2020年11月9日、東京都千代田区の臨時会見場で、東京電力の定例記者会見が行われた。
東京電力は福島第一原子力発電所の廃炉作業の工程のうち、事故で炉心溶融を起こした原子炉から、燃料デブリの試験取り出しを行うことについて、溶融を起こしている1~3号機のうち、2号機から開始するとしている。
国と東電が策定している福島第一原発廃炉計画、中長期ロードマップ(東京電力ホールディングス福島第一原子力発電所の廃止措置等に向けた中長期ロードマップ)によると、試験取り出しは2021年内となっている。
燃料取り出しのために、東京電力がIRID(国際廃炉研究開発機構)を通じて、英国のオックスフォードテクノロジー社に依頼している「ロボットアーム」の開発が遅れている。
会見で、記者から「IRIDに問い合わせたが、コロナの影響でモックアップ(実物大の模型)ができていない状況だが、計画に見直しはないとしている」「3~4か月遅れている状況で、英国でのコロナのおさまりもつかない中、東電として計画の見直しを考え始めなくてよいのか?」と問われたのに対し、東京電力ホールディングスの小林照明氏は「いろいろな尤度(ゆうど)を含めて開発を行っている、現時点ではまだ、計画の見直しは実施していない」とした。
重ねてこの記者が「現在開発中のロボットアームに代わる取り出し方法、プランBのようなものは検討しないのか?」と質問すると「現時点では聞いていない」と答えた。
IRIDは契約の内容に関わるとして、海外メーカーとの契約経緯や開発の状況については、従来もほとんど取材には応じていない。