はじめに
先日、セコい収支疑惑を紹介した(「その12」)が、再びセコい収支疑惑を紹介する。
「その11」では、「大阪府宅建政治連盟」が「大阪維新の会」などの政治資金パーティーに会費を支出していたが、その全部または一部を「大阪維新の会」が政治資金収支報告書に記載せず、裏金を作っているのではないかとの疑念を紹介した。
今回は、「大阪府宅建政治連盟」と「全日本不動産政治連盟大阪府本部」の支出した寄付がそれを受領した「維新」の政党支部や公職の候補者側が記載していなかった問題である。
1 「大阪府宅建政治連盟」および「全日本不動産政治連盟大阪府本部」からの寄付65万円の不記載疑惑、収支130万円不記載疑惑
(1)2014年「大阪宅建政治連盟」からの寄付計15万円不記載疑惑、収支計30万円不記載疑惑
・2014年「大阪宅建政治連盟」(代表・阪井一仁)の政治資金収支報告書(http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/11318/00201651/26ak0086.pdf)には、以下の支出が記載されていた。
①37枚目
上西小百合 衆議院選 陣中見舞 5万円 2014年12月4日 維新の党衆議院大阪府第7選挙区支部
②37枚目
遠藤敬 衆議院選 陣中見舞 5万円 2014年12月8日 維新の党衆議院大阪府第18選挙区支部
③41枚目
足立康史 衆議院選 当選祝い 5万円 2014年12月15日 維新の党衆議院大阪府第9選挙区支部
しかし、
①2014年「維新の党衆議院大阪府第7選挙区支部」(代表・上西小百合衆議院議員(当時))の政治資金収支報告書(http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/11318/00201553/26pq0012.pdf)には
「政治団体からの寄付」は0円と記載されているので、
したがって、「大阪宅建政治連盟」からの「陣中見舞 5万円 2014年12月4日」が記載されていない。
②2014年「維新の党衆議院大阪府第18選挙区支部」(代表・遠藤敬衆議院議員)の政治資金収支報告書(http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/11318/00230075/301107H27pq0020.pdf)には、
「政治団体からの寄付」は0円と記載されているので、したがって、「大阪宅建政治連盟」からの「陣中見舞 5万円 2014年12月8日」が記載されていない。
③2014年「維新の党衆議院大阪府第9選挙区支部」(代表・足立康史衆議院議員)の政治資金収支報告書(http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/11318/00201553/291122h26pq0014.pdf)には、「政治団体からの寄付」が0円と記載されているので、したがって、「大阪宅建政治連盟」からの「当選祝い 5万円 2014年12月15日」が記載されていない。
なお、当該政治資金収支報告書の別の個所は何度も「訂正」され、虚偽記載の「自白」がなされている。政治資金規正法違反の常習犯のようだ。
また、足立議員は、2017年衆議院総選挙において「今回小選挙区で落ちれば比例復活は無し。」と宣言していたが、小選挙区選挙で落選し比例代表選挙で当選した翌日に前言を撤回した。虚言壁のある政治屋のようだ。
以上については、どちらの記載が真実なのか、確認しなければならない。
ただ、寄付した側が記載しているのが通常真実の場合が多いし、他の支部等は「大阪宅建政治連盟」からの同様の寄付の受領を記載しているので、「大阪宅建政治連盟」の記載の方が真実である可能性が高い。
そうであれば、受領寄付の不記載額の合計額は15万円であるが、その分の支出も記載されないことになる。
となると、収支の不記載の合計額は、その2倍の30万円になる。
政治資金収支報告書に記載されないということは、記載できない事情があったのだろう。
そうであれば、2014年衆議院総選挙(10月22日)における裏金として支出されたり、あるいは、誰かのポケットマネーにされネコババされた可能性もある。
(2)2015年「大阪宅建政治連盟」からの寄付5万円不記載疑惑、収支10万円不記載疑惑
2015年「大阪宅建政治連盟」(代表・阪井一仁)の政治資金収支報告書(http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/11318/00228541/27ak0086.pdf)には、
以下の支出が記載されていた。
・39枚目
寄付 5万円 2015年7月24日 にしばた勝樹後援会
しかし
西端勝樹は守口市長(無所属)だが、今でも「維新の会のメンバー」として紹介されている(https://oneosaka.jp/member/detail/nishibata_katsuki.html)。
