3月25日に始まった聖火リレーは折り返し地点、19都道府県がコロナ緊急事態宣言とまん延防止等重点措置を受ける中での強行開催はどこまで続く!? 鳥取県の平井伸治知事が聖火リレーの運営について苦言を呈し、セレモニーの挨拶を返上! 2021.5.24

記事公開日:2021.5.25 テキスト
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(文・六反田千恵、文責・岩上安身)

 5月いっぱいまで延期された緊急事態宣言が、再度延長されるのではないかという見方が政府内で広がっている。現在緊急事態宣言が適用されている地域は北海道、東京都、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県、岡山県、広島県、福岡県、沖縄県の11都道府県。まん延防止等重点措置が適用されている地域は群馬県、埼玉県、千葉県、神奈川県、石川県、岐阜県、熊本県の8県。

 そのうち、東京都や京都府、大阪府など11の都府県でようやく減少傾向が見えてきたが、愛知県、神奈川県、広島県、千葉県、神奈川県の5県は高止まり、北海道と沖縄では増加中である。

 加藤官房長官は5月23日、「東京や大阪などへの緊急事態宣言が今月末に期限を迎えることをめぐり、延長する場合はその期間について、個別の地域ごとでなく“一定程度のかたまり”として判断する考えを示し」たとTBSが報じている。

 福島県でスタートした東京五輪の聖火リレーは、緊急事態宣言下にあり感染拡大が広がっている都府県をも走り抜けて、5月21日、22日に鳥取県に入った。7月23日までの聖火リレーのちょうど折り返し地点に来たことになるが、鳥取県の平井伸治知事が聖火リレーの運営について苦言を呈した。

 鳥取県は3月31日から4月6日までの間を除き、新規感染者数の7日間移動平均を5〜6名以下に抑えてきた「優等生」組だ。背景には、平井伸治知事が進めてきた「早期検査、早期入院、早期治療」の「鳥取モデル」の感染症対策がある。独自の「クラスター対策条例」の制定、「心配な人はみんな検査を受けてもらう」積極的なPCR検査の導入、県内の医師会やクリニックの医師との丁寧な話し合いによる病床をはじめとする医療資源の確保などである。

 毎日新聞は鳥取県で開催された聖火リレーの様子を写真で紹介しているが、福島の聖火リレーであまりにもスポンサーの広告が場違いだったせいか、「代表撮影」とされる一連の写真には、ランナーの姿しか写っていない。

 平井知事はなぜあえて苦言を呈し、聖火リレーのセレモニーでの挨拶を返上したのか。平井知事の5月20日の会見を抜粋文字起こしした。

平井知事5月12日会見、「スポンサーのほうで決定されたランナーに、県はタッチできない仕組」になっている!

▲平井伸治鳥取県知事(wikipedia)

 鳥取県内を走る予定だった著名人、タレントのイモトアヤコ氏(伯耆町出身)、バルセロナ五輪男子マラソン銀メダルの森下広一氏(八頭町出身)は4月22日に鳥取県が辞退を発表、お笑いコンビ「ガンバレルーヤ」のまひる氏(大山町出身)が5月18日に自らのインスタグラムで聖火ランナーを辞退している。

 平井知事は、5月12日の定例会見で、読売新聞の記者に、「著名人には公道で走ることを辞退していただきたいと言っていたにもかかわらず、ガンバレルーヤのまひるさんが名簿に載っていた」が、どういうことかと問われ、以下のように答えた。

 「このランナーのことにつきましては、いわば多分ボランティア的にされている面もあったり、それぞれの志もあったりするのでありましょうから、最後はそれぞれのお考えなんだろうというふうに思いますし、特に今回発表されたものは私どもで実は影響力が行使できないスポンサー枠といわれるところであります。

 それで、スポンサーのほうで連れてこられるランナーさん、スポンサーのほうで決定されたランナーさんでありまして、私どものほうでは、実はそこにタッチできていない、できない仕組と言ったほうがいいかもしれません。ただ、私どもとしてはやはり公道を走るということには感染のリスクがあると思います。

