(1)「日本維新の会」の「文書通信交通滞在費」の使途にける法的問題を何度か取り上げている。
この投稿では、東徹参議院議員の2017年分の「文書通信交通滞在費」の使途報告書を取り上げて検討する。
東徹氏は、2003年に大阪府議会選挙で初当選し(以後3期連続)
大阪維新の会創設メンバーで、
2013年には参議院通常選挙(大阪府選挙区)で初当選した参議院議員であり、
日本維新の会の 総務会長や参議院国会対策委員長のようだ
(https://www.azuma-toru.com/profile)。
(2)では、東徹参議院議員の2017年分の「文書通信交通滞在費」の使途報告書
を確認する。
1月分
https://o-ishin.jp/bunsho/pdf/2017/01/201701_azumatoru2.pdf
2月分
https://o-ishin.jp/news/bunsho/2017/images/218efe8df843de6a2b65d4228ba56fd4e0a76dde.pdf
3月分
https://o-ishin.jp/news/bunsho/2017/images/0391a8e06df2e8bd3be7d83a623253a2e04f930c.pdf
4月分・・・・公表なし。
5月分
https://o-ishin.jp/news/bunsho/2017/images/63e802dc482f31abe691a2ab2600db40ec5a49fc.pdf
6月分
https://o-ishin.jp/news/bunsho/2017/images/433cac3c214bde50159a029f89f8e637df5b86b8.pdf
7月分
https://o-ishin.jp/news/bunsho/2017/images/4a2a091991cc5ede535f9e45f8bfb11d81211971.pdf
8月分
https://o-ishin.jp/news/bunsho/2017/images/e2fadaaad08e1cb389a07da1b5073e7e8c7806c0.pdf
9月分
https://o-ishin.jp/news/bunsho/2017/images/239e296eb8b5d8f81323c61d6b5605cc3be41b94.pdf
10月分
https://o-ishin.jp/news/bunsho/2017/images/201710_azumatoru.pdf.pdf
11月分
https://o-ishin.jp/news/bunsho/2018/images/339afdf03c14df36afa32254cefc1c15af913af5.pdf
12月分
https://o-ishin.jp/news/bunsho/2018/images/dc6d89ae9362cd142662fdc8ee4a0a0925cf4a11.pdf
(3)以上のうち、「政党支部繰入(寄付)」の合計金額だけを転記するが、
あわせて、
東徹参議院議員が代表を務める政党支部「日本維新の会参議院大阪府選挙区第1支部」
の2017年分政治資金収支報告書(http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/11318/00306681/29PY0009.pdf)
の「収入」欄に記載された同議員からの寄付額も転記する。
月 政党支部繰入(寄付) 議員の寄付額
1月分 73万5091円 62万1129円
2月分 65万5955円 60万8248円
3月分 60万9836円 73万5091円
4月分 不明 65万5955円
5月分 65万0544円 60万9836円
6月分 68万1955円 61万3978円
7月分 83万6259円 65万0544円
8月分 84万9761円 68万1055円
9月分 80万9498円 83万6259円
10月分 78万1250円 84万9761円
11月分 71万4233円 80万9498円
12月分 71万2579円 78万1250円
合計 803万6961円 845万3504円
(4)以上紹介したものを比較すると、金額が一致しないことが判明する。
なぜ、このような齟齬が生じているのだろうか?
実は、
「文書通信交通滞在費」の使途報告書と一緒に公表されている「領収書」
を見ると、
例えば、1月分の「政党支部繰入(寄付)」は3月の日付になっているのだ、
「領収書」の日付を基準にすると、
2カ月遅れで「政党支部繰入(寄付)」が行われているのである。
私が転記した上記の両者を比較すると、それが確認できるだろう。
そうすると、
使途報告書が公表されていない4月分の「政党支部繰入(寄付)」は
61万3978円と推定できる。
(5)領収書を基準にすれば、厳密にいえば、
「文書通信交通滞在費」の使途報告書の「政党支部繰入(寄付)」は
虚偽ということになる。
これは、
「文書通信交通滞在費」の使途報告書が報告対象月から2か月後に作成され、
かつ、「政党支部繰入(寄付)」の領収書が2カ月遅れで作成されている結果である
と推察される。
つまり、
「文書通信交通滞在費」の使途報告書に記載されている
2カ月前の「政党支部繰入(寄付)」が実際には2か月後に行われていることになる。
杜撰である!!!
