政治資金問題から見える「維新の正体」その56(「澤野雅洋後援会」及び澤野雅洋候補の消えた計305・4万円超)~ブログ「上脇博之 ある憲法研究者の情報発信の場」より 2019.7.16

記事公開日:2019.7.16 テキスト
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(文・上脇博之 )

特集 「ゆ」党再編の要!? 維新の「正体」
※2019年6月20日16:14 投稿の本ブログは、上脇博之氏の許可をいただき掲載しています。

(1)澤野雅洋氏は、2015年大阪府議会選挙に
「大阪維新の会公認」候補として立候補したが、
落選している(http://blog.livedoor.jp/masa12241/)。

(2)「澤野雅洋後援会」(代表・澤野雅洋)の2014年分政治資金収支報告書(http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/11318/00201620/26sa0173.pdf)を見ると、
「前年からの繰越額」が97万4763円、「本年の収入」が100万円、
合計すると2014年の収入総額は197万4763円である。

では、支出はどうか?
0円である。
その結果として、「翌年への繰越額」は収入総額の197万4763円である。

「澤野雅洋後援会」の2014年分の政治資金収支報告書は
その解散に基づくものではないので、
同年末の政治資金は2015年に引き継がれている。
つまり、
「澤野雅洋後援会」の2014年末の政治資金の残金は197万4763円であり、
それが2015年に繰り越されていたのである。

(3)ところが、2015年分以降の政治資金収支報告書が大阪府のWEB上で
公表されていないのである。
澤野雅洋氏は、2015年大阪府議会選挙で
「大阪維新の会」公認候補として立候補したものの落選した(http://blog.livedoor.jp/masa12241/)。

同年に「澤野雅洋後援会」は
政治資金の収入も支出もあった可能性がある。

もしその後、政治家の道を離れ、「澤野雅洋後援会」は解散したとしても、
少なくとも2015年分の政治資金収支報告書については、
大阪府選挙管理委員会に提出されているはずである。
政治資金規正法は解散した場合でも政治団体の政治資金収支報告書は
作成・提出するよう義務付けているだからだ。

(4)そこで「大阪府公報」をあれこれ調べてみた。
すると、
「大阪府選挙管理委員会告示第71号」(2017年7月4日)により
「政治資金規正法第17条第2項」の規定により、2017年4月1日以降、
「政治活動(選挙運 動を含む。)のために寄附を受け、又は支出をすることができない団体」
となっていた
http://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_10404328_po_280704選管事務局告示第71号.pdf?contentNo=8&alternativeNo=)。

2枚目
澤野雅洋後援会  代表・澤野 雅洋  会計責任者・三輪 政雄  主たる事務所の所在地 大阪府大阪市旭区今市(以下略)

(5)政治資金規正法第17条第2項は、
政治団体が政治資金収支報告書を「その提出期限までに提出しない場合において、
当該政治団体が当該提出期限までに当該提出期限の属する年の前年において
同項の規定により提出すべき報告書をも提出していないものであるときは、
第8条の規定の適用については、当該政治団体は、当該提出期限を経過した日以後は、
第6条第1項の規定による届出をしていないものとみなす」
と定めており、
同法第8条は、
「政治団体は、第1条第1項の規定による届出がされた後でなければ、
政治活動(選挙運動を含む。)のために、いかなる名義をもつてするを問わず、
寄附を受け、又は支出をすることができない。」
と定めており、
同法第6条第1項は「政治団体の届出等」を義務付けている。

以上の各定めは、
政治団体の届け出をしている政治団体であっても、
政治資金収支報告書の提出を2年にもわたって怠っている場合には、
政治団体としての届け出をしていないものとみなし、
それ以降は、寄附を受けることも支出をすることも禁止する、
という定めないのである。

(6)「大阪府選挙管理委員会告示第71号」は、2017年7月4日付なので、
おそらく2015年分と2016年分の政治資金収支報告書を提出していない政治団体
について、上記の告示をしていることになるのだろう。
そうであれば、
「澤野雅洋後援会」は、2015年分と2016年分の各政治資金収支報告書を
提出していないことになる。
これは政治資金規正法違反である。
政治資金規正法は、
政治資金収支報告書の不記載や虚偽記載について罰則を用意している
(第25条第1項第2号・第3号)が、
政治資金収支報告書を提出しない場合も罰則を予定している
(第25条第1項第1号)。

(7)もう一つの問題は、
2014年の「翌年への繰越額」197万4763円がどうなったのか、
という問題である。

2015年の大阪府議会選挙で公職候補者だった「澤野雅洋」候補
の選挙運動費用収支報告の要旨(下記)を見ると、
同候補は「澤野雅洋後援会」からの寄付を受領してはいないようだ。

2015年年4月12日執行の大阪府議会 議員選挙における公職の候補者の選挙運動に関する収支報告書の要旨(http://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_10303295_po_290116大阪府選挙管理委員会事務局第%EF%BC%97号.pdf?contentNo=5&alternativeNo=)
の64枚目の「澤野雅洋候補」の第1回分を参照。

「澤野雅洋後援会」が政治資金の収支について適正に処理していれば、
政治資金収支報告書を提出しているはずである。
この点は政治団体として解散した場合でも同じである。
したがって、
誰かがネコババしたのではないかという疑念が生じてしまう。

政治団体が「公職の候補者」に関係していないものであり、
かつ、繰越額などが少額であれば、あえて社会的に問題にする必要はないかもしれないが、
澤野雅洋氏は、2015年大阪府議会選挙で落選したとはいえ「公職の候補者」であったし、
2014年末の残金「197万4763円」は地方政治レベルでは
決して少額とは言い難い金額であるし、
2015年には府議会選挙が行われており、その関連の収支が予想される。

したがって、
「澤野雅洋後援会」が2015年分・2016年分の各政治資金収支報告書を
大阪府選挙管理員会に提出していないことは、決して軽視できるものではない。

(8)また、上記紹介の2015年大阪府議会選挙における「澤野雅洋」候補
の選挙運動費用収支報告書の要旨によると、
収入は計200万円であり、
支出は計148万円余りで、そのうち56万円は公費負担なので、
実質的支出額は92万円余り程度である。

つまり、108万円弱が黒字なのである。
これは、選挙後に(公費負担に関する手続き後)
「公職の候補者」である澤野雅洋氏または出納責任者あるいはまた「澤野雅洋後援会」
が受け取っている可能性がある。
この108万円弱の行方も不明である。
「澤野雅洋後援会」の2015年分の政治資金収支報告書が作成・提出されていれば、
その点を確認できる可能性もあるが、
提出されていないので、確認できない。

(9)以上、検討したことから明らかなように、
「澤野雅洋後援会」の2014年末の残金「197万4763円」
と2015年府議会選挙における「澤野雅洋」候補の選挙運動資金の残金「108万円弱」
その合計305・4万円超の行方が不明である。

澤野雅洋氏は、「大阪維新の会公認候補」として
2015年大阪府議会選挙に立候補した以上、
以上の計305・4万円超の行方を説明する責任がある。

「大阪維新の会」も澤野雅洋候補を公認した以上、
澤野雅洋氏に説明させる責任がある。

(つづく)

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