(1)これまで何度も指摘しているように、政治資金規正法は、政党を含む政治団体の政治資金の収支の透明化をはかるために、政治資金の支出については領収書の徴収を義務付け(収入についても領収書を発行するのが社会の慣例であるし)、収入を含む政治資金の収支について会計帳簿をきちんと備えさせ、それに基づき政治資金報告書に収支の真実を記載することを義務付けている。
(2)藤田文武氏が代表を務め、会計責任者も兼任している
「日本維新の会衆議院大阪府第12選挙区支部」の2017年分政治資金収支報告書(http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/11318/00306681/29PY0036.pdf)は、2018年5月31日に大阪府選挙管理委員会に提出されている。
ところが、同年9月10日、以下のような「訂正」がなされている。
「藤田文武」から「10万円」の「借入金」(ただし、借入の日付の記載はない)があり、その10万円は、全額返済2017年12月29日に行った、というもの。
また、その分、収入額も支出額も「訂正」されている。
これは、
同支部が当初提出した政治資金収支報告書における政治資金規正法違反
(不記載罪・虚偽記載罪)の「自白」である。
(3)しかし、この「訂正」は真実なのか、疑問である。
10万円の借入については会計帳簿の記載が義務付けられていたから、10万円の借入の証拠はなかった。
これは、政治資金収支報告書の末尾にあるように、政治資金監査人が監査しているから明らかだ。
もし10万円借入を会計帳簿に記載していたら(記載していなければ政治資金規正法違反)、10万円多く繰り越しているはずだ。
藤田文武氏本人が代表であるだけではなく、会計責任者も兼任しているのだから、本人が本人の借入を記載漏れするはずがない。
「訂正」における10万円返済は12月29日になっているから、もし本人が失念していたとしても繰越額が10万円多いので気づいているはずだ。
それに気づかないまま、政治資金収支報告書が翌年選管に提出されている。
つまり、10万円の借入とその返済という事実は、存在しなかったのだろう。
これが真実なら、前記「訂正」は、政治資金規正法違反の虚偽になってしまう。
(4)ところで、藤田文武氏のような「訂正」は、すでに「その6」で紹介したように、吉村洋文大阪市長(当時)の政党支部と同じ「訂正」である。
「維新の党衆議院大阪府第4選挙区支部」(代表・吉村洋文)の2015年分政治資金収支報告書(http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/11318/00230075/27pq0031.pdf)は、2016年9月15日に次のように「訂正」されていた。
同支部代表の吉村洋文衆議院議員から100万円を2015年1月1日に借入れし、同年12月25日に同氏(吉村市長)に全額返済していたというもの。
また、その分、収入額も支出額も「訂正」されている。
この訂正について私は虚偽であろうと指摘した。
というのは、「日刊ゲンダイ」が報じているように、吉村市長の「資産等報告書」は、2015年12月19日時点の「貸付金」は「なし」と記載していた(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/250559)し、
返済の領収書を吉村氏から徴収していれば、会計帳簿においても政治資金収支報告書においても記載漏れが起こるはずがないからだ。
実は、100万円の借入収入「訂正」がなければ、赤字であった。
しかし、赤字なのに支出がなされていた。
ということは、裏金を保有していたからだろう(http://blog.livedoor.jp/nihonkokukenpou/archives/51910540.html)。
(4)では、藤田文武氏の「日本維新の会衆議院大阪府第12選挙区支部」の場合はどうだろうか?
前年(2016年)からの繰越額は、わずか300円しかない。
2017年の最初と2つ目の収入は、同収支報告書の記載によると、以下の通りである。
日本維新の会 30万円 2017年1月5日
日本維新の会 90万円 2017年4月25日
これに対し、以下の支出の記載がある。
事務所費
仲介手数料 10万8000円 2017年3月23日 株式会社松田不動産
礼金、事務所賃料(2019年5月分)61万6000円 2017年3月23日 辻一建設株式会社
前述したように、1回目の支出当時、30万300円しかなかった。
ここから10万8000円を支出すると、19万2300円が残金になる。
2つ目の支出は61万2300円なので、この2つ目の支出をした時点で42万円の赤字である。
(実際は明細の記載のない支出もあるので、もっと赤字額は大きかったと推察できる。)
(5)「10万円」の借入金があっても、赤字だ。「訂正」しても赤字は解消しない。
この点は、吉村洋文氏の政党支部の「訂正」とは異なる。
いずれにせよ、真相解明が必要だ。
※事実誤認があったので、当初のブログ内容を加筆修正した(2019年4月14日午前9時15分)。
(続く)