(1)政治資金問題から見える「維新の正体」についてブログの連載投稿を行っているが、
「その5」では、吉村洋文氏の政党支部が2015年に「維新の党」本部から交付金300万円を受領しながら、それを記載していなかった政治資金規正法違反事件を紹介した。
(2)実は、2015年に「維新の党」本部から交付金の受領を記載していないと思われる政党支部は、ざっと調査しただけでも、他に少なくとも3つあった(ただし、代表の議員・候補者が「維新」から除名された者については、除外した。もっとも、会計責任者または事務担当者が除名されておらず「維新」のままであり代表の知らない中で不記載が行われる場合もある。だが、それは確認できないので、「維新」に不利にならないよう、ここでは除外した)。
①2015年「維新の党衆議院大阪府第11選挙区支部」(代表・伊東信久)の政治資金収支報告書(http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/11318/00230075/27pq0016.pdf)には、
「維新の党本部」から250万円(2015年4月24日)、125万円(2015年7月24日)、500万円(2015年12月18日)の交付金を受領した旨記載している。
しかし、2015年「維新の党」(代表・松野頼久。ただし同年の前半の代表は江田憲司。以下同じ)の政治資金収支報告書(http://www.soumu.go.jp/senkyo/seiji_s/seijishikin/contents/SS20161125/0000100129.pdf)には、
以下の支出が記載されていた。
53頁(125頁)
寄附金(寄付・交付金) 300万円 2015年3月16日 維新の党衆議院大阪府第11選挙区支部
65頁(96頁)
交付金(寄付・交付金) 250万円 2015年4月24日 維新の党衆議院大阪府第11選挙区支部
68頁(100頁)
交付金(寄付・交付金) 125万円 2015年7月24日? 維新の党衆議院大阪府第11選挙区支部
76頁(109頁)
交付金(寄付・交付金) 500万円 2015年12月18日 維新の党衆議院大阪府第11選挙区支部。
つまり、「維新の党」本部の記載が真実であれば、「維新の党衆議院大阪府第11選挙区支部」(代表・伊東信久)は、「維新の党」本部からの交付金300万円(2015年3月16日)を記載していなかったことになる。
②2015年「維新の党衆議院大阪府第2選挙区支部」(椎木保)の政治資金収支報告書(http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/11318/00230075/27pq0030.pdf)には、
「維新の党」から335万円の交付金(2015年12月18日)を受領したと記載していた。
しかし、2015年「維新の党」(代表・松野頼久)の政治資金収支報告書(前掲)には、以下の支出が記載されていた。
50頁(122頁)
寄附金(寄付・交付金) 300万円 2015年3月5日 維新の党衆議院大阪府第2選挙区支部
78頁(111頁)
交付金(寄付・交付金) 335万円の交付金 2015年12月18日 維新の党衆議院大阪府第2選挙区支部。
つまり、「維新の党」本部の記載が真実であれば、「維新の党衆議院大阪府第2選挙区支部」(代表・椎木保)は、「維新の党」からの300万円(2015年3月5日)の交付金の受領を記載していなかった。
③2015年「維新の党衆議院大阪府第8選挙区支部」(木下智彦)の政治資金収支報告書(http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/11318/00230075/27pq0013.pdf)には、
「維新の党本部」から250万円(2015年4月24日)、125万円(7月24日)、500万円(12月18日)の交付金を受領したと記載していた。
しかし、2015年「維新の党」(代表・松野頼久)の政治資金収支報告書(前掲)には、以下の支出が記載されていた。
52頁(123頁)
寄附金(寄付・交付金) 300万円 2015年3月10日 維新の党衆議院大阪府第8選挙区支部
66頁(97頁)
交付金(寄付・交付金) 250万円 2015年4月24日 維新の党衆議院大阪府第8選挙区支部
69頁(101頁)
交付金(寄付・交付金) 125万円 2015年7月24日 維新の党衆議院大阪府第8選挙区支部
76頁(109頁)
交付金(寄付・交付金) 500万円 2015年12月18日 維新の党衆議院大阪府第8選挙区支部。
つまり、「維新の党」本部の記載が真実なら、「維新の党衆議院大阪府第8選挙区支部」(代表・木下智彦)は、「維新の党本部」からの300万円(2015年3月10日)の寄付の受領を記載してはいなかったことになる(政治資金規正法違反の不記載罪)。
(3)以上の評価は「維新の党」本部の記載の方が真実だった場合の評価であるが、上記各支部の記載の方が真実なら「維新の党」本部の記載の方が虚偽記載をしていることになる(政治資金規正法違反の虚偽記載罪)。
果たして、どちらが真実なのだろうか?
