「ハローワークの求人情報なら安心」は大間違い ~息子が事故死した母親、中小植栽会社を「労働条件虚偽」で刑事告訴 2016.1.22

記事公開日:2016.2.10取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・富田充)

※2月10日テキストを追加しました!

 ハローワークが求職者に提供している情報を「公的なもの、だから安心」と認識している向きは少なくない。しかし、実際は、それには程遠い。労働問題に詳しいある専門家は「ハローワークが守備範囲とする中小・零細の世界には、いわゆる『ブラック』な会社が星の数ほど存在する」と指摘する。事実、ハローワークを所轄する厚生労働省には、求人票の内容が実際と異なるとの相談が、昨年度は1万2000件以上寄せられている。

 長時間労働の末、帰宅中に交通事故で死亡した男性の母親が、その男性が使ったハローワークの求人票に実際の過酷な労働条件が書かれていなかったとして、2016年1月20日に警視庁に告訴状を提出。翌々日の22日に都内で記者会見を開き、「22時間の長時間労働の末の、居眠り運転が原因だ」と主張した。「ハローワークは公的機関であるため、そこが提供する情報なら安心だと考えてしまった」。

 この交通事故をめぐっては、今回の刑事告訴の一方で、母親が1億円余りの損害賠償を会社に求める民事裁判が継続中だ。

■ハイライト

  • 日時 2016年1月22日(金)14:00~
  • 場所 中央合同庁舎内(東京都千代田区)

長時間勤務による「過労」が原因と主張

 刑事告訴したのは、東京都内在住の渡辺淳子氏。告訴されたのは都内にある、従業員70人規模の植栽会社だ。

 渡辺氏の二男・航太氏は、同社に雇用されていた昨年4月、徹夜で22時間働いた後、バイクで帰宅中に電柱に衝突し死亡した。享年24。

 渡辺氏は、同社がハローワークの求人票では「残業は月平均20時間」としておきながら、実際は月100時間を超す長時間労働と深夜勤務を強いられたとして、職業安定法違反にあたると訴えている。代理人の川岸卓哉弁護士は、「職業安定法の65条には、虚偽の情報で人材募集を行った事業者には、6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金に処せられる規定がある」と説明した。

 求人票では、「正社員採用」「試用期間なし」「マイカー通勤なし」とも記されていたが、川岸弁護士は「これらも、実際とは明らかに違う。航太氏が強いられた深夜の不規則勤務も、求人票には書かれていない」と指摘。渡辺氏は、同社は「長時間勤務」もさせていたとし、航太氏のバイク事故死について、「22時間の長時間労働の末の、居眠り運転が原因だ」と主張した。

 ただ、川岸弁護士が厚労省に問い合わせたところ、虚偽情報での求人に刑罰規定が適用された例はこれまでにはなく、川岸弁護士は「完全に死文化している」と発言。背景には、立場の弱い労働者が、せっかく得た「就職先」を失いたくないがために、会社側からの理不尽に耐えてしまう構図があるとみられる。

ハローワークに「対策強化」を求める

(…会員ページにつづく)

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「「ハローワークの求人情報なら安心」は大間違い ~息子が事故死した母親、中小植栽会社を「労働条件虚偽」で刑事告訴」への1件のフィードバック

  1. @55kurosukeさん(ツイッターのご意見) より:

    2016/01/22 新入社員 過労事故死事件 ~ブラック企業対策プロジェクトらによる刑事告訴に関する記者会見(動画) http://iwj.co.jp/wj/open/archives/283708 … @iwakamiyasumi
    黙っていても誰も幸せにならない。おかしな働かせ方には大きな声で「NO!」と言おう。
    https://twitter.com/55kurosuke/status/691012515510120448

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