山本有二農水大臣の相次ぐ「失言」によって、11月2日の委員会採決が見送られたTPP承認案・関連法案。
しかし、いずれにしても承認案が衆院を通過すれば会期は延長され、その後の参院審議がずれ込んだとしても、憲法が規定する「衆議院の優越」にもとづき、衆院通過から30日で自然成立してしまう。
まさに正念場の2016年10月31日(月)、参議院議員会館でニュージーランドのオークランド大学教授・ジェーン・ケルシー氏がTPP協定について講演を行った。『異常な契約―TPPの仮面を剥ぐ』などを著書にもつケルシー氏は、TPP問題に関する第一人者として知られている。
ケルシー教授がTPP協定に警鐘!「民主主義の手続きを自分たちの手に取り戻す必要がある!」と訴え!
ケルシー氏は、ニュージーランドが日本と同様に、来週にも国内関連法案を成立させる見込みであることを紹介した。
「国内の医療制度その他を、TPPにあわせて変えつつある。ところが、アメリカがこれを本当に実施するかどうかもわからないのに、なぜこちらだけが変える必要があるのだろうか、という声が大きくなっています」
ケルシー氏はニュージーランドの状況について解説しつつ、「日本でも全く同じ疑問が出ないのはなぜでしょうか?」と問題提起した。
重ねてケルシー氏は、「民主主義の手続きを自分たちの手に取り戻す必要があります」と話し、「外国との協定の影に隠れて何かをさせるのではなく、本当に必要なものであれば、民主主義の手続きを経てやるべきだ、と声を大にするべきです」と会場に詰めかけた参加者に呼びかけた。
同日午前、ケルシー氏はIWJ代表の岩上安身の単独インタビューに応じ、採決を急ぐ日本とニュージーランドの議会のあり方について、「馬鹿馬鹿しい」と憤りを見せた。
そのうえで、TPPをめぐる米国議会の情勢を紹介。11月8日の大統領選から、当選者が新大統領として初登院する2017年1月までの間に、米国議会でTPP関連法案が議決されなければ、「おそらくあと2年は戦えるでしょう」と希望も語った。