2018年7月12日から西日本豪雨の被災地を取材している上杉記者は17日、広島県江田島市へ渡った。江田島は、瀬戸内海の島々の一つで、車で広島市から呉市を経由して約1時間10分ほどの距離だ。江田島市は西日本豪雨により、大規模な断水が続くなど、広島県内では呉市と並んで大きな被害を受けた地域だ。
- 呉・江田島への送水、13日に再開 広島県、工業用水も 1週間以内の断水解消めざす(日経新聞、2018年7月11日)
江田島市切串地区の現場を取材した上杉記者によると、同地区にある神社の周囲には、直径1メートル近くの巨大な岩がごろごろ転がっていたという。江田島にボランティアで来ている方にお話をうかがったところ、山から流れ出した真砂土(まさつち)が土石流となって襲ってきたものだそうだ。
今回の江田島市の土砂災害の規模から被害の深刻さがうかがえるが、決して災害に対して備えていなかったわけではない。
しかし、江田島在住でボランティア団体の運営にも関わっているK氏は、次のように語った。
「ハザードマップはあるが、南海トラフ(地震)を想定したものなんです。『津波が来たらここより上へ』というのはあちこちにあります。大雨の土砂災害を想定したハザードマップは、見たことないです」
今回、江田島市を襲った土石流は、民家にも流れ込み、同市の宮ノ原地区では、あるみかん畑が跡形もなくなったほどの規模だった。
また、江田島市の小古江(おぶれ)地区の被災地は、土砂崩れにより3軒の家が孤立した状態になった。しかし、市当局は当初、現場の写真を撮っただけで「調査済み」として処理しようとしていた。
孤立した3軒の家の住人のM氏によると、「市の防災に『崩れとるんよ』と電話したら『そうなんですか』で終わった。3日くらいして市職員が見回りに来て『崩れとるじゃないですか!』」と言って慌て始めたというほど、市は現場を放置していたようだ。M氏は、「同じことを市に何回言うたことか!」と、憤りを隠せない様子だった。