政治資金問題から見える「維新の正体」その20(未紹介の寄付不記載事件・疑惑)~ブログ「上脇博之 ある憲法研究者の情報発信の場」より 2019.7.8

記事公開日:2019.7.8 テキスト
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(文・上脇博之)

特集 「ゆ」党再編の要!? 維新の「正体」
※2019年4月6日11:17投稿の本ブログは、上脇博之氏の許可をいただき掲載しています。

はじめに

(1)交付金1200万円不記載、収支2400万円不記載事件

①2015年に以下の報道がなされた。

維新の党(旧日本維新の会)の井上英孝衆院議員が代表を務めていた「日本維新の会衆議院大阪府第1選挙区支部」(解散)が2013年、党本部から支部政党交付金計1200万円を受け取りながら、政治資金収支報告書に記載していなかったこと(政治資金規正法違反)が発覚し、井上氏側は取材に対し「ミスだった」と説明し、近く収支報告書を訂正する意向だと報道された(「交付金1200万円不記載 維新・井上衆院議員団体、政治資金収支報告書訂正へ」産経新聞2015.1.26 13:50(https://www.sankei.com/west/news/150126/wst1501260036-n1.html))。

②1200万円の交付金を記載していなかったということは、その分の支出も記載していなかったことになる。

③2015年1月末報道当時。すでに(下記のとおり2014年8月1日ではないか)解散していた政党支部が、2013年分の上記不記載を、どのような訂正をしたのだろうか?

(なお、新たに結成されたと思われる「維新の党衆議院大阪府第1選挙区支部」(代表・井上英孝)の2014年政治資金収支報告書(http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/11318/00201553/26pq0010.pdf)をみると、「前年からの繰越額」は0円だが、「その他の収入」欄には、「日本維新の会衆議院大阪府第一選挙区支部からの引継金」として「381万1245円」(2014年8月1日)と記載されていた。)

(2)その2015年における政治資金の不記載問題については「その13」でまとめた。

①政治資金問題から見える「維新の正体」その13(2015年の1年で「収支計5354万円不記載」疑惑と、反故にされた約束「計9912万円超の国庫返納」)
http://blog.livedoor.jp/nihonkokukenpou/archives/51911046.html

②もちろん、同年以外の年の問題についても、また同年のものでその後発見したものも、別の複数の投稿でそれぞれ紹介してきた。

(3)以下では、これまで、紹介していないものを、まとめて紹介する。

まず、2017年における寄付の不記載問題。

1 2017年の寄付不記載問題

(1)「日本維新の会堺市南区支部」の寄付100万円の不記載、収支200万円の不記載事件

①2017年「日本維新の会衆議院大阪府第17選挙区支部」(代表・馬場伸幸)の政治資金収支報告書(http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/11318/00306681/29PY0010.pdf)には(41枚目)、
「日本維新の会堺市南区支部」に100万円(2017年8月8日)を寄附する支出をしたと記載されていた。

しかし、2017年「日本維新の会堺市南区支部」(代表・西林克敏)の政治資金収支報告書(http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/11318/00306681/29PY0058.pdf)には、「日本維新の会衆議院大阪府第17選挙区支部」からの100万円の受領を記載してはいなかった。

どちらの政治資金収支報告書の記載が真実なのか?
実は、これについては、朝日新聞(2019年3月6日)が報道し、記者に対し「ミスだった」として訂正する旨報道された。

②その弁明は嘘だろう。「単純なミス」とは到底思えないない。
「日本維新の会堺市南区支部」の同年の「本年の収入」は12万2000円しか記載されていないから、100万円の寄付は大金だ。
政治資金規正法は会計帳簿に記載することを義務付けているから、それを遵守していれば、その寄付を「単純ミス」で記載しないことなどありえないだろう。
むしろ、裏帳簿には記載されていても、表の帳簿には記載されていなかったのだろう。
だから、政治資金収支報告書には記載されなかったとしか考えられない。

③100万円の寄附日は、2017年8月8日である。
その1か月余り後には、
堺市議会議員補欠選挙:堺市南区選挙区(2017/09/24 投票) で、「維新」の候補者・西川知己が当選している(https://h-ishin.com/ishin-party/17409/)。

不記載の「寄附100万円」がこの選挙の裏金として使われたのではないか、だから記載できなかったのではないか、と同選挙における当選の正当性まで疑惑が広がる。

(2)西川知己候補の寄付4万2120円不記載疑惑、収支8万4240円不記載疑惑

①上記(1)の件で念のために、堺市議会補欠選挙・南区選挙で当選した西川知己候補の選挙運動収支報告書の要旨193頁(https://www.city.sakai.lg.jp/shisei/sonota/jyorei/sakaishi_kouhou/h30sakaishi_kouhou/sakaishikouhou3003.files/kouhou14.pdf)を確認したが、その100万円の記載はない。

②そこで記載されていたのは、「西川知己後援会」から4万2120円の寄付を受けていたことだ。

そこで、2017年「西川知己後援会」の政治資金収支報告書(http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/11318/00307554/29bb0304.pdf)を確認すると、「支出0円」なので、
その4万円余りの寄附の支出は記載されていないことになる。
西川候補の選挙運動費用収支報告の記載が真実なら、「西川知己後援会」は4万2120円の寄附を記載しないことになり、そうすると、当然、そのその分の収入を記載していないことになる。
いずれも不記載罪と、収入総額および支出総額の虚偽記載罪になる(政治資金規正法違反)。

(3)日付の違いは裏金処理のミスの結果ではないか!?(収支合計520万円不記載疑惑)

①2017年「日本維新の会衆議院大阪府第17選挙区支部」(代表・馬場伸幸)の政治資金収支報告書(http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/11318/00306681/29PY0010.pdf)には、以下の支出が記載されていた。