その西端氏の政治団体「にしばた勝樹後援会」(代表・正木一光)の2015年政治資金収支報告書(http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/11318/00228524/27bb0244.pdf)には、「政治団体からの寄付」が35万円であると記載し、「大阪維新の会」(代表・橋下徹)からの35万円(2015年10月20日)の寄付の受領を記載し、「その他の寄付」は0円と記載されているので、「大阪宅建政治連盟」からの寄付5万円(2015年7月24日)は記載されていない。
以上については、どちらの記載が真実なのか、確認しなければならない。
ただ、寄付した側が記載しているのが通常真実の場合が多いし、他の支部等は「大阪宅建政治連盟」からの同様の寄付の受領を記載しているので、「大阪宅建政治連盟」の記載の方が真実である可能性が高い。
そうであれば、受領寄付の不記載額は5万円であるが、その分の支出も記載されないことになる。
となると、収支の不記載の合計額は、その2倍の10万円になる。
政治資金収支報告書に記載されないということは、記載できない事情があったのだろう。
そうであれば、守口市長選挙(2015年8月2日)における裏金として支出されたり、あるいは、誰かのポケットマネーにされネコババされた可能性もある。
(3)2016年「大阪府宅建政治連盟」からの寄付10万円不記載疑惑、収支20万円不記載疑惑
2016年「大阪府宅建政治連盟」(代表・阪井一仁)の政治資金収支報告書(www.pref.osaka.lg.jp/attach/11318/00260106/28ak0086.pdf)には、以下の支出が記載されていた。
選挙関係費 選挙対策費
寄付 10万円 2016年6月24日 高木佳保里
しかし
2016年7月10日執行の参議院大阪府選出議員選挙における公職の候補者の選挙運動に関する収支報告書の要旨(http://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_10319778_po_290313選管事務局告示第41号.pdf?contentNo=23&alternativeNo=)における
12枚目から14枚目
高木佳保里候補の選挙運動費用収支報告書の要旨には、
「大阪府宅建政治連盟」からの寄付10万円(2016年6月24日)は記載されていない。
なお、高木佳保里氏は、2016年参議院議員通常選挙(7月10日)で「大阪維新の会」の候補者として立候補し当選した国会議員である(その前は自民党の堺市議会議員だった)。
以上については、どちらの記載が真実なのか、確認しなければならない。
ただ、寄付した側が記載しているのが通常真実の場合が多いので、「大阪宅建政治連盟」の記載の方が真実である可能性が高い。
そうであれば、受領寄付の不記載額は10万円であるが、その分の支出も記載されないことになる。
となると、収支の不記載の合計額は、その2倍の20万円になる。
政治資金収支報告書に記載されないということは、記載できない事情があったのだろう。
そうであれば、参議院通常選挙における裏金として支出されたり、あるいは、誰かのポケットマネーにされネコババされた可能性もある。
(4)2016年「全日本不動産政治連盟大阪府本部」からの寄付計20万円不記載疑惑、収支計40万円不記載疑惑
2016年「全日本不動産政治連盟大阪府本部」(代表・三本皓三)の政治資金収支報告書(http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/11318/00260118/28se0193.pdf)には、次の支出が記載されていた。
①12枚目
選挙関係費 陣中見舞
陣中見舞金 10万円 2016年6月17日 おおさか維新の会参議院大阪府選挙区第3支部 高木かおり
②14枚目
寄附・交付金(寄附)
寄付 10万円 2016年7月12日 おおさか維新の会参議院大阪府選挙区第3支部 高木かおり
しかし、
2016年「日本維新の会参議院大阪府選挙区第3支部」(代表・高木佳保里)の政治資金収支報告書(http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/11318/00260155/301113H28py0022.pdf)には、「政治団体からの寄付」が15万円と記載され、「大阪維新の会」からの15万円(2016年10月31日)の寄付を受領したと記載されているので、したがって、
①「全日本不動産政治連盟大阪府本部」からの寄付(陣中見舞金)10万円(2016年6月17日)の受領も、
②「全日本不動産政治連盟大阪府本部」から寄付10万円(2016年7月12日)も、
一切記載されていない。
以上については、どちらの記載が真実なのか、確認しなければならない。
ただ、寄付した側が記載しているのが通常真実の場合が多いし、他の支部等は「全日本不動産政治連盟大阪府本部」からの同様の寄付の受領を記載しているので、「全日本不動産政治連盟大阪府本部」の記載の方が真実である可能性が高い。
そうであれば、受領寄付の不記載額は計20万円であるが、その分の支出も記載されないことになる。
