「参院選に向けて、あと半年ほどです。立場や役割を置いて、自分には何ができるのか、一人ひとりがその責任を受け止めて、実際に行動していきましょう。気合を入れていきましょう」――。
昨年、集団的自衛権行使容認にもとづく安保法制に反対し、国会前で毎週金曜日に声をあげつづけた、大学生有志による団体・SEALDs。そのSEALDsの活動は、安保法制の「可決・成立」後、新たな展開を見せている。「学者の会」「ママの会」「総がかり行動実行委員会」などと共同で、野党統一候補を支援する「市民連合」を設立したのである。
2016年1月5日、JR新宿駅西口で、その「市民連合」が大規模な街宣活動を行なった。平日にもかかわらず5,000人の聴衆がつめかけた。この日の街宣には、民主党の蓮舫代表代行、日本共産党の志位和夫委員長、社民党の吉田忠智党首なども姿を見せ、夏の参院選に向けての野党共闘をアピールした。
この日の街宣でマイクを握ったSEALDsの本間信和氏は、「私たちには確信がある。それは、この国の主権者が、私たち一人ひとりであるということだ」とスピーチ。「今、求められているのは、立憲民主主義を回復させ、個人の尊厳や自由を尊重し、持続可能な成長ができる社会です。この社会の実現に向けて、ともに声をあげ続けましょう」と訴えた。
- 日時 2016年1月5日(火) 12:00~
- 場所 JR新宿駅西口(東京都新宿区)
- 主催 安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合
SEALDs・本間信和氏スピーチ全文文字おこし
本間信和氏「こんにちは! あけましておめでとうございます。SEALDsの本間です。よろしくお願いします。ちょっとだけスピーチさせてください。
新宿駅でたまたま通りかかって『何やこいつら』と思っている方もいるかもしれませんけれども、ちょっとだけでもいいので、話を聞いてください。よろしくお願いします。
去年、2015年は、色々なことがありました。まずは、安保法制をめぐる国会内部での、まるで議論とは言えない審議、そして、それに対して国会前では、あらゆる世代、立場の人々が、反対と抵抗の声をあげました。私は、この出来事を、今一度振り返らないわけにはいかないと思います。
去年、戦後70年間受け継がれてきた日本国憲法の理念が、解釈改憲という手段によって、その内実を書き換えられ、日本の安全保障政策が180度転換されました。
法律の通し方についても、到底、私たち国民の理解を得ようとする姿勢は見えず、最後には、議席の数に物を言わせて、強行採決というかたちで幕が閉じられました。これほどの怒りを私は忘れることはできません。まだ国民は忘れていませんよ!
しかし、法案が通ったまさにあの日、路上には新しい種が蒔かれていました。戦後70年の去年の夏、戦争を知らない世代が勇気を持って立ち上がり、声をあげ、強権的な政権に対してあくまでも抵抗の声をあげました。
そして国会前には、立場も年齢も異なる、無数の様々な人が押し寄せ、ともに声をあげました。
『憲法守れ』『命を守れ』『平和を守れ』『自由を守れ』『民主主義ってなんだ』――。私たちは声をあげました。
若者の政治離れと言われるこの国で、Twitterやネットでのいわれのない誹謗中傷に心を痛める日もありました。
しかし、それでも、私たちが声をあげるのは、私たちに確信があるからです。それは、この国の主権者が私たち一人一人だということ。私たち一人一人が、現実の政治を変えることができるということ。一人一人が孤独に思考し判断し、行動する。それこそが、私たちの未来を築いていくということです。
もう私たちには、準備ができています。小さな違いや対立を超え、現在の強行的な政治を押し進める現在の政権に対して、抗う準備が。政治家任せにせず、政治家におもねりもせず、私たちの声を政治に反映させていく覚悟が。
日本の政治状況を見渡すと、問題は安保法制だけではありません。辺野古における地方自治を無視するかたちで行われている強行的な新基地建設。トリクルダウンというような発想で行われる、弱者切り捨ての経済政策。そして、社会保障政策。
今、求められているのは、立憲民主主義を回復させ、個人の尊厳や自由を尊重し、持続可能な成長ができる社会です。この社会の実現に向けて、ともに声をあげ続けましょう。
参院選に向けて、あと半年ほどです。立場や役割を置いて、自分には何ができるのか、一人ひとりがその責任を受け止めて、実際に行動していきましょう。気合を入れていきましょう。
あと半年で選挙が始まります。いつだって、この国の政治を動かしているのは、私たち一人ひとりです。それは政治家ではない。偉い誰かではない。この国の主権者は私たち一人ひとりですよ! そのことを絶えず思い出していきましょう。
言うこときかせるのは、俺たち一人ひとりなんですよ! このことを忘れずにいましょう。あと半年感、本当に一緒に頑張りましょう。覚悟を持って、責任を持って、一人ひとりが孤独に思考し判断し行動する、そのことがこの国の政治を変えていくはずです。よろしくお願いします。
ありがとうございました」