2021年11月11日、東京・千代田区の司法記者クラブで、「西東京市長選挙・異議申し立て裁判」の判決について、原告である市民団体らが記者会見を行った。
原告らは、2021年2月7日に行われた西東京市長選挙で違法なビラが大量に撒かれたことにより選挙結果に影響を与えたとして、選挙無効を訴えていた。
原告らは2021年4月21日、東京都選挙管理委員会に異議を申し立て、その採決が不服だとして提訴した。この場合の第一審は東京高等裁判所となる。原告である「西東京市長選挙・異議申し立ての会」は、提訴した8月13日に併せて池澤隆史・西東京市長らを田無警察に刑事告発している。
判決について、原告代理人の矢澤昇治・弁護士は「高裁はビラの違法性は認めたにもかかわらず、『選挙結果に影響を及ぼすことはない』と判断した。2つの判断は矛盾している」と批判したが、申立が却下されたので一審は敗訴、との認識を示した。
西東京市長選挙では、当選した池澤隆史市長陣営が、対立候補の平井竜一・前神奈川県逗子市長について、新聞折り込みなどで配った法定ビラに「逗子での失敗のリベンジは逗子でやってください。ここは西東京市です」などと記載していた。池澤氏は34,299票で辛勝、平井氏は32,785票を獲得したがわずか1514票差で落選した。
池澤氏は、自民・公明が推薦する前副市長で圧倒的優位にあったが、緊急事態宣言下であるにもかかわらず、自民党と公明党の衆議院議員が銀座のクラブを訪れていた不祥事などの逆風を受け、選挙戦では苦戦していた。ビラの、事実にもとづかない対立候補を揶揄するような文言には、池澤陣営の焦燥感があらわれている。
- 西東京市長選「国政のとばっちり」 自公推薦候補が苦戦(朝日新聞、2021年2月9日)
原告の山口あずさ「西東京市長選挙・異議申し立ての会」総代は、「逗子での失敗のリベンジは逗子でやってください。ここは西東京市です」と書かれたビラを示し、「逗子から転校してきた転校生をいじめているみたいだ、このようなビラを撒くことがまかり通る西東京市が恥ずかしい」と述べた。
原告らは判決を不服として最高裁に上告する予定だ。