(6)以下では、
東徹議員の「文書通信交通滞在費」の使途報告書
を前提とし(やむを得ない)、
ただし、2017年4月分の「政党支部繰入(寄付)」は、
政党支部の政治資金収支報告書に記載されている2カ月遅れの金額を前提にして、
当該使途報告書における使途をチェックする。
なお、以下では、全てを転記せずに、「人件費」、
「政党支部繰入(寄付)」、
その主たる内訳(「国政活動スタッフ1名」「駐車料金」「事務所賃賃料」)
だけを転記する(「事務賃貸料」は「事務所賃借料」の間違いだろう)。
月 人件費 政党支部繰入(寄付)内訳(スタッフ1名)同(駐車料金)
1月分 5万5600円 73万5091円 43万5000円 4万円
2月分 10万0600円 65万5955円 43万5000円 4万円
3月分 14万6800円 60万9836円 43万5000円 4万円
4月分 ? 61万3978円 ? ?
5月分 10万0900円 65万0544円 43万5000円 4万円
6月分 10万0250円 68万1955円 43万5000円 4万円
月 人件費 政党支部繰入(寄付)内訳(スタッフ1名)同(事務所賃貸料)
7月分 0円 83万6259円 43万5000円 21万円
8月分 0円 84万9761円 43万5000円 21万円
9月分 4万4600円 80万9498円 43万5000円 21万円
10月分 4万7800円 78万1250円 43万5000円 21万円
11月分 11万6400円 71万4233円 43万5000円 21万円
12月分 6万4000円 71万2579円 43万5000円 21万円
(7)以上の転記によると、
「政党支部繰入(寄付)」の合計額は865万0939円になる。
そのうち、
その主たる内訳の「国政活動スタッフ1名」の合計は478万5000円、
駐車料金の合計は20万円、事務所賃貸料(賃借料)の合計は126万円、
総計は624万5000円である。
「政党支部繰入(寄付)」865万0939円のうち使途が明記されているのは
624万5000円であり、その差額240万5959円は使途不明金である。
これでは、使途の透明について胸を張れない。
(8)前述の「2カ月のずれ」が関係しているものがある。
「大阪維新の会大阪府選挙区第1支部」(代表・東徹)
の2017年分「政党交付金使途報告書」(http://www.soumu.go.jp/senkyo/seiji_s/seijishikin/contents/SK20180921/TK/062721400046.pdf)
を見ると(ブラウザについては、Internet Explorerをご利用する必要がある)、
「事務所賃家賃」(月21万円)は1月から8月まで政党交付金からが支出されているのだ。
「文書通信交通滞在費」の「政党支部繰入(寄付)の主たる内訳によると、
7月から12月まで政党支部の「事務所賃貸料」(賃借料)の支払い目的で
「政党支部繰入(寄付)」が行われているが、
7月と8月は政党交付金から出されているので、
虚偽の理由で「政党支部繰入(寄付)」が行われたことになる。
これに対しては、
前述の2カ月の記載ずれを理由に弁明することが予想されるが、
杜撰としか言いようがない。
(9)「人件費」の出合計額は、支出の不明な4月を除くと
77万6950円である。
「国政活動スタッフ1名」478万5000円は、
政党支部の職員の人件費だろう。
いずれもも違法だ。
「文書通信交通滞在費」の目的外の支出だし、
職員の人件費は、政党交付金で賄えるからだ。
なお、公設秘書2名と政策秘書1名は公費負担されている。
また地元の「駐車料金」20万円、地元の「事務所賃貸料」(賃借料)も
目的外の支出だし、政党交付金で賄えるから、違法支出だ
(10)要するに、
東徹議員の「文書通信交通滞在費」の2017年分の場合、
「政党支部繰入(寄付)」865万0939円のうち
240万5959円が使途不明金となっており、
残りの624万5000円(「国政活動スタッフ1名」478万5000円、
駐車料金20万円、事務所賃貸料(賃借料)126万円)は、
違法支出であろう。
また、
少なくとも独自の支出「人件費」478万5000円も違法支出であろう。
(つづく)