政治資金問題から見える「維新の正体」その51(永藤英機府議の「政務活動費」詐取疑惑)~ブログ「上脇博之 ある憲法研究者の情報発信の場」より 2019.7.15

記事公開日:2019.7.15 テキスト
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(文・上脇博之)

特集 「ゆ」党再編の要!? 維新の「正体」
※2019年5月31日12:35投稿の本ブログは、上脇博之氏の許可をいただき掲載しています。

(1)このブログ連載の直近の下記の2回の投稿では、永藤英機府議会議員(当時)の資金管理団体「永藤英機後援会」の事務所問題について指摘をした。

「その49」(「永藤英機後援会」の少額の「経常経費」支出と2つの事務所)http://blog.livedoor.jp/nihonkokukenpou/archives/51916245.html

「その50」(永藤英機府議の「政務活動」事務所こそ「永藤英機後援会」事務所)http://blog.livedoor.jp/nihonkokukenpou/archives/51916366.html

(2)その2回の投稿で指摘した要点をまとめると以下のようになる。

①「永藤英機後援会」の政治資金収支報告書に記載されている事務所の所在地は、
大阪府堺市堺区大浜中町(以下略)である。

②「日本維新の会堺市堺区支部」が「活動費」名目で「永藤英機後援会」に対し
2017年10月に支出したことを記載した「永藤英機後援会」の住所は
「堺市堺区栄橋町1-7-3 栄橋ビル4F」であり(http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/11318/00306681/29PY0040.pdf)。
この事務所も、「永藤英機後援会」である。

③もっとも、この事務所は、永藤英機府議会議員の政務活動費
の会計帳簿及び領収書の記載から判断して、
「政務活動のための事務所」である。

④この事務所の「家賃」などは、そのほとんどが
永藤英機府議会議員の政務活動費から支出されているが、
政務活動費から賄われていない分については、
「永藤英機後援会」の「経常経費」から支出されている(金額が一致)ので、
この事務所は、以前から「永藤英機後援会」の事務所でもあることがわかる。

⑤「永藤英機後援会」の政治資金収支報告書に記載されている
「事務所費」などの「経常経費」の金額は、
政務活動のための事務所の、政務活動費で賄われない分の金額なので、
「永藤英機後援会」事務所固有の「経常経費」は支出されていないし、
無償提供(寄附)の記載もないから、
「永藤英機後援会」の政治資金収支報告書に記載されている事務所は
事務所としての使用実態がないことになる。

⑥したがって、「永藤英機後援会」の「主要な事務所」は、
政治資金収支報告書に記載されている事務所(大阪府堺市堺区大浜中町(以下略))から
政務活動費のための事務所(「堺市堺区栄橋町1-7-3 栄橋ビル4F」)
へと変更されるべきだったが、そうはされてこなかった。

以上はこれまでの投稿で判明していることである。

(3)ところで、
大阪府議会の「政務活動費の手引」(2017年4月)
www.seikatu.pref.osaka.lg.jp/documents/tebiki.pdf
は、14頁から政務活動費の「使途基準の運用指針」を明示しており、
例えば「事務所費(賃料・管理運営費)」につては、16-17頁で
「自己所有物件及び生計を一にしている親族・・・の所有物件
の賃料ないし使用料、分担金の支払に政務活動費を充当させることはできません。」
などと説明している。

また、
「按分の考え方(賃借料、光熱水費、維持管理費)」については、
「原則」として「政務活動の使用実態に応じて按分する」などと説明し、
・政務活動の使用時間で按分する場合
・政務活動の使用実態で按分する場合
をあげ、
・「使用実態で按分することができない場合の充当限度割合」については、
①「所有形態」が「第三者所有」の場合で、
 「政務活動+後援会活動」なら
 「賃借料1/2」 「光熱水費1/2」「維持管理費1/2」とし、
②「所有形態」が「第三者所有」の場合で、
 「政務活動+後援会活動+政党活動」なら
 「賃借料1/3」「 光熱水費1/3」「維持管理費1/3」とし、
③「所有形態」が「自己所有・生計を一にする親族所有」および「自宅兼用」の場合
 「賃借料」については、
 「使用形態」が「政務活動+後援会活動」でも「政務活動+後援会活動+政党活動」でも
  充当を認めてらず、
 「光熱水費」については
  「所有形態」が「自己所有・生計を一にする親族所有」の場合で
  「政務活動+後援会活動」なら「1/2」
  「所有形態」が「自宅兼用」の場合で
  「使用形態」が「政務活動+後援会活動+政党活動」なら「1/4」とし、
 「維持管理費」については、
  「所有形態」が「自己所有・生計を一にする親族所有」で
   「政務活動+後援会活動」なら「1/3」
  「所有形態」が「自宅兼用」で「使用形態」が「政務活動+後援会活動+政党活動」なら
   「1/6」としている。

