初訪米のニューヨークでの二日間に「大いに手ごたえを感じた」と語った玉城デニー沖縄県知事は、11月13日、米国の政治の中心地である首都ワシントンD.Cに移動した。この日は、米国内で大きな影響力を持つシンクタンク、ブルッキングス研究所のマイケル・ オハンロン研究員、日本の外交政策を研究しているシエラ・スミス氏、そしてジョージ・ワシントン大学のマイク・モチヅキ准教授という、3人の有識者との面談が行われた。
最初に訪問したブルッキングス研究所で、玉城知事が「沖縄基地の問題に長らく関わりを持ってきた」と語るマイケル・オハンロン氏との面談を終えた後、ワシントン現地時間午後3時ごろから、囲み会見となった。オハンロン氏と具体的にどのような話をしたのかとの記者の質問に、玉城知事は「沖縄県が辺野古の埋め立て承認を撤回していること、政府が法の趣旨を捻じ曲げて撤回を取り消したことを伝えました」と答えた。
オハンロン氏からの返答について、玉城知事は「米国と中国の貿易をはじめ、いろいろな動きが複雑化している状況の中で、お互いが丁寧に情報収集して共有する必要性について確認しました。また、基地問題というハードパワーの話と、貿易というソフトパワーの話が、幅広くつながっているということで話を聞かせていただきました」と述べた。
ジャーナリストの横田一氏は「軟弱地盤問題(※)については、どう説明されて、オハンロン氏の反応はどうだったんでしょう?」と質問した。玉城知事は「具体的な細かい話ではなくて、今年に入って各国首脳が話し合いを持つなど、20年前から大きく変わっているアジアの状況も含めて、いろいろなことについてお話しを聞いたということです」と答えた。
- 辺野古沖に軟弱地盤、深さ約40メートル 防衛局報告書に「想定外」記述(沖縄タイムスプラス、2018年3月21日)
横田氏は「欠陥基地になる恐れがあるということは、米国側は認識していないのですか?」と続けて尋ねたが、これに対して玉城知事は「そのことについては、話は出ませんでした」と回答するのみであった。
囲み会見が始まってまだ5分も経っていなかったが、次の予定が迫っているためなのか、沖縄県職員が「最後の質問でお願いします」と告げた。かまわず琉球新報の記者が、かつて辺野古の代替案を提案していたオハンロン氏が今現在、どう考え、米国の動きをどう見ているかについて質問した。
玉城知事は「オハンロン氏の話では、ペンタゴンはかつてほど普天間や辺野古にフォーカスしてはおらず、もっと大きな範囲で物事を考えているようです」と答えた。IWJ記者が「その大きな範囲というのは?」と聞くと、先ほどの県職員が「ありがとうございました!」と言って質問を打ち切ろうとした。
それを制止して「どうぞどうぞ」と質問を促したのは玉城知事本人だった。IWJ記者が「今の、朝鮮半島の状況が変わっていることなども含めてでしょうか?」と尋ねた。玉城知事は「中国や朝鮮半島や台湾、その辺りも全部含めて。おそらくもっと広い範囲で、ロシアやヨーロッパも入っていたかも知れませんが、私は、沖縄を中心としたアジア全体という意味合いで受け取りました」と答えた。
続いてマイク・モチヅキ准教授との面談後に、ワシントン現地時間午後6時より行われた囲み会見で、IWJ記者が「明日はいよいよ国防総省に行かれるんでしょうか?」と質問すると、玉城知事「はい、その予定です」と回答。今回の訪米の最終日となる14日は、国務省、国防総省、連邦議会調査局(CRS)での面談が決定している。だが、13日段階でも具体的な面談者については、同行メディアにもまだ発表されていなかった。その他、上院議員、下院議員との面談も、前日にもかかわらず調整中であった。