「軍学共同研究」をめぐって、日本学術会議は今、正念場を迎えている。
2017年2月4日、日本学術会議主催の学術フォーラム「安全保障と学術の関係:日本学術会議の立場」が開催されるにあたり、同日、日本学術会議前で「軍学共同反対 大学の危機突破:学術会議前大要請行動」が行なわれ、約100名の参加者らが「軍学共同反対」の声をあげた。
(取材・文:須原拓磨)
※2月7日テキストを追加しました!
「軍学共同研究」をめぐって、日本学術会議は今、正念場を迎えている。
2017年2月4日、日本学術会議主催の学術フォーラム「安全保障と学術の関係:日本学術会議の立場」が開催されるにあたり、同日、日本学術会議前で「軍学共同反対 大学の危機突破:学術会議前大要請行動」が行なわれ、約100名の参加者らが「軍学共同反対」の声をあげた。
記事目次
■ハイライト
防衛省が2015年に導入した「安全保障技術研究推進制度」。この制度は、防衛省が掲げた研究テーマに対して、研究者から技術提案を募集し、研究が委託される制度である。提案が採用されれば、研究者は防衛省から資金提供を受け、研究に取り組むことができる。政府はこの制度の来年度予算案を、今年度の6億円から110億円にまで大幅に拡大させる意向だ。
日本学術会議は、先の大戦で軍事動員に協力した反省から、1950年と1967年に、「戦争を目的とする科学の研究には絶対従わない決意の表明」「軍事目的のための科学研究を行なわない声明」を発表し、戦争を目的とする科学の研究には加担しないと宣言した。今後、この声明を堅持していくか否かについて、今まさに熱を帯びた議論が展開されている。
2017年1月16日には、日本学術会議主催「第8回 安全保障と学術に関する検討委員会」が行われ、中間報告とりまとめに向けた報告がなされた。本会の模様は、IWJでも取材しており、記事化しているので、是非、以下のURLから御覧いただきたい。
2月4日の要請行動では、名古屋大学名誉教授の池内了氏がスピーチした。池内氏は、防衛省による安全保障技術研究推進制度について、「露骨に大学や研究機関に対して、軍事研究への誘い・誘導を開始した」と述べ、「軍学共同」への懸念を示した。
「私たち自身は、広く市民の方々に訴えて、この問題が日本の学術そのもの、同時に、僕は軍産学共同体をつくっていく第一歩になるのではないかと思っております」
池内氏は「軍産学複合体」の形成に警鐘を鳴らしつつ、「今年度の予算案は、110億円ですよね。去年はたった6億円だったわけですよ。まさにそのために、大がかりな基礎研究の名のもとに、軍装備開発に向かいたい考えだと思われます」と述べ、危機感をあらわにした。
IWJ代表・岩上安身は2016年9月、池内氏へ単独インタビューを行い、科学者の戦争動員が歴史的に行われてきた歴史的事実などについて詳しくうかがっている。是非こちらの記事も、あわせて参照されたい。
全国大学高専教職員組合(全大教)の長山泰秀書記長は、「大学は今、まずもって資金の問題で非常に苦しめられ、それをテコに、政策目標に従うことを押しつけられている」と現状を説明し、「政府が考えている方向に、教育も研究も、大学の様々な活動が歪められている」と問題提起した。
(…会員ページにつづく)
名古屋大学名誉教授の池内了氏が「軍学共同研究」に警鐘「軍産学共同体をつくっていく第一歩になるのではないか」~日本学術会議主催の学術フォーラム会場前で大要請行動 http://iwj.co.jp/wj/open/archives/361247 … @iwakamiyasumi
これを許すと後戻りは困難。いま止めないと。
https://twitter.com/55kurosuke/status/828370203620761600