2018年11月12日(現地時間)、ニューヨークに滞在中の玉城デニー沖縄県知事は、次の訪問地であるワシントンD.Cへ発つ前に国連本部を訪れ、国連事務次長・中満泉(なかみついずみ)氏との面談を行った。12日午後5時ごろ(日本時間13日午前7時ごろ)より、面談を終えて国連本部のビジターエントランスから出てきた玉城知事への、囲み会見が行われた。
今回の中満氏との会見実現の経緯を問われた玉城知事は、「ニューヨークに行くならば、中満さんとはぜひお会いしたいと考えていました。外務省や様々なチャンネルを使って交渉し、最終的には私が指名をいたしました」と答えた。中満氏には「沖縄県も国連の活動とつながるように、沖縄平和賞を含め積極的に平和に貢献できる取り組みをしていきたいと考えており、そのご協力もお願いしたい」と伝え、非常になごやかな温かい雰囲気で話が進んだとのことだった。
フリージャーナリストの横田一氏が玉城知事に、「中満さんには辺野古問題については、どういった話をされましたか?」と、質問すると、玉城知事は「ここでは辺野古の話はほとんどしていません。歴史的経緯や政治的環境についてのお話しとともに、沖縄県が『平和と経済は車の両輪と考えている』ということをお伝えしました」と、答えた。
この会見のあった12日午前11時45分ごろ、沖縄県の海上に、米空母ロナルド・レーガンから発進した米海軍のFA18戦闘攻撃機が、大東島付近で墜落した。操縦士と副操縦士の2名は米軍に救助され、命に別条はないという。
この事故を受けて訪米中の玉城デニー沖縄県知事が、ニューヨーク時間12日午前8時ごろ(日本時間午後10時ごろ)、滞在先のニューヨークのホテルで緊急記者会見を行い、「一歩間違えば漁船など民間船舶への被害につながりかねず、県民に不安を与えるもので甚だ遺憾だ」と述べ、事故原因の公表や再発防止措置を含む安全管理の徹底などを求めた。
- 米艦載機、那覇沖に墜落 FA18 乗員2人は緊急脱出(東京新聞、2018年11月13日)
基本的人権や平和主義をベースにする日本国憲法よりも日米地位協定が上位にあるという状況が、沖縄の人々の安全をおびやかし続けている。そして、朝鮮半島での軍事的緊張の継続を前提とした日米安保体制の本質を見ようともせず、日本の政治のメインストリームでは与野党を問わず、「日米同盟が基軸」と言われ続けている。
IWJ記者は、朝鮮半島の状況が対話へと大きく変わり、日米安保の前提が大きく崩れるという状況下の訪米となった今回、ワシントンD.Cの政府関係者や議員に何を伝えたいかを、玉城知事に質問した。
玉城知事は、辺野古新基地計画は20数年前に決まったことかもしれないが、今年に入ってから、4月の南北首脳会談、6月には初の米朝会談、先日は安倍総理が習近平氏と会談するなど、環境は確実に変わっていると指摘した。そして、環境の変化をとらえることなく「辺野古が唯一の解決策だ」と言って、普天間基地の問題を先送りしている日本政府の姿勢については、「世界からみれば非常に奇異に映るということを、はっきり言わなければならないと思います」と、語気を強めて断言した。