2021年9月13日、東京都千代田区の衆議院第一議員会館で、自由民主党総裁選挙に出馬を表明した岸田文雄前政調会長による、3回目の政策発表会が行われた。
この日の会見では、外交・安全保障政策が発表されたが、岸田氏はこれまでの「ハト派」の印象を覆す、極めて中国に敵対的な政策を繰り出し、露骨に保守層へアピールした。
岸田氏は中国の軍事的な脅威に対抗するため、防衛費増額を訴え、沖縄県の尖閣諸島など離島防衛のための新たな法整備を検討すると発表した。
さらに、敵基地攻撃能力の保有に前向きな見解を示した。
また、中国の少数民族への人権侵害に対応する人権問題担当の首相補佐官や、経済安保担当の閣僚ポストの設置も提唱した。
また、延期されている習近平中国国家主席の国賓来日については、「具体的に日程を考える状況ではない」と一蹴した。
IWJ記者は、同じく自民党総裁選に出馬表明した高市早苗前総務相が9月10日にテレビ朝日系の情報番組で表明した「衛星や電磁パルスによる敵基地無力化」について岸田氏の見解を求めた。
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- 日時 2021年9月13日(月)10:30~
- 場所 衆議院第1議員会館 多目的ホール(東京都千代田区)
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IWJ記者との質疑は以下の通り。
IWJ記者「岸田さんと同じく自民党総裁選に出馬表明した、高市早苗氏が唱える『敵基地無力化論』についておうかがいします。
9月10日、高市氏はテレビ朝日系の昼の番組(『大下容子ワイド!スクランブル』)に出演し、中国との向き合い方について『衛星の捕獲ですとか、向きを変えるとか、強い電磁パルスですとか、いろんな方法でまず相手の基地を無力化する』と発言されました。
『強い電磁パルス』とは、核爆発によるものだと思いますけれども、高市氏が唱えるこの『敵基地無力化論』は、まず日本が核保有すること、中国内陸部まで届くミサイルを保有して高高度で爆発をさせること、それを敵から攻撃される前、つまり真珠湾攻撃のような奇襲攻撃を、軍事施設だけでなく民生も破壊するような無差別攻撃の形で行う、ということを意味します。
この3点、核の保有、高高度で核爆発させられる長距離ミサイルの保有と使用、そして、奇襲攻撃でこのような無差別的な被害の出る兵器使用を行うこと、これは岸田さんはどのようにお考えになりますか? 同意されますでしょうか?
核保有から始まるこの『敵基地無力化論』は、自民党の中で共有されていると考えていいのでしょうか? そうだとすれば、自民党という政党全体が、非常に危険で好戦的な政党であると国民全体が考え直すと思います。
また、仮に共有されている戦略だとして、本来ならば秘密の作戦のはずですが、それをテレビでペラペラと喋ってしまう高市さんの口の軽さ、また、公の場で話してしまうことで、日本が中国や他の第三国からも無用の警戒を呼ぶ軽率さについて、どうお考えになるか、お聞かせください」
岸田氏「質問、三つありましたが、私は最初の部分で、核保有、これはまったく、するべきではない、私は絶対に我が国は核兵器をもつべきではないと思っておりますので、結果的に(質問と指摘)三つとも全部否定することになるのだと思います。
そして、自民党がそれを共有しているのか、という話ですが、これは共有しているとはまったく認識をしておりません。
先ほど言いました通り、ミサイル防衛体制、ミサイルの技術は、超低空とか、超音速とか、あるいは、不規則軌道とか、技術が進歩している。その中で、国民の命を守るために、いろいろと現実的に考えていかなければならない。
こういった基本的な考え方は、私は大事だと思いますが、今言った技術については、私は核兵器の保有も含めてやるべきではないと思っていますし、自民党の中でそれが共有されているということはない、と私は考えます。以上です」