 したがいまして、著名な方には公道は走らないようにということを、これはこれまでも伝えてきていますし、その我々の強い意志は汲んでいただけるのではないかなというふうに我々としては期待をしているところであります」

 平井知事は、県としては、まひる氏には公道で走ることを辞退してほしいが、スポンサーが選んだランナーの場合、地元の声がなかなか届かないと回答した。一方、5月20日には、まひる氏は大型店舗の駐車場を使い、観客を50人に限定した聖火リレーを走ることになっていたことを明かしている。

平井知事5月20日会見(その1)、「地方の意向を尊重し、現場の実情に即したリレー」にすべきと苦言

 その8日後、平井知事は、5月20日の会見で、21日、22日の聖火リレーのセレモニーでの挨拶を返上する旨、発表した。その理由について、平井知事は30分に渡ってこれまでの経緯などを詳細に述べた。

▲5月20日の知事会見に臨む平井知事(鳥取県HPより)

 「いよいよ明日、オリンピックの聖火リレーが鳥取県に入ってきて、聖火リレーのバトンがつながれることになります。今日この日まで準備にあたってくださった方々、それからまた、聖火リレーのランナー、それを支える皆さん、こうした方々に私どもとしても、心より御礼を申しあげたいと思います」

 続いて平井知事は、聖火リレーの観戦参加者の抽選について、ほとんどの地区で入場制限の定員を下回る状況で、ほとんど抽選の必要がなかったと報告し、ぜひテレビやニュースで楽しんでくださいと県民にお願いした。加えて聖火リレーをめぐるコマーシャリズムの問題に触れ、組織員会と関係者に聖火リレーのあり方を見直すことを求めた。

 「実は、この聖火リレーを巡りまして、いろんな報道もなされています。私は、コマーシャリズムに流されすぎないようにするのが本来オリンピックの精神ではないかと思います。現状は、そういう意味で疑問を感じるところもあります。また、いろいろな思惑に囚われて、この聖火リレー、本来多くの国民や世界中の人が想像しているものとは違った形になったり、いろんな軋轢がこの中で生まれてはいないか、というふうに危惧をしております。

 一番申し上げたいのは、まだこの聖火リレーは続くでありましょうから、組織委員会やさまざまな関係者の皆さん、その中には、イベントの管理運営をやっている会社もあろうかと思います。もう一度、みんなに支援されるような、オリンピックという祭典に向けて、このあり方を見直すべきであれば見直しても良いのではないかと思います。

 特に現場の我々のサイドからいえば、大変な苦労もし、それからお金も我々地方には請求がある。そういうような形でありまして、そういう中で運営していることに十分配慮をされ、現場の実情に即したリレーであっていいのではないかな、というふうに思います」

 平井知事は、聖火ランナーの衣装を例に挙げて、「東京モデル」を地方に押し付けなくてもいいではないかと問いかけた。たしかに、全国を回る聖火リレーであれば、地域色が出ていた方がテレビ中継などを見ているほうも楽しめそうである。

 「例えば皆、画一的な同じユニフォームを着ているわけでありますが、これは決まりがあるからそうしているだけです。中には、体調のことだとか、ご高齢でやっぱり寒いと心配だと、重ね着をしたいと言っても受け入れてもらえません。それが本当にあるべき姿なのかなと。

 本当に日本中を回るのであれば、たとえば秋田ではナマハゲの格好の人が聖火を持って走ってもいいような気もしますし、障害のある方なども含めて、例えば自分で描いたTシャツの絵、そういうものを背負いながら走行することもあり得るんではないかなと思います。

 全部ユニフォームでなければならないのか、これは要は東京モデルのイベントなんですね。それで、その運営の仕方もいわば東京モデルで、東京の常識で仕切ろうとされておられるのではないかと思います」

平井知事5月20日会見(その2)、「お一人たりとも私どものほうから聖火リレーを辞退してくれと言ったことはありません」

 平井知事は、まずまひる氏の聖火ランナー辞退の経過を説明し、著名人なので公道を走ることは控えて欲しいという要望は出していたが、まひる氏、イモト氏、森下氏の3名に鳥取県側から辞退をお願いしたことは1度もないと明言した。

