政治資金問題から見える「維新の正体」その65(「文書通信交通滞在費」の使途の透明化問題)~ブログ「上脇博之 ある憲法研究者の情報発信の場」より 2019.7.20

記事公開日:2019.7.20 テキスト
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(文・上脇博之)

特集 「ゆ」党再編の要!? 維新の「正体」
※2019年7月19日9:37投稿の本ブログは、上脇博之氏の許可をいただき掲載しています。

(1)「日本維新の会」の所属国会議員の「文書通信交通滞在費」問題についてこのブログで何度か指摘したが、「日本維新の会」は全く反省していないようなので、「文書通信交通滞在費」のそもそも論から「日本維新の会」の違法使途問題を指摘した。

政治資金問題から見える「維新の正体」その64(「文書通信交通滞在費」についての詐欺師のような手口)
http://blog.livedoor.jp/nihonkokukenpou/archives/51924418.html

以下、今回の投稿では、
「日本維新の会」における「文書通信交通滞在費」の使途公開(透明性)問題を指摘する。

(2)「日本維新の会」は、
同党所属の国会議員の「文書通信交通滞在費」を政党支部や資金管理団体に
寄付していることにつき、批判を受けたので、それを踏まえて、
”寄付を受けた政党支部・資金管理団体は政治資金規正法に基づき
1円から領収書を公開している”旨の弁明・反論を行っている。
つまり、
政党支部・資金管理団体に「文書通信交通滞在費」を寄付しても、
政党支部・資金管理団体の支出に関する領収書は1円から公開されるので、
結果的に、「文書通信交通滞在費」の使途の透明性が確保されている
と反論しているのだろう。

(3)政治資金規正法によると、
「国会議員関係政治団体」の場合、その支出については、確かに、
「1万円超の支出」の明細
(支出を受けた者の氏名及び住所、支出の目的、金額及び年月日)
を政治資金収支報告書に記載し、
その分の領収書の写しを添付することが義務付けられており、
情報公開請求すればその領収書の写しは開示されるし、
「1万円以下の支出」についても、いわゆる少額領収書開示制度があるので、
総務省または都道県選挙管理委員会を介して
1万円以下の領収書も開示される仕組みになっているが、
しかし、
それは、すべての支出が対象ではない。

「人件費」については支出総額の記載だけが義務付けられているに過ぎない。
したがって、
「人件費」については、
1万円超の分の支出の明細を政治資金収支報告書に記載する義務はないし、
1万円以下の少額領収書の開示制度もない。

もちろん、
政党支部や資金管理団体が「人件費」についても
支出明細を”任意で”記載することは全くの自由であるが、
「日本維新の会」の所属議員が代表になっている政党支部・資金管理団体
の政治資金収支報告書をチェックしても、「人件費」の明細の任意記載はない。

したがって、
「日本維新の会」が1円から領収書が公開されるから透明さが確保されている
と胸を張ることはできないし、
その弁明は嘘の弁明と受けとめられても仕方ない。

(4)また、政党支部や資金管理団体の政治資金の支出には制限がないので、
「文書通信交通滞在費」の支出として違法なものも含まれていることが予想される。
(現に、「日本維新の会」の場合は、
「人件費」への支出など違法支出が多数確認できる。)

そうすると、
たとえ政治資金の支出の中に
「文書通信交通滞在費」の支出として合法なものがあったとしても、
その範囲内で支出がなされたのか、目的外の違法支出がなされたのか、
を確認することは、
政治資金収支報告書をざっとみただけでは容易ではない。

「文書通信交通滞在費」の使途を公開するのは、
その目的の範囲内で支出がなされたのかどうかを含め
国民がチェックできるために行うのだから、
そのチェックが容易にできないようであれば、使途の公開としては不合格である。

(5)これに対しては、
「文書通信交通滞在費」の使途報告書の「備考」の欄に
寄付の受領先は何に支出するの野化を明記しているとの反論が予想されるが、
そもそも、その明記がないものがあることは、すでに紹介したし
http://blog.livedoor.jp/nihonkokukenpou/archives/51923407.html)、
明記がある場合でも、寄付の全額ではなく、
その一部だけしか記載されていないものも多く、
その残りは、何のために支出されるのか不明である。

これでは、使途報告としても失格である。

(6)また、何に支出される寄付なのかを明記している場合でも、
寄付を受けた側(政党支部や資金管理団体)の政治資金週収支報告書をチェックしても、
それが見当たらないこと、つまり嘘の理由による寄附がなされていることも
すでに指摘した
http://blog.livedoor.jp/nihonkokukenpou/archives/51915930.html)。

(7)「日本維新の会」は行うべきことは、
通用しない弁明を主張し続けrことではない。

所属議員による「文書通信交通滞在費」の違法支出分を国庫に返納し、
そして
「文書通信交通滞在費」の使途を制度的に公開するために
関係法律を改正する(あるいは新法を制定する」ことを、
一切使途公開してない与党の自民党などに要請することだ。

(つづく)

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