(1)何度も書いたことであるが、
「おおさか維新の会」は、2016年参議院通常選挙後に、
「日本維新の会」に党名を変更している。
その選挙時における「日本維新の会」の比例代表選挙の候補者と
その政治団体の寄附の不記載疑惑については、
「その25」で、以下のようにまとめた(http://blog.livedoor.jp/nihonkokukenpou/archives/51912749.html)。
①「日本維新の会参議院比例区第4支部」(代表・石井章)の収支計50万円の不記載疑惑
②「梅村聡後援会」(または「参議院議員梅村さとし後援会「さとし会」」)
の収支計1436万6372円不記載疑惑
③梅村聡候補の収支計600万円不記載疑惑
以上の不記載疑惑を合計すると、計2086万6372円になる。
(2)以上は、そのとき明示したように中間報告だった。
その後、政治資金収支報告書の調査を進めたところ、
もう1件、発見できた。
ほかにも発見できるかもしれないが、
この件はだいぶ説明を要するので、この1件だけ紹介する。
下記で紹介する矢野義昭氏は、2016年参議院通常選挙の比例代表選挙に
「おおさか維新の会」から立候補し、戦闘服で街頭宣伝を行った人物である。
それゆえ、
現在の「日本維新の会」が安倍自民党と一緒になって
アメリカの戦争等に参戦できる国づくりとそのための9条改憲
(詳細については、上脇博之『安倍「4項目」改憲の建前と本音」
日本機関紙出版センター・2018年を参照)
を目指していることがわかる典型的候補者の一人だった。
(3)その矢野義昭候補が支部長をしていた「おおさか維新の会参議院比例区第24支部」
に関係する政治資金問題を発見した。
ただ、これは、これまでの多くの、寄付の不記載疑惑とは少し異なる可能性があるので、
その点に留意しながら説明しよう。
①「おおさか維新の会参議院比例区第24支部」(代表・矢野義昭)の
2016年政治資金収支報告書
(http://www.soumu.go.jp/senkyo/seiji_s/seijishikin/contents/SD20171110/05.pdf)には、
「おおさか維新の会」から300万円の交付金を2016年6月1日に受領した
と記載されていた(なお、それを矢野候補に寄付したとの記載はない)。
しかし、
②「日本維新の会」(代表・松井一郎)の2016年政治資金収支報告書(http://www.soumu.go.jp/senkyo/seiji_s/seijishikin/contents/SS20171130/0000500086.pdf)
の「収入」欄には(32枚目~35枚目、37枚目~8頁)、
「おおさか維新の会参議院比例区第24支部」への300万円(2016年6月1日)
の交付金の支出は記載されていなかった。
③なお、「日本維新の会」(当時の「おおさか維新の会」)は、2016年6月1日に
矢野義昭氏(参議院比例代表候補)に対し
300万円の「公認料」を支出しており(前掲政治資金収支報告書24枚目)、
2016年7月10日執行参議院比例代表選出議員選挙における公職の候補者の選挙運動に関する収支報告書要旨(2017年1月16日現在)の「おおさか維新の会」(http://www.soumu.go.jp/main_content/000467692.pdf)
における「矢野義昭」のそれ(18枚目)には、
「おおさか維新の会」から300万円の寄付を受領したと記載されていた。
したがって、
「おおさか維新の会参議院比例区第24支部」が「おおさか維新の会」から受領した300万円(2016年6月1日)は、
矢野義昭候補が「おおさか維新の会」から受領した「公認料300万円」とは
別ということになる。
④上記①と②のうち、どちらが真実なのだろうか?
(4)どっちらが真実なのかは確認するしかないが、
幾つか推察してみよう。
①通常の場合、一方が記載し、もう一方が不記載であれば、
記載している方が真実の記載で、
不記載の方が真実ではなく、政治資金規正法違反になる場合が多い。
この視点でいえば、
「おおさか維新の会参議院比例区第24支部」(代表・矢野義昭)が
「おおさか維新の会」から300万円の交付金を受領したのが真実であり、
「日本維新の会」(代表・松井一郎)が
「おおさか維新の会参議院比例区第24支部」への300万円の交付金(寄附)支出
を記載していないのは、政治資金規正法違反になるし、
その分の収入源を記載していない可能性も出てくるので、
そうであれば、これも同法違反になる。
つまり、その場合、収支不記載額は計600万円になるし、
収入総額と支出総額の各記載も虚偽記載(同法違反)になる。
②もっとも、通常、
党本部は細心の注意を払い政治資金収支報告書を作成しているはずである。
党支部に交付金(寄附)を支出すれば、同支部から領収書を徴収しているはずだし
(徴収していなければ政治資金規正法違反)、
金融機関の口座を介した資金移動なら記録も残っているはずだ。
それらに基づき会計帳簿も記載しているはずだ
(記載していなければ政治資金規正法違反)
それゆえ
300万円もの交付金の支出を記載漏れするというのは、
そう簡単に生じないだろう。
そうであれば、
「おおさか維新の会」の政治資金収支報告書の記載が真実で、
「おおさか維新の会参議院比例区第24支部」の記載が真実ではなく虚偽である可能性は
それなりに高いように思えてくる。
③もっとも、「おおさか維新の会参議院比例区第24支部」は、
その2016年政治資金収支報告書の支出欄を見ると、
その300万円の収入も含め支出が実際行われ、
政治資金はすべて支出され尽くし、「翌年への繰越額」を0円にして、解散している。
そもそも300万円の収入が実際には存在しないのに、
あえてその収入があったと虚偽記載し、かつその分の虚偽の支出を記載する必要はないから
300万円の収入そのものは存在した可能性は高いだろう。
では、300万円の収入源は何だったのだろうか?
(5)前述(3)③から明らかなように、
「公認料300万円」を勘違いして記載した可能性はないから、
その収入源は裏金しかありえないだろう。
表に出せないカネ計300万円を受け取ったので、
それを「おおさか維新の会」からの交付金だったと虚偽記載した可能性
も考えられる。
もっとも、現時点の情報から推察すると、
その可能性は大きくないのではなかろうか。
むしろ、
勘違い等をした可能性の方が高いのではなかろうか。
どのような勘違い等なのかといえば、
「おおさか維新の会」が矢野候補に300万円(2016年6月1日)の「公認料」
を支出した際に、それとは別に裏金300円(2016年6月1日)を支出したが、
矢野候補または「おおさか維新の会参議院比例区第24支部」の会計責任者・事務担当者は、
それを表のカネだと勘違いして、あるいは裏金だったことを失念して、
政治資金収支報告書にそのまま記載したのではなかろうか!?
その場合、
「おおさか維新の会」は、その裏金の収入源を記載していない可能性も生じる、
その場合、収支計600万円不記載の政治資金規正法違反になる。
(6)上記の全てのうち、それぞれ、いずれが真実なのかは、
やはり確認するしかないが、いずれにせよ、政治資金規正法違反になる。
2016年参議院通常選挙時の候補者・政治団体などの寄付の収支不記載総額は、
上記を含めると、計2686万6372円になる。
選挙以外の時のもの(すでに紹介している)も含めると、もっと高額になる。
いずれも説明責任を果たしてもらう必要がある。
(つづく)