▲5月20日の知事会見に臨む平井知事(鳥取県HPより)

 「まひるさんという、鳥取県民が愛してやまないタレントさんがいらっしゃいまして、この度、そのインスタグラムで、この聖火リレーを辞退されるという意思を表示されました。

 私どもとしては、感謝の気持ちがある一方で、まひるさんも可哀想だな、と。同じ故郷のものとして思います。同じようなことがイモトアヤコさんや森下広一さんにもございました。(中略)

 そういうわけで、我々県庁としてはおりますので、お一人たりとも私どものほうから聖火リレーを辞退してくれと言ったことはありません」

 平井知事は、前週組織委員会がプレスリリースした資料のなかで、まひる氏が聖火リレーに出場し公道を走るとしていたことに対して、県として訂正を求めたにもかかわらず、組織委員会に拒否された経緯を説明した。

 「先週(5月12日)の記者会見、たぶん(記者の)皆様はそれぞれの思いでこの会場に来られたと思います。私どもも、実は直前に打ち合わせもしましたが、複雑な思いでこの場に立ちました。その理由は、まひるさんが聖火リレーに出るということが公表されたんですが、その際の組織委員会がプレスにのみリリースした資料の中で公道を走るというふうになっていたんです。

 これが誤りであるというふうに私たちは思いました。なぜなら、私たちが聞いていたのは、まひるさんは大規模店舗の駐車場の一角で、そこで走られると。その際、我々がだいぶ主張したこともありまして、それを観覧される方は50人に制限される。こういうふうにうかがっていたわけであります。

 そういうようなことでありましたのに、公道を走るというようなリリースになっていまして、これは誤りであると。実は担当者が即刻組織委員会サイドに、公道を走るというリリースは誤りなので、訂正すべきだと申し上げました。組織委員会は訂正はできない、とおっしゃったそうです。後日、それについては機会を見て、正しい情報として出しますということでありました」

 平井知事は、そのように組織委員会の資料に誤りがあり、訂正が為されない中での記者会見で苦慮し、組織委員会のプレスリリースを見て参加している記者陣とちぐはぐな応答になってしまったかもしれないと述べ、まひる氏が自分のインスタグラムで、辞退を表明したことについて県として感謝し、高く評価をしていると述べた。

平井知事5月20日会見(その3)、鳥取県側の意向で辞退したことにしてくれと依頼が!

 平井知事は、その後組織委員会からまひる氏の辞退について「県のほうでメッセージを出してくれ」と連絡が入ったことにも触れた。

▲5月20日の知事会見に臨む平井知事(鳥取県HPより)

 「それは、公道を走らないということを県のほうから出してくれということなんですが、本来これは組織委員会なり、スポンサー企業がやるべきことであります。しかも、誤って情報を報道機関に出したのは組織委員会自身であります。その尻拭いを私たちにさせようということにしたんだと思います。(中略)

 我々としてはこの一件についてはこういうふうに出そうと私は申し上げたんですが、大型店舗の一角でやるものであって、ちゃんと管理されたスペースでやって、感染対策がとられているところでやるとお聞きをしておりますと。

 これが我々、現場の担当者、いわばあちら側の主催の事業であります、そのお手伝いをしている者として言える精一杯のことだと思いました。私の手を離れて、その後組織委員会や関係者と調整をしたまま、いったんはツイートが出されたと思います。そのツイートは公道を走らないので問題ないという表現になっていました。

 そもそも具体的などこを走るということは組織委員会側としては出してはいけないというお話であり、そこに問題ないということを県側として書けと、こういうことだったようであります。

 私はその結果を後ほど聞きまして、直ちに訂正しなさいと申し上げました。問題ないというのは価値観が入っている。その価値判断は我々がやるべきことではない。我々がやれるのはせいぜい、そういうふうに聞いておりますということでありまして、大型店舗の一角ということが言えないのであれば、そこは除いてもいいけれども、そういう事実関係だけを出しなさい、ということで、多分このツィートは差し替えになったというふうに思います」

