愛媛県の大洲市(おおずし)では、住民が「普段はおとなしい川」と語る肱川(ひじかわ)が氾濫して、3000世帯以上の家が冠水した。肱川の上流には鹿野川ダムと、さらに上流の支流には野村ダムがあり、二つのダムからの大量放流が、甚大な被害を出した一因であることは間違いがない。
2018年7月14日、IWJ上杉記者は肱川流域の被害の実態を川づたいに確認するため、車のダッシュボードにカメラを固定して、鹿野川(かのがわ)ダムから、肱川中流の大洲市菅田町(すげたちょう)までを撮影した。
鹿野川からすぐ下流にある、道の駅「清流の里ひじかわ」では全店舗が休業し、従業員が、泥にまみれたテーブルや調理器具を表に出して掃除していた。店舗の裏手には、濁流に押し流された軽トラックや乗用車が引っくり返った状態で転がっていた。
肱川沿いの国道197号線は、今も全面通行止めの区間がある。迂回路の山道から見下ろすと、大規模な路肩崩落と、道を塞いだ崖くずれの惨状がはっきりと見えた。
迂回路から国道197号線に合流してさらに下ると、青い色の橋が4つに寸断されて散らばり、巨大な鉄の塊が川の中に横たわっていた。
民家が増えるにつれ、家から出した泥だらけの家財道具、そして上流から流れてきた大量のゴミの山が、道の両側に目立ち始めた。午前中に上流に向かって通過した時には、片付けに汗を流す多くの住民の姿が見られた。しかし、昼過ぎの一番厳しい日差しを避けて、多くの方が家の中で休んでいるのか、人影は少なくひっそりとしていた。
【西日本豪雨取材報告】「これは天災じゃなくて人災じゃ思います」!危険水域を超えたダムの放水!下流を守るために大洲市が遊水地になった!? https://iwj.co.jp/wj/open/archives/427408 … @iwakamiyasumi
「治水の役に立つ」と言われてきたダム安全神話の嘘が明らかになった。国は住民の安全よりダムの保全を優先した。
https://twitter.com/55kurosuke/status/1018617476307771392