2020年7月10日(金)午後2時00分より、東京都新宿区西新宿の東京都庁 6F会見室にて、小池百合子都知事の定例記者会見が行なわれた。
冒頭、小池知事は、九州・中部地方を襲った記録的な豪雨による被害で亡くなった方々に哀悼の意を表し、被災者の方々にお見舞いのことばを送った。また、東京都として、熊本県の人吉市に液体ミルク500本を提供したこと、そして被災地からの要請があれば、必要な支援・応援を行う準備があることを報告した。
また、小池知事は、「近年は、これまでに経験したことのない災害が数多く発生している」とし、「状況に応じて、自らの身をどうやったら守れるか、家族を守れるかをお考えの上、最善の行動をとっていただくようお願いする」と結んだ。まるで「自分の身は自分で守れ」と言っているようにも聞こえる。
次いで、新型コロナウイルス関連で、前日、7月9日の都内の新規陽性者が224人と、これまでで最多の人数となったことに触れ、「この数字に都民の皆さんも大変心配されていると思うが、これは現在、PCR検査は1日3,000人を超えており、また、陽性者の出た『接待を伴う飲食店』の事業者の方々の協力により、従業員が集団で検査を受けるケースもあり、全体の陽性者数も増えているとも言える。しかしながら、さらに警戒が必要な段階であると認識している」と述べた。
そして、「都としてはより一層のスピード感をもって、感染の拡大防止などの取り組みを展開していきたい。そのために、第6次の補正予算を編成した。総額は3132億円。今後この補正予算は議会での審議を経ることとなるが、成立後は、盛り込んだ施策を速やかに実施し、それによって、都民の命を守り、東京の経済を回復させていきたいと考えている」と意気込みを語った。
また、「接待をともなう飲食店」の従業員や利用客を対象とした「相談・情報提供サービス」を、本日午後5時から開始するとした。これは、別名「もしサポ(もしもの時のサポートシステムを略したもの)」とも呼ばれ、利用を希望する場合、店舗情報を登録・申請し、発行される二次元コードを店舗の入り口などに掲示することとなる。
最後に、民間の空き家対策として「先端技術を活用し、空き家を地域のテレワークの拠点とする」、また「空き家を子育て世帯、ひとり親世帯、外国人就労者世帯向けの住宅に改修する」ことや、東京のデジタルトランスフォーメーションを実現するための「スマート東京実施戦略」の進捗状況、および、「性自認及び性的指向に関する専門LINE相談」の実施など、新しい施策について、小池知事より概要の説明があった。
小池知事からの報告の後、各社記者と知事との質疑応答が行われた。記者からの質問は、新型コロナウイルスの感染拡大防止に関するものに終始した。
コロナ禍の中で、それと並行して、空き家対策、街のデジタル化といった都民の生活に直結する施策が着々と進められている。特に、その健康への悪影響が一部で取り沙汰されている「5G(第5世代移動通信システム)」を使用する「スマート東京」戦略については、今後、継続的に監視していく必要がある。また、コロナ対策として計上された「第6次補正予算の執行状況」にも目を光らせていかなければならない。