7月12日から長期で西日本豪雨被害の被災地取材をおこなっているIWJ上杉記者は、7月23日、浸水被害とアルミ工場爆発という2重の災害を被った、総社市下原(そうじゃししもばら)を取材した。
大雨の降り続く7月6日午後11時半頃、大爆発を起こした「朝日アルミ産業」は現在も警察と消防による現場検証が続いているが、爆発は浸水により高温のアルミニウムに水が触れたことによる水蒸気爆発だと見られている。
付近の住民の話では、爆風により家のガラスが割れ、工場から飛んできた炉の一部やアルミの燃えかすでボヤを起こした家屋もたくさんあるとのこと。爆発音は20キロ離れた岡山市でも聞こえたという。
当時、爆発したアルミ工場から川と道路をはさんだ下原地区の公会堂では、地区の自主防災組織が浸水による避難の協議をしている最中だった。住民の話では、爆発によって割れたガラスが一面に飛び散り、顔に怪我を負った人もいたそうだ。この方はIWJの取材に「ミサイルが落ちたのかと思った」と証言している。8日に水が引いて避難所から戻ってみると戦争の後のように無残だったとも語っている。死者が出なかったのは奇跡的だということだった。
その後、IWJは総社市危機管理課を取材した。総社市は東日本大震災以降、積極的に被災地を支援する条例を制定し、特別な予算も計上。これまでに6回被災地に人員を派遣して経験を積み、いつ起こるかわからない大規模災害に備えるなど、市をあげて防災に積極的に取り組んでいる。
自治会レベルでの防災体制にも力を入れていて、中でも下原地区は夜間や雨の日に避難訓練をおこなうなど、積極的に取り組んでいたため、「それが今回の災害でも生かされている」と担当者は語った。前出の下原地区の住民も「一斉避難した時に怪我人は出ても、洪水での死者が出なかったのは、その蓄積があると思います」とIWJ記者に語っている。
なお、総社市では全国から水はたくさん届いていて十分に足りており、今後はスポーツドリンクなどがあるとありがたいということだ。また、各戸に配れるような500mlのペットボトルなども一括して総社市に送って欲しいとの情報をいただいた。