となると、収支の不記載の合計額は、その2倍の40万円になる。
政治資金収支報告書に記載されないということは、記載できない事情があったのだろう。
そうであれば、政治における裏金として支出されたり、あるいは、誰かのポケットマネーにされネコババされた可能性もある。
(5)2017年「大阪府宅建政治連盟」からの寄付10万円不記載疑惑、収支20万円不記載疑惑
2017年「大阪府宅建政治連盟(代表・阪井一仁)の政治資金収支報告書(http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/11318/00306160/29ak0086.pdf)には、
以下の支出が記載されていた。
①選挙対策費 陣中見舞 5万円 2017年10月4日 ミノベ会
②選挙対策費 陣中見舞 5万円 2017年10月13日 あだち康史
しかし、
①2017年資金管理団体「ミノベ会」(代表・美延映夫)の政治資金収支報告書(http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/11318/00307380/29cb0028.pdf)には、「政治団体からの寄付」は18万円と記載され、「大阪維新の会」からの寄付18万円を受領したと記載し、「その他の寄付」は0円なので、したがって、「大阪府宅建政治連盟」からの陣中見舞5万円(2017年10月4日)の受領が記載されていない。
②2017年10月22日執行の衆議院小選挙区選出議員選挙における公職の候補者の選挙運動に関する収支報告書の要旨(http://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_11160490_po_300813選管事務局告示第83号.pdf?contentNo=10&alternativeNo=)における
41~42枚目
足立康史候補の2017年衆議院総選挙の選挙運動費用収支報告の要旨には「大阪府宅建政治連盟」からの陣中見舞5万円(2017年10月13日)の受領が記載されしていない。
以上については、どちらの記載が真実なのか、確認しなければならない。
ただ、寄付した側が記載しているのが通常真実の場合が多いので、「大阪宅建政治連盟」の記載の方が真実である可能性が高い。
そうであれば、受領寄付の不記載額は計10万円であるが、その分の支出も記載されないことになる。
となると、収支の不記載の合計額は、その2倍の計20万円になる。
政治資金収支報告書に記載されないということは、記載できない事情があったのだろう。
そうであれば、2017年衆議院総選挙(10月22日)における裏金として支出されたり、あるいは、誰かのポケットマネーにされネコババされた可能性もある。
(6)2017年「全日本不動産政治連盟大阪府本部」からの寄付5万円不記載疑惑、収支10万円不記載疑惑
2017年「全日本不動産政治連盟大阪府本部」(代表・堀田健二)の政治資金収支報告書(http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/11318/00307513/29se0193.pdf)には、以下の支出が記載されていた。
14枚目
寄付 5万円 2017年10月23日 日本維新の会衆議院大阪府第1選挙区支部 井上英孝
しかし、
2017年「日本維新の会衆議院大阪府第1選挙区支部」(代表・井上英孝衆議院議員)の政治資金収支報告書(http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/11318/00306681/29PY0006.pdf)には「政治団体からの寄付」は0円と記載されており、したがって、「全日本不動産政治連盟大阪府本部」からの寄付5万円(2017年10月23日)の受領を記載してはいない。
以上については、どちらの記載が真実なのか、確認しなければならない。
ただ、寄付した側が記載しているのが通常真実の場合が多いし、他の支部等は「全日本不動産政治連盟大阪府本部」からの同様の寄付の受領を記載しているので、「全日本不動産政治連盟大阪府本部」の記載の方が真実である可能性が高い。
そうであれば、受領寄付の不記載額は5万円であるが、その分の支出も記載されないことになる。
となると、収支の不記載の合計額は、その2倍の10万円になる。
政治資金収支報告書に記載されないということは、記載できない事情があったのだろう。
そうであれば、2017年衆議院総選挙(10月22日)における裏金の補填として支出されたり、あるいは、当選祝い金として誰かのポケットマネーにされネコババされた可能性もある。
(7)まとめ
①2014年「大阪宅建政治連盟」からの寄付計15万円不記載疑惑、収支計30万円不記載疑惑
②2015年「大阪宅建政治連盟」からの寄付5万円不記載疑惑、収支10万円不記載疑惑
③2016年「大阪府宅建政治連盟」からの寄付10万円不記載疑惑、収支20万円不記載疑惑
④2016年「全日本不動産政治連盟大阪府本部」からの寄付計20万円不記載疑惑、収支計40万円不記載疑惑