(「政務活動費の手引」17頁の一覧がわかりやすいんで、見ていただきたい)

なお、私は、議会活動のための政務活動費(税金)を
政治団体の賃料等に充当するのは原則違法という立場であるが、
ここでは、上記の「政務活動費の手引」における政務活動費の「使途基準の運用指針」
に基づいて、以下、私見を論述する。

(4)永藤英機府議会議員(当時)は、政務活動のための事務所につき、
2014年度政務活動費支出報告書(http://www.seikatu.pref.osaka.lg.jp/pdf/2600-0063-a.pdf
2015年度4月政務活動費支出報告書(http://www.seikatu.pref.osaka.lg.jp/pdf/2704-0063-a.pdf
2015年度政務活動費支出報告書(http://www.seikatu.pref.osaka.lg.jp/pdf/2700-0051-a.pdf
2016年度政務活動費支出報告書(http://www.seikatu.pref.osaka.lg.jp/pdf/2800-0051-a.pdf
2017年度政務活動費支出報告書(http://www.seikatu.pref.osaka.lg.jp/pdf/2900-0051-a.pdf
の中の(後の方に掲載されえている)「事務所状況報告書」において、
「所有区分」を「賃貸物件」の「第三者所有」とし、
「使用形態」を「専用事務所」とし、「他用途との兼用」「無」と報告している。
そして、
「賃料」については
2015年3月までの2014年度および2015年4月は
「月額8万5000円(充当額7万8500円)とし、
「案分率の積算」を「事務所使用時間200時間内、政務活動に使用する時間180時間」
「9/10」とし、
2015年5月以降の2015年度~2017年度は
「月額8万5000円(充当額8万750円)とし、
「案分率の積算」を「事務所使用時間200時間内、政務活動に使用する時間180時間」
「95/100」と報告している。

(5)「大阪維新の会」の2017年分政治資金収支報告書
http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/11318/00306160/29rk0005.pdf
によると、永藤英機議員(当時)の住所は、
寄附の供与(事務所の無償提供)の記載の個所において
「大阪府堺市堺区大浜中町(以下略))と明記されているが、
この住所は、「永藤英機後援会」の「主たる事務所の所在地」
と同じのようである。

したがって、そこを政務活動のための事務所にしてしまうと、
事務所の賃借料について政務活動費を充当できないことになる。

そこが「自宅」または「自己所有物件」でないとしても
(今年の堺市長選での立候補の届け出住所とは違う)、
そこは「永藤英機後援会」事務所なので、
「使用実態で按分することができない場合の充当限度割合」は
「2分の1」になる。

それゆえ、永藤英機・府議会議員は、「永藤英機後援会」事務所を
政務活動のための事務にしなかったのだろう。

言い換えれば、事務所の賃料をできるだけ政務活動費で充当できるよう
「永藤英機後援会」の事務所とは別のところを
あえて政務活動勝のための事務所にしたのだろう。

(6)しかし、すでに確認したように
「永藤英機後援会」の事務所は、経常経費の支出は実質0円なので、
政務活動のために事務所は、実質的には「永藤英機後援会」の事務所として
後援会活動を行っていたはずである。
そうであれば、
事務所の使用実態で按分できないので、
按分による「充当限度割合」は「2分の1」になるはずだ。

(なお、百歩譲って、
事務所の使用実態で按分できるとしても、
永藤英機議員(当時)が報告した「10分の9」や「100分の95」という割合は
あまりにも高すぎる。)

地方議会は通年議会ではないから、
1年中ほとんど政務活動を行っており後援会活動をほとんど行っていない
ということはありえないだろう。

もし「永藤英機後援会」が後援会活動を活発に行っており、
それゆえ、経常経費も相当な支出を行っている、
というようであれば、
政務活動のための事務所は政務活動に専念していた
と弁明することも可能であろうが、
「永藤英機後援会」は「経常経費」の実質的支出がなく事務所の使用実態がない以上、
そのような弁明は通用しないだろう。

政務活動のための事務所が「永藤英機後援会」の事務所として
後援会活動もフル稼働していたからこそ、
「永藤英機後援会」の経常経費は実質的に0円だったのだろう。

(7)したがって、永藤英機議員(当時)が事務所の賃借料について
按分における「充当限度割合」を「2分の1」とせずに
(あるいは「10分の9」や「100分の95」という高い割合にし)、
政務活動費(税金)を充当させていたのは、違法であり、
税金をその限りで詐取したことになる、
という重大な疑惑が生じることになる。

この点は、事務所の「賃借料」(家賃)だけではなく。
「光熱水費」や「人件費」なども同様の疑惑が生じることになる。

(8)したがって、永藤英機氏は、すでに府議会議員を辞職してはいるが、
上記の疑念を払拭するために説明責任を果たすべきである。

(つづく)

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