民主主義の憲法に違反する選挙―― 史上初、「一票の格差」問題で衆院選全小選挙区の選挙無効を求め、弁護団が全国一斉提訴 2014.12.15

記事公開日:2014.12.19取材地: テキスト動画
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(IWJ・前園由美子)

特集 総選挙2014
※ 12月19日テキストを追加しました。

 「一票の格差」が是正されずに行なわれた今回の衆院選に違憲を訴える弁護士グループが12月15日、全国295すべての小選挙区の選挙無効を求め、全国の裁判所に一斉提訴を始めた。それに伴い、同日16時30分より東京都千代田区霞が関の司法記者クラブで記者会見が行なわれた。

 公職選挙法では、選挙の無効を求める裁判において、提訴から「100日以内」に判決を求める努力規定が定められている。今後、司法が下す判決が注目される。

■ハイライト

  • 日時 2014年12月15日(月)16:30~
  • 場所 司法記者クラブ(千代田区霞が関)

※以下、発言要旨を掲載します

公職選挙法に規定された最優先されるべき裁判

升永英俊弁護士(以下、升永・敬称略)「公職選挙法の規定で、裁判は100日以内にこれを処理するよう努力すること、という213条の1項があって、1項以上に重要な規定は213条の2項なんですね。

 2項はどういうことが書いてあるかというと、裁判所は他の訴訟の順序に関わらず、速やかに無効選挙裁判を行わなければいけない、努力義務じゃなくて、行わなければいけないという明文の規定になっている。しかも他の訴訟の順序に関わらずということは、他の訴訟より早くやりなさいと、選挙訴訟は重要な裁判であるので、優先してやりなさいという、具体的に他の裁判を優先しているかという裁判所の義務が違反しているか、ということが判断できるわけです。

 我々は今回、213条の2項の他の訴訟の順序に関わらず、果たして高裁が裁判をやったかということも詳細にモニターします。

 もう一つは、この裁判を100日以内に行わなればいけないということは、この確定判決を得るまでという意味以外に解しようがないわけです。この裁判は、一審が高裁で二審というのがあって、二審も含めて100日ということですから、極めて重要な規定なわけです」

升永弁護士「無効判決は裁判所が解散と言うのと同じ」

升永弁護士「無効判決は裁判所が解散と言うのと同じ」
升永「よくよく考えてみると、295人いなくなるということは解散と同じなんです。解散したらどういうことが起きるかというと、国会議員の地位は、衆議院は比例代表であれ、小選挙区であれ全員なくなるわけです。大臣も地位を失うし、総理大臣も地位を失う。ある意味で大変な出来事です。でも解散は憲法上定められているし、当たり前のこととして我々は受け入れるし、再選総選挙もやるわけです。

 裁判所が解散と同じことを言うだけのこと。あるいはそれ以下のこと。なぜならば我々は、比例区というのがあるわけです。だから衆議院は0にならないわけです。

 解散は衆議院が全く誰もいない空白が日本で起きるわけですけれども、この裁判所が295の選挙区で無効判決を出したところで180人の堂々たる国会議員がいるわけですから、なんら衆議院の活動に支障がないわけです。総理大臣も指名できるし、法律も作れるし、条約も結べる。予算も組める。何一つ社会的混乱は起きない。

 (事情判決について)昭和51年の古い判決を引っ張りだして読んでみますと、二つ理由が書いてある。ひとつは、該当する選挙区を無効とすると、その選挙区からは国会における代表者が誰もいなくなる。残りの裁判されていない選挙区から選ばれた代議士さんたちが選挙区割りを作っちゃうからこれは不都合でしょと。だから事情判決だというのがひとつ。

 もうひとつは、一部じゃなくて全部でやったとしましょう。全部でやっちゃうと衆議院は誰もいなくなります。それでは法律は作れない。選挙区改正をやらないと新しい議員を選びようがないから、けしからんと言って訴えるけれども、訴えたところで全員やっちゃったら、いなくなって法律作れないでしょと、それは事情判決になってしょうがないでしょと、ふたつの理由だったんです。

