2018年4月10日、愛媛県が作成した学校法人「加計学園」の獣医学部新設は「首相案件」と書かれた愛媛県作成の文書の存在が朝日新聞によって報じられたことから、急展開を見せはじめた「加計学園問題」。
文書には、学校法人「加計学園」の愛媛県今治市への獣医学部新設計画をめぐり、愛媛県や今治市の職員と加計学園幹部とが、2015年4月2日に柳瀬唯夫(ただお)首相秘書官(当時、現経済産業審議官)と面会したことが記録されていた。柳瀬氏が「首相案件」と発言したとの記載もあった。しかし、面会について柳瀬氏は「記憶の限りでは」と留保をつけながらも、「お会いしたことはない」と、面会自体を4月末の今に至るまで否定し続けている。
しかし2018年4月13日には、齋藤健農林水産大臣が、農水省で同様の文書が見つかったことを公表。さらに同4月20日には、愛媛県職員らと柳瀬氏が2015年4月2日に面会予定であることが記されたメールが、文科省で発見されたと発表された。獣医学部新設について「2017年1月20日に知った」という安倍晋三総理の国会答弁の信憑性が大きく揺らいでいる。
約1年前、2017年5月25日に朝日新聞のインタビューに答えた前川喜平・前文科事務次官は、内閣府から文科省に渡った「官邸の最高レベルが言っている」「総理のご意向」と記録された文書について、「私が在職中に専門教育課で作成されて受け取り、共有していた文書であり、確実に存在していた」「あったものをなかったことにはできない。公正公平であるべき行政のあり方がゆがめられた」とし、その証言を貫き通した。
2017年1月に退任した前川氏は、現役の時は「面従腹背」を座右の銘とし、官僚としての務めを果たしながらも、「常に心は支配されない自由人」と自身を表現する。心身の自由と近代社会の人工的なシステムは時に相容れない。「教育はどこでもいつでも受けられねばならない」として、現在はボランティアで自主夜間学校と呼ばれる学校で教鞭を取っている。
前川氏の自由を尊ぶ精神、そして特に弱者や貧困に心を寄せるようになったバックボーンは何なのだろうか。前川氏の人柄から、加計問題の本質、さらに日本が向かうべき方向まで、様々なお話を岩上自身がうかがった。