPに反対する人々の運動の菅野芳秀氏、PARC事務局長で、先月ペルーで行われたTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)交渉会合に参加した内田聖子氏をパネリストに迎え、「徹底検証!秘密とウソのTPP―自由貿易の波をはねかえし、共に生きられる地域と経済を創りだそう!―」と題したシンポジウムが行われた。

■ハイライト

  • 内田聖子氏(PARC事務局長)「ペルー報告:交渉を牛耳る多国籍大企業と、交渉参加に猛進する日本政府」
  • 醍醐聰氏(東京大学名誉教授、TPP参加交渉からの即時脱退を求める大学教員の会 呼びかけ人)「日本の地域は、暮らしは、どう変わるのか―日本政府の『影響試算』を検証する」
  • 菅野芳秀氏(TPPに反対する人々の運動 共同代表、山形県長井市、農民)「地域自給圏を創り、TPPをはねかえそう!」
  • コーディネーター 大江正章氏(PARC共同代表、コモンズ代表)

 「私は、米国のNGO(非政府組織)パブリックシチズンのメンバーとして中に入ったが、TPPに関する謎も深まった」。この3月と5月、シンガポールとペルーで開かれたTPP交渉会合に参加した内田氏は、このように語った。「TPPは単なる貿易協定ではない。多国籍化した巨大企業によって牛耳られている。大半は米国勢だが、若干ながら日本勢も含まれている」と続けると、TPPは国と国の交渉だ、と思い込んでいる人が大勢いることに、懸念を表明。「それは大きな間違い」と訴えた。

 そして、ビジネス(利潤追求)が優先されるTPP交渉の実態を、次のように明かした。「ステークホルダー会議は、多国籍企業が、いろいろな国の交渉官を相手に行う商談の場と見ていい。耳をそばだてると『TPPが締結したら、あなたの国に投資しますよ。こんな商品を輸出しますよ』といった言葉が聞こえてくる。そこには、国連会議のような雰囲気はまったくない」。内田氏は「そんなTPPが、良いものに変容していくとは考えられない」と明言し、「米国政府は、国内の多国籍企業からプレッシャーを受けて、遅くとも年内には最終妥結に持ち込む構えだ」と述べた。

 内田氏は「このままでは、日本はメリットが得られないTPPに参加することになる」と力を込め、米国が作成した1000ページものTPPのテキストの存在に言及した。「日本はその中身を、参加が正式に決まるまでは一切見られない。7月23日に米国議会による承認が得られれば、多分その瞬間に、大量のテキストがメールで送られてくるのだろうが、全部英文だ。一体、何人がかりで読み解くというのか」と語り、米国政府が年内の最終妥結を目指している以上、「日本は、実質的に9月から参加するとして、多くても2回しか交渉の場に立てない。実に無謀な進め方だ」と、重ねて懸念を示した。

 醍醐氏は、「日本はTPPに参加すべき」と誤解している人を、正しい方向に導く際のポイント、という視点から議論を展開した。

(…会員ページにつづく)

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