どちらが真実なのかは、それぞれに確認する必要があるが、共通することがある。
それは、上記各支部が記載していないのは、いずれも「維新の党」本部からの「3月の300万円の交付金」だったことだ。
①「維新の党衆議院大阪府第11選挙区支部」(代表・伊東信久)
300万円(2015年3月16日)
②「維新の党衆議院大阪府第2選挙区支部」(代表・椎木保)
300万円(2015年3月5日)
③「維新の党衆議院大阪府第8選挙区支部」(代表・木下智彦)
300万円(2015年3月10日)
真実は確認しなければならないが、
可能性という点では、これらの各支部が不記載した可能性の方が高いのではないかと思われる。
というのも、他の支部(本部が記載しているもの)では、2015年3月の交付金300万円をきちんと記載しているからである(冒頭が述べたように一部除外しているものがある)。
(4)そうすると、すでに取り上げた吉村洋文衆議院議員(当時)の支部の場合も再度確認しておこう。
「維新の党衆議院大阪府第4選挙区支部」(代表・吉村洋文)の2015年分政治資金収支報告書(http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/11318/00230075/27pq0031.pdf)には、
「維新の党本部」から100万円(2015年2月10日)、250万円(同年4月24日)、168万3520円(同年7月24日)の交付金を受領したと記載されていたが、
「維新の党」(代表・松野頼久)の2015年分政治資金収支報告書(前掲)には、以下の支出が記載されていた。
50枚目(122枚目)
寄附金(寄付・交付金) 300万円 2015年3月5日 維新の党衆議院大阪府第4選挙区支部
65枚目(97枚目)
交付金(寄付・交付金) 250万円 2015年4月24日 維新の党衆議院大阪府第4選挙区支部
70枚目(102枚目)
交付金(寄付・交付金) 168万3520円 2015年7月24日 維新の党衆議院大阪府第4選挙区支部
85枚目
寄付・交付金 100万円 2015年2月10日 維新の党衆議院大阪府第4選挙区支部。
つまり、「維新の党衆議院大阪府第4選挙区支部」(代表・吉村洋文)は、「維新の党本部」からの300万円(2015年3月5日)を記載していなかったのである。
もっとも、すでに紹介した吉村事務所の弁明(虚偽記載の285万円と不記載の15万円)が真実なら、上記3件とは少し事情が異なることになるが、私は、その弁明では納得できない。
むしろ、「300万円」を一切記載していない可能性が高いのではないかとさえ疑っているのである。
(5)その推察が真実であり、かつ、上記3件につき各支部の方が不記載であった場合には、
「維新の党」本部からの交付金300万円の不記載は計4件になり、合計額は1200万円になる。
この各交付金収入を記載していないということは、当然その各支出も記載していないこと(裏金支出)になるので、各収支の不記載の合計額は計2400万円になる。
吉村洋文氏は現在も「維新」(http://yoshimura-hirofumi.com/)、
伊東信久氏は現在も「維新」(http://n-ito.jp/)(http://n-ito.jp/profile/)、
椎木保氏は現在も「維新」(https://www.facebook.com/ishin.shiiki.tamotsu)(ただし、300万円の交付金を支部が受領した当時、椎木氏は落選中だった(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/168768)ので、当時支部の代表だったのか確認する必要がある)、
木下智彦は2017年衆議院総選挙にも「維新」だった(https://o-ishin.jp/election/shuin2017/candidate/kinoshita_tomohiko.html)、
すでに紹介したように、2015年4月は統一地方選、同年5月は「大阪都構想住民投票」が、それぞれ行われた。そこでの裏金として投票された可能性も出てきてしまう。
是非、マスコミの皆さん、
「維新の党」本部の記載が真実なのか、上記各支部の記載が真実なのか、
前者が真実なら、各支部はなぜ記載しなかったのか、各300万円を何に支出したのか、
取材して真実を明らかにしてください。
(つづく)