2020年5月29日(金)、千代田区霞が関二丁目の中央合同庁舎第2号館6階、総務省会見室にて、高市早苗総務大臣の定例会見が開かれた。冒頭大臣より三件の報告があった。
本日5月29日、労働力調査の4月分結果が公表されたことに関連し、概要が説明された。高市総務大臣は、「2020年4月の完全失業率は2.6%で3月から0.1%増、就業者数は6628万人で前年同月比で80万人減。これらは88か月(7年4か月)ぶりの減少だ。産業別で言うと、宿泊業、飲食業、小売業および製造業などで就業者数が減少している。また就業者中597万人の休業者がおり、これは3月からは389万人増、一年前に比べて420万人の増加となる。リーマンショック時には見られなかった現象で就業者が失業者になるのでなく、休業者が増えている。今後も動向を注視したい。さらに詳しい内容は統計局のデータをご覧いただきたい」と述べた。また、のちの記者による質問で休業者数597万人は過去最大であることも明らかにされた。
次いで、特別定額給付金の受付と給付の状況についての報告があった。全国の対象1741市町村のうち、現在システム整備中で申請を控えている東京都大島町を除く1740の市町村で郵送もしくはオンラインのいずれかで給付申請があり、5月29日現在郵送申請への給付が83.2%、オンライン申請への給付開始が97.6%おこなわれているという。高市大臣は、「平成21年の定額給付金、当時は郵送のみでしたが、その給付が申請開始から3か月ほど経過しても80%台だったことと比較すると大幅な迅速化が実現された」と語った。
高市大臣より最後に報告されたのは、5月27日に閣議決定した第2次補正予算に「光ファイバー整備に関する補助事業」として501.6億円を計上した件であった。大臣は、「感染防止に協力いただきつつ国民の皆さんに日常を取り戻していただくための遠隔教育、遠隔医療、テレワークを支えるために情報通信環境を整備していく」と述べ、4月30日に成立した第1次補正予算における同事業の予算31.3億円が過疎地、離島、オンライン環境が整っていない学校だったのに比し、今回はそれ以外の広範な地域を対象に光ファイバー回線整備を進めていくことを明らかにした。
その後の質疑応答では、昨年12月に発覚した鈴木茂樹総務事務次官(当時)による同次官OBの鈴木康雄日本郵政上級副社長(当時)への行政処分情報漏洩問題に関して、5月25日に外部弁護士による調査報告書が公表されたことの受け止めなどが問われた。
IWJは、高市総務大臣が前回5月26日の定例会見において、女子プロレスラー・タレントの木村花さんがSNS上の誹謗中傷に傷ついて自ら命を絶ったことに絡めて、ネット上の誹謗中傷抑止を目的として、発信者情報の開示を円滑化する制度改正の検討を語った件に関連して、「その『プロバイダ責任制限法』検討の有識者会議が設置されたのは先月のことであり、いまは木村さんが亡くなられたことと結び付けて紹介されているが、先月の時点でもやはり同様のSNS上の誹謗中傷、権利侵害発信抑止を想定して会議を設けていたのか」「その制度改正が表現の自由や個人情報保護を侵害し、政府による個人の監視に結び付くことを懸念する意見があるがどう思われるか」の2点を問おうとしていたが指名されることはなかった。