2022年4月21日、自民党の安全保障調査会は、「敵基地攻撃能力」を「反撃能力」に言い換える提言をした。しかも、その攻撃対象を基地のみならず「指揮統制機能」に拡大した。
さらに防衛費は対GDP比2%へと増大。武器輸出も拡大する上、「必要最小限の自衛力」は空洞化。「専守防衛」を骨抜きに、露骨な軍拡をめざす内容だ。
元内閣官房副長官補の柳沢協二氏は、「敵国内への攻撃はミサイルの撃ち合いになる」と指摘。したがって「国民がミサイルの被害に耐えて抵抗の意志を持つことが根幹」であり、「その覚悟を語らなければ、抑止を語る意味はない」と批判している。
また、防衛費の「対GDP比2%」への増大については、従来、防衛省は当初予算のみ対象に「対GDP比1%以下」と公表してきた。しかし岸防衛大臣が「2%」の基準として認めたNATO基準で計算し直すと、既に1%を明確に突破していることが明らかになっている。
例えば2021年度の補正予算7000億円で、哨戒機「P1」や輸送機「C2」を買っても、防衛費には入らないことにされてしまう。
防衛予算の範囲さえ曖昧にしたまま、政府と与党は防衛費を増額し、専守防衛や武器輸出三原則をなし崩しにしようとしているのである。
さらに問題なことは、日本は先進国の中で最悪の財政状況にあるにもかかわらず、こうした防衛費の増額を、増税でまかなうのか、赤字国債の増発でまかなうのか、財源の議論は曖昧なままであることだ。もちろん、参院選前に「防衛費の倍増は増税でまかなう」と本音を口にしたら、与党は惨敗位してしまうだろう。
結局、財源の議論をごまかしたまま、参院選に突入しており、有権者が財源問題で納得できる説明を受けずに投票日を迎えてしまう可能性がある。本来ならば、選挙前に徹底的に財源とからめて議論し説明を尽くすべき問題である。
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