⑤2017年「大阪府宅建政治連盟」からの寄付10万円不記載疑惑、収支20万円不記載疑惑
⑥2017年「全日本不動産政治連盟大阪府本部」からの寄付5万円不記載疑惑、収支10万円不記載疑惑
以上、各寄付の不記載合計額は65万円であり、その分の支出の不記載額を含めた収支の不記載合計額は130万円になる。
いずれも、政治資金規正法違反の不記載罪または公職選挙法違反の虚偽記載罪である。
また、収入総額と支出総額の虚偽記載になり、これは政治資金規正法違反または公職選挙法違反の虚偽記載罪になる。
2 椎木事務所の発行する領収書に問題か
(1)「大阪宅建政治連盟」からの寄付
①2014年「大阪宅建政治連盟」(代表・阪井一仁)の政治資金収支報告書(http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/11318/00201651/26ak0086.pdf)には、以下の支出が記載されていた。
・椎木保 衆議院選 陣中見舞 5万円 2014年12月3日 維新の党衆議院大阪府第2選挙区支部
しかし、2014年「維新の党衆議院大阪府第2選挙区支部」(代表・椎木保)の政治資金収支報告書(http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/11318/00201553/26pq0030.pdf)には、「大阪宅建政治連盟」からの「陣中見舞 5万円 2014年12月3日」が記載されていない。
もっとも、選挙運動費用収支報告書の要旨には
「大阪宅建政治連盟」からの「寄付5万円」が記載されている。
②2017年「大阪府宅建政治連盟」(代表・阪井一仁)の政治資金収支報告書(http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/11318/00306160/29ak0086.pdf)には、以下の支出が記載されていた。
・42枚目
選挙対策費 陣中見舞 5万円 2017年10月25日 日本維新の会衆議院大阪府第2選挙区支部に支出
しかし、
「日本維新の会衆議院大阪府第2選挙区支部」(代表・椎木保)の政治資金収支報告書(http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/11318/00306681/29PY0005.pdf)には「大阪府宅建政治連盟」からの陣中見舞5万円(2017年10月25日)の受領は記載されていない。
もっとも、2017年10月22日執行の衆議院小選挙区選出議員選挙における公職の候補者の選挙運動に関する収支報告書の要旨(http://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_11160490_po_300813選管事務局告示第83号.pdf?contentNo=10&alternativeNo=)における
10枚目
椎木保候補の選挙運動費用収支報告書の要旨には
「大阪府宅建政治連盟」からの「寄付5万円」が記載されている。
(2)以上については、いくつかの可能性がある(2014年と2017年に共通)。
第1の可能性:「大阪宅建政治連盟」が「維新の党衆議院大阪府第2選挙区支部」に「陣中見舞 5万円」を寄付し、「維新の党衆議院大阪府第2選挙区支部」がその「5万円」を椎木保側に寄付したが、「維新の党衆議院大阪府第2選挙区支部」は、「大阪宅建政治連盟」から受領した「陣中見舞 5万円」も、椎木保側に寄付した「5万円」も、一切政治資金収支報告書に記載していなかった。
第2の可能性:「大阪宅建政治連盟」は「維新の党衆議院大阪府第2選挙区支部」に「陣中見舞 5万円」を寄付し、かつ、椎木保側に「合計5万円」を寄付したが、「維新の党衆議院大阪府第2選挙区支部」は「大阪宅建政治連盟」からの寄付「陣中見舞5万円」を政治資金収支報告書に記載していなかった。
第3の可能性:「大阪宅建政治連盟」は「陣中見舞 5万円」を「維新の党衆議院大阪府第2選挙区支部」に寄付したと認識していたが、椎木事務所は、「大阪宅建政治連盟」からの「陣中見舞5万円」を受領したのは、椎木保側であると認識していた。
(3)「大阪宅建政治連盟」の政治資金収支報告書の記載を見ると、「陣中見舞」の支出を複数行っているが、政党支部名を記載しているものと公職の候補者名を記載しているので、「大阪宅建政治連盟」は、支出先を明確に区別して寄付していると推定される。
となると、上記の第1の可能性も第2の可能性もありうることになる。
(4)もっとも、椎木事務所は、上記第3の可能性が真実だったと弁明するかもしれない。
しかし、その場合、椎木事務所は、「5万円」の寄付を受領した際に発行する領収書の記載内容に問題があったことになる。
つまり、寄付の受領者は椎木側なのに、「維新の党衆議院大阪府第2選挙区支部」である、と「大阪宅建政治連盟」が認識してしまうように椎木事務所が領収書を記載していたことになる。
それも、2014年も2017年も。
改善する気はないのだろうか!?
(つづく)