政治資金問題から見える「維新の正体」その52(堺市長選挙での永藤英機候補の公約の本音)~ブログ「上脇博之 ある憲法研究者の情報発信の場」より 2019.7.15

記事公開日:2019.7.15 テキスト
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(文・上脇博之)

特集 「ゆ」党再編の要!? 維新の「正体」
※2019年6月4日00:07投稿の本ブログは、上脇博之氏の許可をいただき掲載しています。

(1)永藤英機府議会議員(当時)の政治資金問題、
資金管理団体「永藤英機後援会」の事務所問題および政務活動費問題について
以下の4回の投稿でそれぞれ指摘をした。

「その48」(「永藤英機後援会」のセコイ寄付不記載疑惑)
http://blog.livedoor.jp/nihonkokukenpou/archives/51916340.html

「その49」(「永藤英機後援会」の少額の「経常経費」支出と2つの事務所)http://blog.livedoor.jp/nihonkokukenpou/archives/51916245.html

「その50」(永藤英機府議の「政務活動」事務所こそ「永藤英機後援会」事務所)http://blog.livedoor.jp/nihonkokukenpou/archives/51916366.html

「その51」(永藤英機府議の「政務活動費」詐取疑惑)
http://blog.livedoor.jp/nihonkokukenpou/archives/51916384.html

(2)すでに紹介したが、
永藤英樹氏は、2017年、府議会議員を辞職して同年9月24日の堺市長選挙に
「大阪維新の会」公認で立候補したが、当選してはいない(http://www.city.sakai.lg.jp/shisei/senkyo/senkyo_d/data01/H290924_shicho_senkyo.files/H29_shichosenkyo_kaihyoukekka.pdf)が、
今月(2019年6月)9日執行の堺市長選にも「大阪維新の会」公認候補として立候補している(http://www.city.sakai.lg.jp/shisei/senkyo/oshirase/H310322_touitu.files/kouhosya0526.pdf)。

永藤英樹候補の選挙公約は、「選挙公約」(http://www.city.sakai.lg.jp/shisei/senkyo/oshirase/H310322_touitu.files/senkyokouhou0526.pdf
で、見ることができる。

(3)永藤英樹候補の「選挙公約」は、「大阪維新の会」の正体を知らない者にとっては、
とにかくわかりづらい。

永藤英樹候補は
「大阪維新の会公認」
「新しい堺を創る」
「堺市・大阪市のツインエンジンで成長する大阪へ」

「大阪維新の会」の正体を知らない者にとっては、
以上の表現は何を意味するのか、すぐには理解できない者が少なくないのではなかろうか。
中には、騙されている者も少なくないだろう。

(4)「大阪維新の会」は、2015年に大阪市を廃止するための大阪都構想住民投票
を数の力で強行した。
もっとも、その結果は、「反対」が多数だったので、
大阪市を廃止せず、存続させるという結論が出たのだ。
橋下徹大阪市長は、当時その責任をとって事実上の辞任に追い込まれた。

にもかかわらず、「大阪維新の会」は、
その民意を無視して再度大阪都構想住民投票を強行しようとしている。
つまり、「大阪維新の会」は、今でも大阪市を廃止しようとしているのだ。
それなのに、
永藤英機候補は、「大阪維新の会公認」で立候補していながら、
「堺市・大阪市のツインエンジンで成長する」と公約するのは、
「大阪市」の存続を前提にしているので、
全く不可解なことを公約していることになる。

永藤英機候補が「大阪維新の会」の方針に反旗を翻し無所属で立候補したのであれば、
その公約もわからなくもないが、
大阪市を廃止する「大阪都構想」住民投票の実現を目指す「大阪維新の会」
の「公認」として堺市長選挙に立候補したということは、
堺市は大阪市と将来を共にし、
大阪市だけではなく、堺市も廃止することを目指していることになる。
堺市の自治権の否定・放棄である。

