「小西(洋之)参院議員に対する統幕三等空佐の発言についてでありますが、このことについては処分の手続きが進めば、今日にでも最終報告をとりまとめて公表したいと思っております。処分の内容については、過去の事例をふまえつつ、適正に対処する予定であります」
2018年5月8日午前10時過ぎから防衛省A棟10階の会見室で、小野寺五典防衛相の定例記者会見が開かれた。
IWJ記者は小野寺防衛相に、現職幹部自衛官の暴言問題だけでなく、自衛隊のOB組織「公益社団法人隊友会」による改憲に向けた署名活動について質したほか、「憲法改正を必要だとお考えになっているか」と率直にたずねた。冒頭のコメントは、現職幹部自衛官の暴言に関する小野寺防衛相からの回答である。
現役隊員を含む自衛隊のOB組織が日本会議と連携して改憲に向けた署名活動をしているのでは、との疑惑については以下のように述べた。
「署名を、地本(自衛隊地方協力本部)でやっているような事実はございません。
隊友会や東京地本に確認したところ、事実関係としては平成27年当時の東京都隊友会の『事務局だより』で、会員に対して『憲法改正に関する署名用紙は、東京地本予備自衛官課へFAXを』との記載がありましたが、東京地本と調整されたものではなかったため、返送先を隊友会に改めるよう働きかけるなど、地本では署名活動はおこなわれていないということであります」
隊友会には、約17万人の現職自衛官も賛助会員として参加している。現職自衛官が改憲の署名活動という政治活動に関われば、自衛隊法に触れる可能性がある。
IWJ記者は隊友会の署名活動を問題視した質問を投げかけたのだが、小野寺防衛相は「公益社団法人はNPO法人とは異なり、『政治活動を主たる目的としないこと』といった法令上の規定はなく、各団体の活動の目的の範囲内で一定の政治活動をおこなうことは認められている」と述べ、現職自衛官が携わったかどうか、またそうした活動は自衛隊法に触れるかどうか、質問のポイントをずらした回答をした。
改憲への署名活動は、憲法15条の「すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない」、また、自衛隊法第61条の「選挙権の行使を除くほか、政令で定める政治的行為をしてはならない」に抵触する可能性がある。これで果たしてシビリアンコントロールが機能しているのかといえるかどうかも含めて、小野寺防衛相に質したが、この点についての回答はなかった。
- 自衛隊会議室で退職者と予備自衛官の団体が憲法改正運動!? 繰り返される軍事ファシズム!(日刊IWJガイド、2018年5月8日)
「憲法改正を必要だとお考えになっているか」とのIWJ記者からの質問に対して、小野寺防衛相はどう答えたか!? ぜひ動画を御覧ください。