 平井知事は、こうしたドタバタがあった背景の中で、まひる氏が追い詰められて行ったのではないかと推測し、オリンピックはもっと皆の共感を集めるものであるべきだと主張した。

 「こういうように、実はドタバタがあったんですね。その背景の中で、追い詰められたんだと思います、本当にお気の毒だと思います。まひるさんがインスタグラムを出された、ということであります。私は心から同情するんですね。たぶん、私と同じような形で、追い詰められていたんだと思います。

 どうしてこういうことを、我々が甘受しなければいけないのかな、やはりもっと、オリンピックなんですから、皆が支え合う、それぞれの人が良かれと思ってやったことを、一つのモザイクアートのようになって、一つの大きな絵柄で人間というものの素晴らしさを、理想をみんなで作り上げていくのがオリンピックのムーヴメントなのではないかなというふうに思いますが、何かの都合や面子のために物事が変わってしまうというのは、非常に私としては残念に思ったところであります。

 組織委員会にも組織委員会の都合があると思いますし、そのことを私は責めるつもりはありませんが、今後に向けて変えるべきところは変えていただかないと、私どものように忍耐強くそれを受け入れるところもあるかもしれませんが、しかし、そうでないところもたくさんあると思います。

 やはりこれは共感の上に成り立つ事業でなければならない。このことを肝に命じないと、今あるオリンピック批判というのは高まる一方ではないかと危惧をするものであります」

平井知事5月20日会見(その4)、組織委員会が隠し続けたイモト氏と森下氏の辞意

 さらに、平井知事はイモト氏と森下氏の辞退についても、鳥取県側からは一度も辞退をお願いしていないと明らかにし、実は3月から2人は辞退を希望していたが、2人の辞意を組織委員会がずっと隠していたことも明らかにした。

▲橋本聖子・2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会会長(wikipedia)

 「また、先ほど申し上げましたように、イモトアヤコさんにしても、森下広一さんにしても、私たちは敬愛してやまない方々であります。だからこのお二人に対してもオリンピックの聖火リレーを辞退してくださいと申し上げたことはただの一度もありません。この点も間違って伝えられる結果になりました。どういうことになるか、どうしてこういうことになったのか、というのは複雑な状況があります。私は事実に即して物を言わないといけないと考えて、今日はここに覚悟を決めてやってまいりました。

 私たちは3月になりまして、聖火リレーの見直しをすることにいたしました。それは島根県さんに発端を有する議論が全国を席巻したからでございます。それについて私たちも答えを出さなければいけないということで、橋本会長ともお話をさせていただき、橋本会長はいつも通りの橋本会長でいらっしゃいまして、大きな心で私たちの変更というものを受け入れてくれた。ですから、組織委員会全体としては機能しているところもあるので、そのことは感謝をしているところでございます。

 実はその時にいくつかの要素があって、見直す中には、人だかりをつくらないということがありました。ですから、我々としては著名人の方が聖火リレーを行われるとどうしても人が集まってしまって、感染症対策として如何かと、公道を走るのはやめてくださいというモットーで、これを基本方針でやっていこうと、いうふうにしたんです。

 我々がそう考えた背景もあります。実は私たちが検討するその以前からイモトアヤコさんと、森下広一さんについては辞退したいという意向が組織委員会を通じて私たちに伝えられていました。ですから、そういうふうに申し上げても、なんら、そうした方々には影響がないだろうと、迷惑をかけることはないだろうというふうに考えていました。

 ただ、そうした方々の代わりに、別の有名人が走ることになってしまいますと、元の木阿弥になってしまいます。当時、どうしてご辞退されたのかその理由はよくわかりません。私たちのほうには、スケジュールの都合だというお伝えをいただいていたところでありまして、いつこれを公表されるのかなと思って、ずっと待っていたというのが私たちの状況なんです。

 ところが、待てど暮らせど、その公表がなされない。そのまま、最終的には、このオリンピック聖火リレーを決めなきゃいけない実行委員会まで来てしまいました。結局その実行委員会で出て来た中に、イモトアヤコさんと、森下広一さんのことも入っているんですけれども、そこを訂正できないままに我々はいってしまうことになったんですね」

平井知事5月20日会見(その5)、鳥取県がイモト氏と森下氏の辞退を発表すると、芸能事務所から「恫喝」が県庁に!