 昭和51年は、比例代表ってなかったんです。ここが非常に重要なんです。確かに51年は比例代表がないから、誰もいなくなったんです。ところが、今は比例代表という代議士さんが180人いる」

久保利英昭弁護士(以下、久保利・敬称略)「ひとつ補足しますと、180人がいるというのは衆議院の定則数は満たすということ。295人がいなくなっても衆議院はそのまま動くので、そういう意味では解散なんか全く比較にならないくらい、なんの問題もないと理解していいと私は思います。そういう状態を達成できる可能性がこの選挙は非常に高い。

 我々としては295の選挙区で原告がそれぞれ出ていただいて、きっちりとした判決を取りたい。そして早くやりたい、こう考えています。平々と長期間待つような必要はないわけで、法律論も嫌っていうほど、一人一票の価値というのは同一でなければいけない、人間の価値は一対一だということをずっと口を酸っぱくなるほど言ってきて、もう4つ判決をいただいたわけで、今度はこれで5つ目になる。つまらない議論を延々としているつもりはない。

 高裁の裁判官たちも、自分たちがあれほど違憲だ、違法だと言っているのに、あるいは無効だという判決まで広島・岡山で出しているのに、大法廷は何をしているんだということだと思います」

一人一票の価値、司法がやるべき

久保利「人間として国民主権である国民が持っている一票の価値が違うということは、世界中でも恥ずかしいことなんではないか。(政情不安が続く)アフガニスタンの選挙であったって基本は一人一票です。特に大統領選挙というところは、どこへ行ったってみんな一票です。日本だけこういう形で間接選挙になっているので、変な票数が出てきますけれども、一人一票の価値をイコールにするいろいろな方法があります。

 例えば、一人一票ということになると、一人の国会議員の背後にいる国民の数をイコールにすればいいわけですから、そうすると県をまたいだり、いろいろなことを工夫をすれば、いくらでもそういう選挙区を295作ることは可能なんです。それをしなかっただけです。あるいは、最高裁がそれをしろと言わなかったからこういう体たらくでいるわけです。やればできることをなぜ、させないのか。

 私は司法の責任が一番大きいと思います。なぜならば、国会議員たちが自分と利害関係人ですから、彼らが先祖伝来の家業として継いでいるその国会議員のポジションをもし選挙区を変えることによって落ちたら確かに気の毒ですよね。

 『猿は木から落ちても猿だけれども、政治家は選挙で落ちたらただの人になる』大野伴睦さんの有名な言葉ですけれども、そういう風になりたくないという気持ちは分かります。だから利害関係人は自分が利害に関係するものについては、ジャッジしてはいけないとこう言われているわけです。だからそういう意味で言うと、司法が言ってあげるしかないんです。その司法がやるべきことをしていない」

選挙自体が許されない選挙

伊藤真弁護士(以下、伊藤・敬称略)「295全選挙区での一斉提訴というのは、とても重い意味があると考えます。この問題というのは、単に都市部と地方の格差の問題で、都市部の人間が不満を言っている話ではないということです。日本中、全ての選挙区で一人一票でなければおかしい。真の民主主義を実現するためには、自分は立ち上がるんだ、声をあげるんだという人たちが全国にいるということなんです。

 私は0.5票の価値しかない中での選挙なんか茶番にすぎないと思っています。52%という低い投票率、これが民主主義の危機だと言う方がいらっしゃいます。ですが、それ以前に、そもそもこの選挙自体が許されない選挙、民主主義的に正しくない、憲法に違反する選挙なわけです。

 手続きが正しくなければ、国民に真を問うなんてできないですよ。そもそも民意を問える状態ではないにも関わらず、この選挙を強行してしまったわけです。最高裁判所が2回も憲法に違反する状態なんだと断言したそのままの状態で今回、総選挙を強行してしまいました」

海江田氏と同票数で当選した選挙区は130

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