9月10日に、自民党総裁候補の1人である高市早苗氏が、お昼のテレビ番組「大下容子のワイド!スクランブル」に出演した際に、日本が他国の領空内で核爆発を起こす可能性を示唆する衝撃的な発言をした。
どう番組で高市氏は中国を念頭に置き、「強い電磁パルスですとか、いろんな方法でまず相手の基地を無力化する。これで一歩遅れたら、日本は悲惨なことになると思います」と発言した。
相手基地を無力化するほどの電磁パルスを起こすには、相手基地の上空で核爆発を起こすしかありません。高市氏の発言には、日本国の核保有と、相手国に対する核の先制使用、民生への無差別で破壊的影響、報復攻撃の脅威と多くの問題がある。
IWJは、安全保障関連の識者や他の総裁候補に、高市氏の「電磁パルスで相手基地を無力化」発言をどう思うか、質問をした。
自民党きっての安全保障問題通であり、元防衛大臣でもある石破茂氏にも見解をうかがった。9月15日に開催された石破氏の総裁選不出馬会見の席でのIWJの質疑と石破氏の回答は以下のとおりである。
石破茂氏「このEMP爆弾というものは、(IWJ記者の)ご指摘の通り、核爆発を伴うものであります。人は殺傷しませんが、そういう電磁的な、電子的ないろいろなシステムを破壊するというものが、このEMPの本質であります。
あるいは衛星捕獲の問題は、宇宙条約との整合性を考えていかなければなりません。
核爆発を伴うEMPというものは、今のNPT(核兵器不拡散条約)体制というものをどう考えるのか、ということに直結するものであります。
私はNPT体制というものに、いろいろな問題があることは良く承知をいたしております。しかし、唯一の被爆国が核を持つということになれば、NPT体制は、あっという間に瓦解するでありましょう。それがよい世界の在り方だとは、私は思いません」
石破氏は、電磁パルスによる攻撃(EMP爆弾)は核爆発を伴い、NPT体制を瓦解させると指摘した。
石破氏はさらに、先制攻撃の困難さ、自衛権行使の3要件の厳守について述べた後、ミサイルの打ち上げ直後の「ブーストフェーズ」で、いかにミサイルを無力化するかが、EMPの課題だと述べた。
「EMPに対しては『ブーストフェーズ・インターセプト(ミサイル上昇時の迎撃)』ということを考えなければなりません。
重力に逆らって上昇しているときは、姿勢の制御もできません。スピードも遅い。それを『ブーストフェーズにおいて、いかにして破壊するか、ということは、日米ともにもっと協力していくべきだ』ということは、トランプ政権が発足したときから、私はアメリカ政権に申し上げていることでございます。
高市さんの政策をすべて承知しているわけではありませんが、今のご指摘に対してお答えするとすれば、条約との整合性、あるいはNPT体制との整合性、そういうことを全部念頭において、抑止力を相乗的に高めることが必要だと考えております」
IWJ記者は、日本の原子力発電所が攻撃されるリスクについても質問した。石橋の回答は以下のとおりである。
「原発が、海岸部に多く配置されているということは事実であります。
私はすべての国について実地に行ったわけではありませんが、原発を軍隊が守っていないという国は、極めてまれだという風に思っております。
いかにして、原発が攻撃されないか、ということについては最大限の配慮をしていかなければなりません」
石破茂氏会見の全編動画とIWJ質疑の詳細テキストはこちらからどうぞ御覧ください。