【玉城デニー沖縄県知事訪米取材】5.米国議会で辺野古新基地建設問題の追及へ!? 「可能性は十分ある」と玉城デニー知事が明言! フリージャーナリスト横田一氏が玉城デニー知事に直撃質問! 2018.11.14

記事公開日:2018.11.16取材地: | テキスト動画
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(取材:横田一、上杉英世 文:横田一 記事構成:IWJ編集部)

特集 辺野古
※2018年11月17日テキストを更新、11月20日動画を追加しました。

 玉城デニー沖縄県知事は、4日間に及ぶ初訪米の最終日となる2018年11月14日(ワシントン時間)に、国務省、日本大使館、連邦議会調査局(CRS)、ハート上院議員会館に続いてレイバーン議員会館での面会を行った後、午後6時から、沖縄県庁ワシントン事務所で囲み取材に応じた。

 この日午前10時30分から玉城知事は国務省で、国防総省のポール・ボスティ日本部長代理同席のもと、マーク・ナッパー国務次官補代理と面会を行った。セキュリティーチェックを終えて国務省に入る玉城知事に、「乗り込まれるお気持ちは?」と、IWJ記者が声をかけたが、知事は厳しい表情を一瞬こちらに向けて目礼し、足早に入って行った。

▲囲み取材に応じる玉城デニー沖縄県知事(IWJ撮影、2018年11月14日)

 面会したマーク・ナッパー国務次官補代理は、玉城知事に対し「辺野古が唯一というのは変わらない」という従来のコメントを繰り返したという。国務省での面会後の、玉城知事へのぶら下がり取材は、警備員の規制により不可能だった。

 続いて玉城知事は、杉山晋輔駐米日本大使に面会するため、日本大使館へと向かった。しかし同行メディアはいずれも、大使館入りする玉城知事に間に合わず、取材することができなかった。

 玉城知事は、午後1時から連邦議会調査局(CRS)でマーク・マーニン専門官と、午後2時半からはハート上院議員会館でメイジー・ヒロノ上院議員と、午後4時からはレイバーン議員会館でディビッド・プライス下院議員と面会を行った。

▲玉城デニー沖縄県知事が連邦議会議員と面会したレイバーン議員会館(IWJ撮影、2018年11月14日)

 民主党のプライス下院議員は、玉城知事に対し、「我々が議会で協力できることがあれば、もちろん協力していきたい」と伝えたという。フリージャーナリスト・横田一氏の「米国議会で辺野古新基地建設問題が取り上げられる可能性があるのか」という質問には、玉城知事は「その可能性は十分にあると思う」と答えている。

 この日午後6時より沖縄県庁ワシントン事務所で行われた、今回の訪米最後となる囲み取材について、横田氏による報告を掲載する。また、横田氏とIWJによる玉城知事訪米取材に関しては、下記の記事もあわせてご覧いただきたい。

■セキュリティーチェックを終えて国務省に入る玉城知事(04:30ごろから)

■連邦議会調査局(CRS)に到着した玉城知事

■ハート上院議員会館に到着した玉城知事

■レイバーン下院議員会館に到着し、ディビッド・プライス下院議員の部屋に向かう玉城知事

■沖縄県ワシントン事務所での囲み取材

  • 日時 2018年11月14日(水)17:50頃~(日本時間 15日7:50頃~)
  • 場所 沖縄県ワシントン事務所(米国・ワシントンD.C. )

<訪米日程終了後の玉城デニー知事の囲み取材(14日)>
幹事社「国務省と国防総省との面談の内容について」

玉城知事「私からは今回、出来るだけ早い時期に、辺野古の新基地反対を訴えて過去最多得票で当選した経緯にもとづいて訪問したこと、特に普天間飛行場の代替施設の埋立承認取消の流れについても説明をさせていただきました。その取り消しについては政府の、本来は国民の権利利益救済を目的とした行政不服審査法の主旨を違えて、その撤回を取り消したということについて触れさせていただきました。

 しかし、このままでは裁判に移っていくことも考えられるのですが、私は司法による解決ではなくて、対話によって解決をしたいことを求めているという話をしました。

 これに対して、昨日、安倍首相とペンス副大統領との間で、自由で開かれたインド太平洋の促進に関する日米共同声明において、『北朝鮮問題を重視している』『日米で緊密に連携をしていく』『辺野古が唯一の解決策である』ということにも言及がありました」

幹事社「連邦議会調査局との面談内容について」

玉城知事「マークマーニン専門官は、この間、沖縄の状況が分かっていて、もう一人、今日はエマ調査官も参加する予定だったのですが、そうではなく、見知らぬ顔ぶれが三人いたので、経緯を含めて説明させていただきました」

