2020年6月30日(火)、千代田区霞が関の総務省会見室にて、高市早苗総務大臣の定例会見が開かれた。
IWJ記者は高市総務大臣に、「特別定額給付金が、住所不安定者、いわゆるホームレスの方に対して支給される場合に、住民票がない、取得するのに困難があるなどの問題があってなかなか申請手続きができないことについて、総務省は一応の把握はして地方自治体に通知をしているが、当事者や支援団体からは対応の不足や至らなさが指摘されている。今後実態に即した対応がなされていくのかどうか」と質問した。
高市大臣はこれについて、次のように答えた。
「ホームレスなどの方に対する給付金の支給については、まず4月28日に地方団体に対して事務連絡を発出し、手続の援助や積極的な周知といった支援をお願いした。
さらに6月17日には、ホームレスなどの方に対する住所認定取扱いについて地方団体に対して通知を行い、ホームレスの方々からの住民登録相談に積極的に応じていただくこと、また、緊急的な一時宿泊場所であっても管理者の同意があって生活の本拠たる住所として市区町村長が認定し、適当と判断した場合には住民票を作成すること、この場合、自立支援センターやネットカフェのほか、簡易宿所、無料低額宿泊所、いわゆるシェルターといわれる生活困窮者一時宿泊施設などについても、その対象となり得ることをお知らせしました。
住民登録をまだ行えていない方につきましては、円滑に住民登録を受けて、給付金を受けていただきますよう市区町村からの相談を受けながら必要な対応を行って、取り組みの促進を図りたい。
一部に、『住民登録はいらないのではないか』というご意見もあると聞いていますが、仮に住民登録を行わないまま給付対象とした場合には、二重給付防止の観点から少し問題が生じる可能性がある。つまり、住民基本台帳以外の情報によって、市区町村の地域を越えて管理をすることが必要になってしまいますので、これは非常に難しいことであると考えております」
高市大臣の答えは、当事者と支援団体が不備とする従来の総務省の見解を述べるばかりであった。
6月8日には大阪・釜ヶ崎の野宿者および不安定居住者とその支援団体が、住民票がない場合でも現金手渡しで速やかに給付金を支給するようにとの要望を大阪市と協議。IWJはこれを取材した。ぜひ以下のURLよりご覧いただきたい。
会見の冒頭、高市総務大臣より3件の報告がなされた。
ひとつは労働力調査結果であり、5月の完全失業率が季節調整値で2.9%と前月に比べ0.3ポイント上昇、これは3か月連続の上昇であること、就業者数が昨年に比べ76万人の減少となる6656万人となったことが告げられた。
また就業者のうち休業者数は423万人で、これは1年前に比べ274万人の増加であるが、4月と比較すると増加幅は146万人の縮小となっているという。高市大臣はこれらの労働力状況の変化に対し、「新型コロナウイルス感染症の影響が大きく現れている。今後も十分に注視していく」と述べた。