 平井知事は、組織委員会が辞意を隠したことによって難しい立場に置かれたイモト氏と森下氏に、県として感謝し、二人のこれからの活動に悪い影響が出ないようにするため、4月22日に鳥取県として辞退を発表したと述べた。

▲鳥取県庁外観(wikipedia、撮影663highland)

 「我々としてはこうした方々に感謝しているんだよというメッセージをきちんと伝えることで、それでスムーズにその後のいろんな対応が取りやすいようにして差し上げるのが我々の礼儀ではないかなというふうにも思っていたわけであります。

 ですから、皆さんも全部聞いておられた通りのことでありまして、ここで私が申し上げたのは辞退するというお話がありました、かねて私たちは著名人が公道を走ることは控えていただきたいというふうに申し上げていましたので、その通りの結果になっておりますと。こういうことを申し上げさせていただき、イモトアヤコさんと森下広一さんには心から感謝をしておりますということを申し上げたわけであります」

 平井知事は4月22日の発表直後、鳥取県庁に「恫喝」が入ったことを明かした。

 「ところがその昼休みに、担当者が血相を変えて私の部屋にやって来たんですね。『事務所のお偉いさんが怒っています』と。こういう言葉でありまして、その表情を見て私は、顔色を失っておりますし、体も声も震えるような形でございまして、これは恫喝されたなと思いました。そういうようなことで、一体その後どうなったかということは、皆さんのご案内の通りで、私はそこはあまり深くは立ち入っていませんが、結局、前日の実行委員会のあと、鳥取県が辞退をお願いをした、それに応じて辞退をした、こういうことでストーリーが変えられていたんですね。

 私は自分がそのストーリーに関わるのであれば、事実に反しない範囲ならできると思います。少なくとも、この記者会見の場で事実に反することを申し上げるのは私の心情としてはできかねるし、それは多分報道機関の皆さんもそうだと思います。

 ただ、こういうことが東京の世界ではまかり通るんだと思うんですね。それは非常に残念なことでありますし、もっと素直に、我々も工夫をして、イモトアヤコさんや森下広一さん、大好きですから、そういう人たちのために働きたいと思っておりますが、何かそうした、誰かの都合で、事実を曲げるようなことをあたかも事実のように語らせるのは、私は職員に対してできかねるところであります」

平井知事5月20日会見(その6)、平井知事はセレモニーでの挨拶を返上し、聖火リレーとオリンピックのありかたの再考を求める

 そして最後に、平井知事は、聖火リレーのセレモニーでの挨拶を返上する旨を発表した。

▲5月20日の知事会見に臨む平井知事(鳥取県HPより)

 「覚悟を決めて、事実に即したお話を申し上げることといたしましたので、たぶん、これからのオリンピック聖火リレーに、私は組織委員会としては求められることはないのではないかなと思います。明日明後日と、聖火リレーがありますが、そのセレモニーで、この平井も挨拶をする立場ではありましたが、挨拶は返上したほうが、組織委員会様のためには、お立場としてはよろしいのではないかというふうに思いますので、挨拶は返上させていただきたいと思います。

 ただ、この鳥取県から今回のオリンピックには、6名の偉大な選手たちが行かれることになりました。それぞれの方々、私もよく存じ上げておりますが、本当に頑張って苦労してやっています。また、宇佐美里香さんのように、別の立場で選手強化委員長として関わられることにもなりました。これらすべて、鳥取県の誇りであります。