幹事社「連邦議会議員とのやりとりは?」

玉城知事「『沖縄における民主主義の根本の問題である』という話をした。

 国務省や国防総省の方にも同じ話をしたのですが、つまり『沖縄には基地を押し付けられている矛盾があり、日本全体で引き受けるべきなのに引き受けていない現実がある。沖縄県民は辺野古新基地反対を示しているのに一顧だにしない。沖縄における民主主義は違うものなのか。沖縄県民が不満を高めている状況にあっては、ますます日米の安定した同盟関係が、ましてや沖縄における基地負担軽減について、県民の不安が払拭できませんよ。そのことを訴えるために私たちは来ました』という話をしました。

 それについて国務省のナッパー次官補代理は、これまでと同じ見解を繰り返し述べていた。議会調査事務局は『その経緯についても、まとめて議会に報告してあります』ということだったので、今日はさらに、『沖縄における民主主義の実態を無視するアメリカ側の責任、日本政府の責任ついては私から話を聞いた』ということを仰っていました。

幹事社「メイジー・ヒロノ上院議員とデイビッド・プライス下院議員との話については?」

玉城知事「(ハワイ選出の)ヒロノ上院議員と(ノースキャロライナ選出の)プライス議員に対しては私から、特にヒロノ議員については5分ぐらいしか時間がなかったので、知事に就任したお祝いと、『ハワイには沖縄県民の方々の流れを汲む人が沢山いらっしゃいますので、これからも協力していきたい』ということと、ヒロノ議員からは『新知事に就任をして、大きな大変な問題があることは認識しています』という話がありました。

 プライス議員からは、ノースキャロライナの方で沖縄に関して知識はそれほどないのだけれども『我々が議会で協力できることがあれば、もちろん協力していきたい』という内容の話がありました。私が沖縄の状況を説明をして、『県民はどう思っているのか』というやりとりがありました。

朝日新聞「知事はこれまで日米両政府と沖縄県による三者協議を求めていて、昨日も今日も『対話による解決のチャネルを作ることを申入れたい』ということを言っていたのですが、今日、国務省と国防総省に伝えたのかどうか。それに対して先方からどういう答えだったのか」

玉城知事「はっきり伝えました。しかし国務省からは確たる返答はありませんでした。国防総省も同様でした」

朝日新聞「国務省との面談直後に『辺野古が唯一という考えは変わらない』という声明が(国務省から)出たのですが、知事は政策変更を求める立場での訪米で今回、アメリカ側の意志の固さという部分を事前の予測に比べてどのように受け止めていらっしゃったのでしょうか」

玉城知事「従来のコメントを繰り返しているということだと思います。

 私は、かねてから『辺野古が唯一と言っている限り、デッドロックだ』と言っている。『暗礁に乗り上げた船をどうやって動かすのか。動かすためには動かす立場にいる人たちが(沖縄県と)話し合わないと動かない』ということをかねてから申入れていますので、向こうの方々が『辺野古が唯一』というコメントをすることは、まだ進んでいないなと受け取った次第です」

朝日「今日の面談の中で、一歩でも半歩でも前進できたと実感をなさった部分はあるのでしょうか?」

玉城知事「知事に就任して知事の考えを伝えられたということは、半歩なりの前進になると思います。だからこそ、『私は対話を求めている姿勢は変えません』ということははっきり言いましたので、その対話の中から糸口を見つけていこうと。

 その根本的な問題は何かというと、沖縄における民主主義の問題だと。これはお互いに普遍的な価値観を共有できるのかどうかということにもつながるので、日本とアメリカはこの問題の当事者であり、責任者であるということもはっきりと申入れました」

横田「軟弱地盤問題については説明されたのでしょうか?」

玉城知事「説明しました」

横田「欠陥基地になる恐れがあることを伝えても、国務省は(『辺野古が唯一の解決策』との)考えを変えないということなのでしょうか?」

玉城知事「細かい説明もしました。議会調査事務局にも同じような説明をしました。議会調査事務局はそういう事実があることを認めていましたが、それに対して『返事をする立場にはない』ということだと思います。

 ただ国務省と国防総省(との面談で)は、私が説明をして、『これから先、(軟弱地盤を強化する)地盤改良などがあった時は知事の許可を求めないといけない。そうすると、その許可を出すのは知事自身なので、この工事にはまだまだ完成までに時間がかかることは十分に予測される』ということも言っておきましたが、それらについてトータル的に国務省や国防総省からはコメントはありませんでした。

横田「まさに『(軟弱地盤問題で新基地建設が)デッドロックになる』と告げても(国務省と国防総省は)考えを変えないということだったわけですか?」

玉城知事「はい」

他社「4日間の総括を」

玉城知事「日本とアメリカが時間をかけて議論をしてきた『辺野古が唯一』という考えで結論が出て進んでいるというコメントがアメリカ側から、特に政府関係者から出ていたということがありました。