寄附 100万円 2017年 8月 8日 日本維新の会堺市堺区支部
寄附  30万円 2017年12月18日 ふたば泰司後援会

②一方、

2017年「日本維新の会堺市堺区支部」(代表・井関貴史)の政治資金収支報告書(http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/11318/00306681/29PY0040.pdf)には、以下の収入を記載していた。

日本維新の会衆議院大阪府第17選挙区支部 100万円 2017年9月30日 

また、2017年「ふたば泰司後援会」(代表・三宅一良)の政治資金収支報告書(http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/11318/00307565/29hc0228.pdf)は、以下の収入を記載していた。

日本維新の会衆議院大阪府第17選挙区支部 30万円 2017年9月30日 馬場伸幸

③寄付した側と受け取った側で、寄付の金額は同じでも日付が違う。
これは単純なミスではないだろう。
というのは、あまりにも日にちが違いすぎるからである。
例えば、日付が2,3日異なる場合は、日曜日等を挟んだ場合はありうるかもしれない。
しかし、8月8日に寄付したのに、受け取った側が50日余り後の9月30日と勘違いすることはないだろう。
また、寄付した側が12月18日に寄付したのに、受け取った側がそれより2間月余り前の9月30日と勘違いすることは絶対ありえないだろう。

④おそらく、表金と裏金の2回同額の寄付が行われ、裏金として処理する場合について意思の疎通に失敗したのではなかろうか。
そうでないと、ありえないことである。

そうすると、計130万円を裏金寄付として支出した側の「日本維新の会衆議院大阪府第17選挙区支部」
は少なくとも、計130万円の裏金収入があったのに、それを記載していなかったことになる。
この疑惑は、収支計260万円の不記載になる。

また、100万円と30万円を受け取った側(「日本維新の会堺市堺区支部」と「ふたば泰司後援会」)は、その収入とその分の支出を、それぞれ記載しなかったことになる。
この疑惑も、収支計260万円の不記載になる。

合計520万円の不記載疑惑になる。

⑤さらに考えると、「日本維新の会衆議院大阪府第17選挙区支部」はほぼ横並びで各支部や各政治団体に寄付している。
となると、同じうように裏金寄付がなされたのではないかと疑念は広がる。

⑥もう一つの可能性を指摘しよう。
馬場伸幸幹事長は、「その18」で指摘したように、「日本維新の会国会議員団」から「政策活動費」名目の政治資金を受け取り(http://www.soumu.go.jp/senkyo/seiji_s/seijishikin/contents/SS20181130/0045000024.pdf
それが使途不明金になっているこれが上記裏金の原資になっている可能性もあるのではないか!?

(4)椎木保候補への寄付3万9000円不記載疑惑、収入源を含む収支7万8000円不記載疑惑

①2017年10月22日執行の衆議院小選挙区選出議員選挙における公職の候補者の選挙運動に関する収支報告書の要旨(http://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_11160490_po_300813選管事務局告示第83号.pdf?contentNo=10&alternativeNo=)における椎木保候補の選挙運動費用収支報告書の要旨には「日本維新の会衆議院大阪府第2選挙区支部」から3万9000円の寄付を受領したと記載されている。

②しかし、2017年「日本維新の会衆議院大阪府第2選挙区支部」(代表・椎木保)の政治資金収支報告書(http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/11318/00306681/29PY0005.pdf)には、椎木保候補への3万9000円の寄付の供与が記載されていない。

③どちらが真実なのだろうか?
いずれにせよ、確認する必要があるが、可能性の高いのは、①が真実で、②は不記載になるという場合であろう。
そうなると、その分の収入源も記載していないことになる。
裏金が原資かもしれない。
収入源を含めると7万8000円不記載疑惑となる。

2 2016年・・・高木佳保里候補への寄付14万9400円不記載疑惑、収入源を含む29万8800円不記載疑惑

(1)以上、これまで紹介していない2017年の寄付不記載疑惑について紹介したが、「維新」の2017年の政治資金収支報告書を全て網羅して調査したわけではないので、もっと徹底して調査すれば、さらに政治資金規正法違反の可能性のある不記載・虚偽記載の疑念
の生じるものが発見されるかもしれない。

(2)では、上記の最後のものに関連して、2016年の以下の不記載疑惑を紹介しよう。

①2016年7月10日執行の参議院大阪府選出議員選挙における公職の候補者の選挙運動に関する収支報告書の要旨(http://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_10319778_po_290313選管事務局告示第41号.pdf?contentNo=23&alternativeNo=)における12枚目から14枚目高木佳保里候補の選挙運動費用収支報告書の要旨には、「日本維新の会参議院大阪府選挙区第3支部」からの寄付14万9400円は記載されていた。

②しかし、2016年「日本維新の会参議院大阪府選挙区第3支部」(代表・高木佳保里)の政治資金収支報告書(http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/11318/00260155/301113H28py0022.pdf)には、高木佳保里候補への寄付14万9400円の供与は記載されていない。

③どちらが真実なのだろうか?
いずれにせよ、確認する必要があるが、可能性の高いのは、①が真実で、②は不記載になるという場合であろう。
そうなると、その分の収入源も記載していないことになる。
裏金が原資かもしれない。
収入源を含めると29万8800円不記載疑惑となる。

(3)「維新」の2016年についも、上記以外に、すでにこのブログ投稿でいくつか紹介した。
しかし、「維新」の政治資金収支報告書を全て網羅して調査したわけではないので、もっと徹底して調査すれば、さらに政治資金規正法違反の可能性のある不記載・虚偽記載の疑念の生じるものが発見されるかもしれない。
発見したら紹介しよう。

(つづく)

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