 ですから、オリンピックのこと自体については、その意義は高いと思います。ただ、それが本当にみんなから祝福される、そういうイベントになるように、みんなで力を合わせるべきじゃないでしょうか。そのためには、お互いに信頼できるような、いわば、人間として正しいと思えるような、心から共感できるような関係を、たとえ、どこかのお偉いさんかもしれませんが、東京と地方という立場の違いはあっても、同じパートナーとして、我々も扱っていただいてもいいのではないでしょうか。そういうように思うところでございます。

 ただ、これからですね、聖火リレーがあります。聖火リレーを走られている方々、本当に頑張って練習してこられました。また、これに向けて市町村、あるいは関係団体、みなさん寸暇を惜しんで準備をしてこられました。ぜひ、県民の皆様には祝福をしてあげてください、と申し上げたいと思います。そこには我々が招いたわけではないコマーシャリズムが色濃くあるかもしれませんが、それは見ていただいて、今後のオリンピックを考えるきっかけにしていただければ、いいのではないかと思います。私自身は一県民として、拍手を送らさせていただく立場で、この聖火リレーには参加させていただきたいと思います。私からは以上です」

多くの都道府県が感染拡大の中で聖火リレーを開催、岡山県では有森裕子氏が聖火ランナーを辞退!

 平井知事が明らかにした聖火リレーの実態からは、組織委員会、芸能事務所、スポンサー企業の思惑が先行し、地方自治体をまるで下部組織か業者ででもあるかのごとく扱っている姿が見えてくる。多くの都道府県が、感染拡大の真っ只中で聖火リレーの強行に踏み切った背景に、どのような事情があったのだろうかと思わずにはいられない。

 福島県、熊本県、香川県、高知県、沖縄県の5県では聖火リレー開催後に新規感染者が増加している。長野県、愛知県、三重県、和歌山県、奈良県、大阪府、徳島県、愛媛県、佐賀県、大分県、鹿児島県の11府県ではまさに感染が拡大する中で開催、愛媛県、福岡県、山口県、広島県、岡山県では感染拡大のピークで聖火リレーを開催していた。大阪府では公道での実施を諦め、万博公園内で一般客なしの聖火リレーを行なった。

▲有森裕子氏(wikipediaより)

 岡山県では感染の急拡大に伴って5月16日から31日まで緊急事態宣言が発令されている中で5月19、20日に聖火リレーが開催された。バルセロナ五輪男子マラソン銀メダルの有森裕子氏は、17日、「自分が東京から移動することで「県民に不安を与えてはいけない」と、聖火ランナーを辞退した。

 岡山県では3月末から新型コロナウイルスの感染者が増加傾向に入っていた。4月24日に1日あたり89人の過去最多を記録した後も増加が止まらず、5月8日に1日あたり189人、5月16日に7日間移動平均で約165人を記録したのち、減少に転じた。まさに感染拡大のピークで聖火リレーを開催していたことになる。16日よりは減少したとはいえ、19日は1日あたり新規感染者数が134人、20日は123人と、冬の第3波で最多だった111人(12月20日)を超える感染拡大状況にあったのである。

 地域のコロナ対応に追われる中での聖火リレーの強行開催がどれほど各地方自治体に負担をかけ、地域に住む人々に不安を与えたのか、大変なものであったことは想像に固くない。このような状況の中で自ら望んで開催した都道府県はどのくらいあるのだろうか。平井知事は、五輪の意義を認めつつも「東京モデル」とコマーシャリズムを地方に押し付け、地方を追い詰めるのは考え直すべきだと提言した。

 聖火リレーは7月23日まで続く。そもそも日本の半分近くの都道府県が緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が発令されているもとで聖火リレーを開催すること自体、相応の覚悟と準備を必要とする。コマーシャリズムを最優先するようなやり方を改める、感染拡大している地域では開催を見合わせる、地域の状況にあわせて開催方法を工夫するなど、いくらでもやりようはあるはずだ。スポーツの祭典に群がるスポンサー企業や芸能事務所も、このままの運営では、むしろ日本中の反感を買うネガティブキャンペーンになってしまうのではないか。

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