しかし、今回の堺市長選挙の演説においても、
大阪都構想に「堺市」を含めると明言していはないようだ。

住民をバカにした表現の公約としか言いようがない。

(5)この点は、「政治とカネ」問題についての公約でもいえることだ。

「政治とカネの問題を二度と繰り返さないために」
・「政治資金収支報告書に税理士等専門家によるチェックを行います。」
・「業界団体や職能団体からの寄付は受けません。」
等と公約している。
そして、「しがらみのないクリーンな市政で、全ての世代が希望を持てる堺へ」
とも明記している。

おそらく
「業界団体や職能団体からの寄付」は受け取らないから
「しがらみのないクリーンな」政治・行政ができる
と主張したいのだろう。

(6)しかし、
そもそも「大阪維新の会」は安倍政権と結託してカジノ誘致に奔走している。
カジノは明らかに大きな利権になるから、クリーンな政治・行政とはほど多い。

「カジノ法案提出者5人、業者の献金語らず 民進質問に」
朝日新聞(2016年12月2日12時38分)は、当時、以下のように報道していた。
カジノを含む統合型リゾート(IR)の整備を政府に促す議員立法「カジノ解禁法案」をめぐり、自民党と日本維新の会の法案提出者5人は2日午前の衆院内閣委員会で、カジノ関連業者からの献金やパーティー券購入の有無について質問を受けたが、事実関係を明らかにしなかった
民進党の緒方林太郎氏が「議論に入る前提として、カジノ業界や業界団体、遊戯産業関係業者、業界団体からの政治資金パーティー券の購入、さらには政治団体への寄付はそれぞれあるか」と質問した。
 これに対し、提出者である自民の西村康稔氏は「政治資金規正法にのっとって適正に処理している」と答弁。続いて自民の細田博之、岩屋毅両氏、維新の小沢鋭仁、松浪健太両氏がいずれも「同様です」とだけ答弁した。

その1年半余り後、「週刊文春」 2018年7月19日号は、
米国のカジノ業者が国会議員15人のパーティー券を購入していたことが
「週刊文春」の入手したリストから分かった、と報道した。

カジノ誘致に奔走する「大阪維新の会」の「公認」候補が、
「しがらいのないクリーンな市政」を公約するのは明らかに矛盾する。

(7)そうなると、
永藤英機候補の「選挙公約」の中の
「業界団体や職能団体からの寄付は受けません。」
には、当然、裏があることに気づく必要がある。

というのは、
政治資金規正法は「寄付」収入と「政治資金パーティー」収入を区別しており、
企業が政党(及び政治資金団体)に寄付(政治献金)することを許容しているが、
政党以外の政治団体や公職の候補者に寄付することを禁止している。
これに比べ、同法は、
政党が主催する政治資金パーティーだけではなく
政党以外の政治団体が主催するパーティーについても、
企業がそのパーティー券を購入することを許容している。

「大阪維新の会」は、現に
企業に政治資金パーティー券を購入にしてもらっている。
このことは、すでに
「その16(「吉村洋文後援会」の2016年収益率50%超の政治資金ーパーティーと
企業のパー券購入実態)」で紹介した(http://blog.livedoor.jp/nihonkokukenpou/archives/51911277.html)。

また、大阪維新の会が一般社団法人「大阪府宅地建物取引業協会」の政治団体
「大阪府宅建政治連盟」から政治資金パーティー券を購入してもらっていながら、
その収入の一部を政治資金収支報告書に記載してなかったことも
「その11(「大阪維新の会」等の「大阪府宅建政治連盟」購入政治資金パー券
収支計332万円~388万円不記載疑惑)」で指摘した(http://blog.livedoor.jp/nihonkokukenpou/archives/51910961.html)。

(8)ということは、
永藤英樹候補の公約「業界団体や職能団体からの寄付は受けません。」
においては、
企業だけではなく、業界団体や職能団体にも
政治資金パーティー券を買ってもらうことまで
自主規制するとは明示してはいないので、
企業、業界団体や職能団体から
「大阪維新の会」主催あるいは永藤英機候補の政治団体主催の
政治資金パーティー券を実際に買ってもらって
「しがらみのあるダーティーな市政」を目指している
と公約していることになりそうだ。

(つづき)

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