秘密保護法を忘れてはいけない! 「私たちの目を、耳を、口を塞ぐ。そして日本は戦争に突き進む!」 ~秘密保護法違憲訴訟の原告団が街頭アピール 2015.9.29

記事公開日:2015.10.21取材地: テキスト動画
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(取材:石川優、文:IWJテキストスタッフ・花山格章)

特集 秘密保護法
※10月21日テキストを更新しました!

 「私の言った『戦争法案』という言葉すら、言葉狩りに遭った。今、自由と民主主義を掲げて、多くの人たちが声を上げている。しかし、戦争が始まる前の段階で、自由と民主主義は制限されるだろう」──。

 社民党の福島みずほ議員は、このように述べて、「国民は、秘密保護法も安保法も許してはいけない。安倍内閣を退陣させよう」と呼びかけた。

記事目次

■ハイライト

  • 弁士 安田浩一氏(原告)、新崎盛吾氏(新聞労連委員長)、楢原拓氏(「劇団チャリT企画主宰」劇作家、演出家、俳優)、宮本徹議員(共産)、清水雅彦氏(日本体育大学教授(憲法))、制服向上委員会、前田能成氏(出版労連・特定秘密法担当)、孫崎享氏(元外交官、評論家)、堀敏明氏(原告代理人弁護士)、福島みずほ議員(社民)、藤原家康氏(秘密保護法対策弁護団)

2005年には秘密保護法の制定を米国に約束していた政府

 2015年9月29日、東京・新橋駅のSL広場において、フリーランスの表現者43名からなる秘密保護法違憲訴訟原告団が、街頭リレー演説会を行った。これは11月18日に予定されている東京地裁判決を前にしたアピールの一環で、元外交官の孫崎享氏、社民党の福島みずほ参議院議員、共産党の宮本徹衆議院議員、弁護士、憲法学者、劇作家、ジャーナリスト、制服向上委員会メンバーなどが順番にマイクを握り、特定秘密保護法の危険性を訴えた。

 ジャーナリストの安田浩一氏は、「秘密保護法は、私たちの目を、耳を、口を塞ぐ。自由と主権を奪うものである。国がやりたいように、好き勝手できるようにするためのシステムであり、ないがしろにされるのは、私たちだ。訴えること、報じること、取材すること、すべての権利が奪われる」と指摘した。

 共産党の宮本徹議員は「ベトナム戦争もイラク戦争も、嘘で始まった。今回の戦争法の下、政府にとって都合が悪い情報を特定秘密にして、戦争に突き進んでいく危険がある。特定秘密保護法も戦争法も、廃止しかない」と力を込めた。

 情報を国民に伝えない法律を作るのは、アメリカのためだ、と看破するのは孫崎享氏。「発端は2005年10月、『日米同盟:未来のための変革と再編』という文書に日米が合意したこと。米国の戦略のために自衛隊を海外で使うことが、国民の知らない中で合意された。次は、『共有された秘密情報を保護するために必要な追加的措置をとる』だ。日本政府は2005年の段階で、秘密保護法を作ることを、アメリカに約束していたのだ」と説いた。

秘密保護法で報道が変質、国民の知る権利と主権が奪われる!

▲安田浩一氏

▲安田浩一氏

 「特定秘密の保護に関する法律により、『私たちの知る権利』『国民主権』が奪われ、情報が国家に独占される」として、特定秘密保護法(以下、秘密保護法)の廃止を目指して活動している安田浩一氏が、最初に演説に立った。

 「特定秘密とは、国が判断して秘密と定めたものだが、私たちは何が特定秘密であるのか、知ることはできない。その秘密を知ろうとする、あるいは調べる、取材する、こうした行為そのものが処罰の対象となっている」

 これまで多くのジャーナリストが、国家の犯罪や隠蔽された事実を暴いてきた歴史がある。しかし、秘密保護法によって調査報道の手段が奪われ、報道の役割が変質し、結果、国民の知る権利が侵害されて、国民の主権が奪われてしまうと、安田氏は危惧する。

 「表現の自由、報道の自由そのものが奪われてしまう。これは絶対に許すことはできない。秘密保護法は、私たちの目を、耳を、口を塞ぐものであり、自由と主権を奪うものである。国がやりたいように、好き勝手できるようにするためのシステムであり、ないがしろにされるのは、私たちだ」

 これはジャーナリストや、公務員、研究機関の職員だけに限定される問題ではない。この法律の運用の中には「適正評価」というものがあり、特定秘密を扱う立場の人は、経済状態や病歴、犯罪歴、酒癖に至るまで調べられる。しかも、本人だけでなく、同居する親族や友人知人など、関係するすべての人々が適正評価の調査対象となる可能性があるという。

 安田氏は、「だからこそ、私たちはプライバシー侵害を許さない。知る権利を侵害する国家の行為を許さない。何より、報道する自由を認めない法律を許さない」と力を込めると、この法律がすべての人々にとって危険であることを広く訴え、廃案に持ち込むために裁判を通して戦っていくと意気込んだ。