 他方で、こういうふうな問題をアメリカ国民、そして沖縄出身の流れを汲む人達には『アメリカも当事者である』ということを受け止めていただき、その世論を是非、皆さんにも作っていただきたいということを話したことについては、非常に温かい感触を得たなと思っています」

他社「今後、日本に帰国してどう活かすのか?」

玉城知事「その戦略は、じっくりと考えたいと思います」

他社2「今後、訪米した場合、どういう試みをしていきたいのか?」

玉城知事「物事はしなやかに流れている、動いている。では、この流れはどこから方向性が変わるのかは、その都度、判断しないといけないと思います。

 今回はまずニューヨークから入り、ワシントンに来たと。そしてニューヨークでも私はいい形でスタートが切れた。(後略)」

他社3「杉山大使とのやりとりは?」

玉城知事「知事就任の挨拶でした(後略)」

琉球新報「ニューヨークとワシントンを訪問されて天気に例えるとどうなるのか?」

玉城知事「ニューヨークは快晴ですね。ワシントンは雪が降る前の曇り空ですね。雪が降ると温かくなるのですが、降る前の方が寒いですよね。そんな雰囲気です」

IWJ「国務省の声明が直後に出されたことについて、知事の訴えが蔑ろにされたという印象があるが、その受け止めは?」

玉城知事「それは決めた側の一方的な既定路線でしょう。

 しかし私は沖縄における民主主義の崩壊に向かう状況を説明させていただきました。つまり『当事者である日米両政府が沖縄における日米安保体制も揺らぎかねません。不安定な状況をそのまま続けていくのは決して得策ではない』ということもはっきりと申し上げました。その上で、そういう(国務省の)声明を出してくるということは、やはり、まだ沖縄の認識がしっかりと受け取っていただけていない。あるいは、受け取ろうとしないと。様々なことが考えられると思います。

 ただ私たちは一喜一憂せず、常に沖縄の立場を説明し、発信をし、今日、これだけの皆様が集まっていますから、向こうが発出したのであれば、メディア
の皆様が『沖縄県がどういう思いで今回、行動したのか』ということについての核心的な部分をしっかりと発信していただければ、と思います」

IWJ「埋立承認撤回についてのアメリカの反応は?」

玉城知事「反応は特になかった」

他社4「県民投票を受けて、また新たに訪米をして沖縄の民意を伝えるお考えや予定はあるでしょうか?」

玉城知事「予定はありませんが、県民投票は条例の中で決められていることですので、それは必ずやらないといけないことですから、結果が出たらしっかりと(アメリカ側に)伝えたいと思います」

琉球新報「その際はまた訪米するということですか?」

玉城知事「できれば訪米したいのですが、レターでの報告になるのかは、これから検討していきたいと思います」

横田「日米両政府が頑なな姿勢であれば、日米の野党が連携して追及すると。(米国議会での協力を申し出たプライス)民主党下院議員と会われたということもありますので、そういうお考えはありますか?」

玉城知事「様々な戦略から様々な戦術を描いていくことは必要なことです。ましてや沖縄県は47都道府県の一地方自治体、県ですから、私たちが出来ることは限られているかも知れません。そこにいろいろな分野の方々が加わっていただき、多くの県民のみならず、アメリカに住んでいらっしゃる米国民の方々も、私たちと一緒に行動することで大きなうねりになると思うのです。

 その作業を作ることは、これからもいろいろな形でやっていきたいと思います」

横田「民主党下院議員が『(議会対策で)協力する』ということは、米国議会で質問する、辺野古問題を取り上げるという可能性があるという理解でよろしいでしょうか?」

玉城知事「その可能性は十分あると思います」

他社5「訪米で(対応が)冷たいと感じたことは?」

玉城知事「これは予め予想されたことですが、今の日米関係で例えば、日本側が何か動きを見せることがあるのか。折りしもペンス副大統領がその声明を発表して新たな太平洋・インド洋への戦略を発表した段階で、辺野古の問題や沖縄の問題の話をするのかというと、私は、恐らく大きな計画の話が中心で、部分的なことについてはほとんど考えないだろう思っていましたので、それを考えると、やはり雪が降る前の寒い状態のまま、沖縄は置かれているのではないかと思います。

 ただ、寒さには寒さ対策が必要ですので、それなりに私たちは凍えているだけでは、私たちはいけないと思います。体を動かして温かくしましょう」

横田「海兵隊の方と会えなかったのは非常に残念ではなかったのですか。もう一回訪米をして会うということでしょうか?」

玉城知事「そうですね。私が海兵隊の人にもし会えるのであれば、『私は海兵隊員の息子です』と言えば、少しは…」

横田「それでは、もう一回訪米をして海兵隊員に会うと?」

玉城知事「もう一回訪米するのかどうかは分かりませんが、今回はメッセージとして出させて頂きました」

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