<シリーズ特集! 福島第一原発事故から12年、進む事故への危機感と恐怖の記憶の風化! 他方、急激に高まる原発への武力攻撃リスク!>「低効果、遅すぎ、原発回帰、不透明」と「四拍子揃った」問題法案!~3.24 オンライン緊急記者会見:問題だらけの「GX推進法案」は廃案にすべき 2023.3.24

記事公開日:2023.3.28 テキスト
このエントリーをはてなブックマークに追加

(取材・文、木原匡康)

 原発回帰を進める「GX推進法案」の、衆議院・経済産業委員会での採決も予想された2023年3月24日、「オンライン緊急記者会見:問題だらけの『GX推進法案』は廃案にすべき」が開催された。主催は国際環境NGO FoE Japan。

 登壇者は、大島堅一氏(龍谷大学政策学部教授、原子力市民委員会 座長)、松久保肇氏(原子力資料情報室事務局長、経産省・原子力小委員会委員)、桃井貴子氏(気候ネットワーク 東京事務所長)、植田亮氏(Fridays For Future Japan)、芹ケ野瑠奈氏(日本若者協議会)、満田夏花氏(国際環境NGO FoE Japan事務局長)。

 大島氏は、「GX推進法」が謳う「GX推進移行債」「GX推進機構」「カーボンプライシング」(炭素に価格を付ける政策)が、経産省の裁量で運用される問題等を指摘。「化石燃料賦課金」「排出量取引」の設計が現実の排出量削減効果に乏しいなどと批判した。

 松久保氏も、「経産省がGXを牛耳」って、「脱炭素にならない既存政策」を推進すると批判。「低効果、遅すぎ、原発回帰、不透明」と「四拍子揃った」問題法案とした。IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の最新レポートで、原子力やCCS(CO2を地中に貯留する技術)はコストが高く、CO2削減効果が低い一方、太陽光や風力、省エネは安価で削減効果が高いとされ、「原子力に投じる余力はない」とした。

 桃井氏は、「GX推進法」は「大規模排出事業者保護法」「グリーンウォッシュ法」だと欺瞞性を批判。CO2削減率の低いアンモニア混焼やCCSを理由に、火力発電、特に石炭発電を延命するなと指摘。また、経産省の担当者が「CO2削減目標ではなく投資が大事」「明確なゴールは設定せず、企業と対話して政策をつくる」と述べており、「経産省に委ねるGXでは真の脱炭素は進まない」と指摘した。

 植田氏は、気候変動はすでに「気候危機」と呼ぶべきで、野心的行動が必要だが、GX政策にはそれが見られないと指摘。原発新設やグリーン水素より、技術が確立された太陽光・風力に投資すべきとした。

 芹ケ野氏は、GX法案は日本の未来を左右する分岐点だが、気候変動問題の解決にならず、「意味のない法案」を作った政府と、賛成する自民党や維新、後押しした企業に「大きな怒りを感じる」と批判。また、「アジア・ゼロエミッション共同体構想」として「意味のないCO2削減対策」をアジア諸国に輸出しようとするのが「許せない」とした。

 満田氏は、「GX推進法案を通してはいけない5つの理由」として、「1. 原子力産業を長期にわたり官民資金で支援 2. 経済産業省への白紙委任 3. 脱炭素基準、環境・人権配慮基準の不在 4. 将来世代を含めた国民が負担し、排出者を利する 5. 資金の流れが不透明、監視、検証ができない」をあげた。

 記者会見と同じ3月24日、立憲民主党は、GX推進法案への反対を決定した。「GX実現に向けた基本方針」で「次世代革新炉の開発・建設に取り組む」とされる点が、党の基本政策「原子力発電所の新設・増設は行わず」と相容れないのが理由である。

 また、GX推進法案の衆議院・経済産業委員会での採決は3月29日に持ちこされた。その前日、FoE Japanは、下記の院内集会を衆議院議員会館で開催予定である。

 なお、IWJは、「GX脱炭素電源法案」(束ね法案)をはじめとする原発の問題を、シリーズで取り上げている。

 下記記事では、運転期間延長に関する国会での論戦を、詳細に分析している。ぜひ御覧いただきたい!

 また、「束ね法案」の問題点については、以下の記事も、ぜひ御覧いただきたい。

※科学・技術の進歩なしに原発政策を大転換する岸田政権! 骨抜きにされる規制委!!「5つの束ね法案を認めれば再び原発過酷事故が起きる!」〜3.17 原発政策の大転換・運転期間延長を許すな!院内集会(学習会+記者会見) 2023.3.17

  • 日時 2023年3月24日(金)15:00~16:00
  • 場所 Zoom
  • 主催 国際環境NGO FoE Japan

IWJの取材活動は、皆さまのご支援により直接支えられています。ぜひ会員にご登録ください。

新規会員登録 カンパでご支援

関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です