マル秘の自衛隊交戦規則。米軍に合わせて変更されてもわからない

 安倍政権は2013年、強行採決によって特定秘密保護法を成立させ、今年は戦争法案も強引なやり方で通している。宮本徹議員は、今回の戦争法案の国会審議の中で、中谷防衛大臣が、「集団的自衛権を行使する存立危機事態と判断する情報も、特定秘密となるものもある」と発言したことを問題視。「こんなことでは、存立危機の認定がまともに行われているのか、チェックすることすらできない」と懸念を表明した。

 宮本議員は、「これまでの戦争は、嘘とごまかしで行われてきた。アメリカはベトナム戦争の時、トンキン湾事件をでっち上げた。イラク戦争は、フセイン政権が大量破壊兵器を持っていると嘘を並べたてて開戦した。日本も秘密保護法と戦争法のもと、政府にとって都合が悪い情報を全部隠して、戦争に突き進んでいく危険性がある」と訴える。

 さらに、この戦争法によって、具体的に自衛隊の交戦規則を書き換える可能性があるという。

 「今は、米軍と自衛隊の交戦規則はまったく違う。米軍は先制攻撃も辞さないが、自衛隊は憲法があるので、受動的な場合でしか武器使用はできない。しかし、自衛隊が米軍を守ることになれば、米軍と自衛隊の交戦規則が一緒になる可能性がある。

 だが、この交戦規則はマル秘扱いだ。私が国会で質問しても、『敵に手の内をさらすことになるので答弁は差し控える』と、何ひとつ回答がなかった。マル秘のままで特定秘密に指定され、改正されて運用されていく。それが憲法違反でも、確かめる術がない」

秘密保護法成立、集団的自衛権の行使容認。次に来るのは憲法改正

 新聞労連委員長の新崎盛吾氏も、特定秘密保護法に賛成することはできないとして演説に立った。

 「この法律は、戦後日本で初めての、取材を取り締まる法律。私たちが取材して、国民の知る権利に応える。この役割が果たせなくなった時に、戦争が始まる。今年の夏、安倍政権は、戦争法案を強行採決した。これは特定秘密保護法の時からずっと続いている動き。まず、秘密保護法で取材の手足を奪い、秘密を保持する体制を作る。戦争ができる国作りのために、集団的自衛権行使を閣議決定で容認し、戦争法制を整えた。次にあるのは、憲法の改正だ」

 そう語る新崎氏は、今の大手メディアの中には、すでに権力の監視という役割が果たせていない会社もあるかもしれない、とした上で、「それでも、現場で個人でがんばっている記者は、国民の知る権利に応えようとしている。そういう人間を新聞労連は支援していく。この法律が、取材を取り締まる法律である以上、断固反対していかなければいけない」と言明した。

秘密保護法のことをもう一度思い起こして、粘り強い反対を

 劇団チャリT企画主宰の楢原拓氏は、言論表現の規制に反対する舞台表現者の立場から、このように発言した。

 「去年の夏、秘密保護法を題材にした演劇を上演した。お笑い芸人が秘密保護法に触れてしまった、という設定だ。芸人は逮捕され、その秘密が何なのかが徐々に明らかになる。この話を書いた時は荒唐無稽に思えたが、先日成立した戦争法制と結びつけたら、現実味を帯びてきた。秘密保護法のことは、多くの人が忘れているかもしれないが、もう一度思い起こして、粘り強く反対を訴えることが大事だ」

▲制服向上委員会のメンバー

▲制服向上委員会のメンバー

 制服向上委員会は、勝訴への願いを込めて、「ベートーベン第9番『喜びの歌』」の替え歌で、日本国憲法をテーマとした歌を披露した。続けて、今年6月、同グループが、神奈川県大和市が後援した「憲法九条やまとの会」のイベントで自民党批判の替え歌を歌い、自民党の若手議員が大和市に抗議した一件に言及した。抗議を受けて、大和市は事後に後援を取り消している。

 「このように、どんどん表現の自由が奪われている。マスメディアも、政府に都合のいいことしか伝えなくなってしまう。秘密保護法の違憲訴訟は、絶対勝利してほしい」と原告団にエールを送った。

(…会員ページにつづく)

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「秘密保護法を忘れてはいけない! 「私たちの目を、耳を、口を塞ぐ。そして日本は戦争に突き進む!」 ~秘密保護法違憲訴訟の原告団が街頭アピール」への1件のフィードバック

  1. @55kurosukeさん(ツイッターのご意見) より:

    秘密保護法を忘れてはいけない! 「私たちの目を、耳を、口を塞ぐ。そして日本は戦争に突き進む!」 ~秘密保護法違憲訴訟の原告団が街頭アピール http://iwj.co.jp/wj/open/archives/267640 … @iwakamiyasumi
    日本政府は2005年に秘密保護法の制定を米国に約束していた。
    https://twitter.com/55kurosuke/status/656769125339889664

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