気象庁が9日に「平成30年7月豪雨」と命名した西日本豪雨災害は、救助活動が進むにつれて犠牲者の数が増え続け、10日午後6時現在で155人の犠牲者が確認された。
行方不明者も10日午後4時現在で、70人以上が確認されている。生存率が急激に低下すると言われる「発生からの72時間」を、すでに越えてしまった。岡山、広島、愛媛など被災地では、梅雨明けの厳しい日差しが照りつける過酷な状況下での、懸命の救助活動が続けられている。
- 西日本豪雨、死者155人に(BBC NEWS JAPAN、2018年7月10日)
7月10日の午前10時過ぎには、広島県府中市の榎(えのき)川が氾濫したため、同町は住民に対して「高台に避難してください」と避難指示を出した。橋脚に流木がたまってダム状となっていたのが、2日後になって持ちこたえられずに決壊したためとみられている。悪夢のような長い豪雨がおさまっても、決して河川氾濫への警戒をゆるめることはできない。
- 西日本豪雨死者132人、不明74人 広島・榎川が氾濫(朝日新聞、2018年7月10日)
4年前に土砂災害によって77人もの犠牲を出した広島では、10日現在、この度の水害では最多となる56名の犠牲者が出ている。また、三篠川にかかるJR芸備線の鉄橋が流されたり、大規模な土砂崩れによってJR呉線が何カ所も寸断されるなど、交通機関への被害も甚大なものとなっている。そんな中で、周辺への道がすべて寸断されて、人口約23万人の中核都市である呉市が完全孤立するという事態も起きている。
- 西日本豪雨 呉23万人、孤立状態 交通寸断「何もこん」(毎日新聞、2018年7月10日)
今回の水害で、岡山県倉敷市の真備町が一面の泥の海の中に沈んで大きな被害を受けたのは、高梁(たかはし)川に合流する小田川が氾濫したためだった。はるかに水量の多い本流である高梁川が、万一氾濫を起こしていれば、被害はさらに、想像を絶するものとなっただろう。
ところが、NHKニュースや山陽新聞からの情報をもとに、倉敷市真備地区の水没までの経緯をまとめたIWJ岡山中継市民からの報告によると、高梁川が氾濫する恐れもじゅうぶんにあったようだ。6日午後7時の時点で高梁川は、上流の高梁市で氾濫危険水位を超えていたそうだ。また同日午後8時には同市で高梁川の水位が観測不能となっていたとのことだ。
「小田川よりもはるかに大きい高梁川も、ほぼ堤防と同じ高さくらいまで水位が上がっていて、氾濫寸前だったように思います。高梁川まで氾濫しなくて良かったと心から思います。今後の防災対策がとても重要な課題です。行政任せでなくわたしたちもしっかり考えなくてはと痛感しています」と、その中継市民は報告をまとめている。
またIWJは、岡山県高梁市出身で現在は大阪在住のOさんにも電話取材した。Oさんが高梁市内に住む家族や友人から聞いた話では、本流の高梁川も、落合町周辺など数カ所で部分的な氾濫を起こしたそうだ。真備町ほど広範囲でないにせよ、川沿いの集落では浸水がみられ、車が完全に水没するなどの被害があったという。
このたびの水害で犠牲になられた方々のご冥福を、あらためてお祈りします。救助活動を続けるみなさん、これから暑さが増していく中で復旧に向けて動いておられるみなさん、どうぞ熱中症にはお気をつけください。IWJはこれからもこの平成最大の水害を、注視し、伝えていきます。
※IWJでは今回の「平成30年7月豪雨」について、広く災害情報を集めています。
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また、写真や映像などがあれば是非ご提供下さい。被災の状況だけでなく、地域の行政の情報や支援のための情報なども、お寄せいただければ積極的に広めたいと考えています。