「安保法案が通ったら、日本・中東関係に未来はない」 ~中東研究者が指摘する安保法案が招く危機 「中東諸国との信頼の基礎は憲法9条」 2015.9.4

記事公開日:2015.9.13取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・花山)

特集 安保法制反対メッセージ
※9月13日テキストを追加しました!

 「実際に中東で活動してきた日本人の実感として、中東で日本人や日本企業を守ってきたのは自衛隊でもなければ、米軍でもない。日本国憲法だ」──。

 2015年9月4日、東京都千代田区の参議院議員会館で、集団的自衛権を考える超党派の議員と市民の勉強会(第16回)「戦争法案で日本・中東関係はどうなるか」が開催された。

 基調講演を行った、千葉大学教授で日本中東学会会長の栗田禎子氏は、「日本と中東の関係を考えると、安保法案に対して反対の声を上げざるを得ない。政府に批判的な人だけでなく、政府の中東外交の先頭に立ってきた人も反対している。この法案が通れば、日本・中東関係に未来はない」と危機感をあらわにした。

 栗田氏は、日本と中東諸国との信頼関係の基礎には「憲法9条」があり、憲法9条こそが日本人の安全を守ってきたと主張。「その憲法9条を投げ捨てることは、これまで自分たちを守っていた見えない鎧を投げ捨て、紛争がある世界に丸腰で入っていくこと。現実的な国際的影響を考えるべきだ」と訴えた。

 さらに、集団的自衛権の概念が変わってきたのは冷戦後だとして、「1990年代以降、アメリカは横着になり、中東で戦争する時に、他の国にも軍事やお金を出させて、先進国を巻き込む体制に切り替えた。アメリカにとっての便利なツールとして集団的自衛権を使うようになった」と解説し、そんな米国の都合に巻き込まれてはならない、と力を込めた。

記事目次

■ハイライト

  • 基調講演 栗田禎子氏(千葉大学文学部教授)

安保法案は、そもそも国会に出してはいけない法案

 2015年8月10日、100名を超える中東研究者たちが安保法案に反対する声明を発表した。その世話人を務めた栗田氏は、「この法案だけは通してはいけない、この法案を通したら日本と中東の関係に未来はない」と語り、続けた。

 「安保法案が7月に衆院で強行採決され、このタイミングでアピールを出すしかないと考えた。それだけ中東研究者たちは危機感を持っていた。また、研究者や政府を批判してきた人たちだけでなく、そこには政府の中東外交の先頭に立って仕事をしてきた人たちも加わっている。日本の中東外交、研究のエスタブリッシュメントも、日本と中東の今後の関係を考えた時に、どうしても反対の声を上げざるを得なかったのだ。安保法案の撤回を求めるということで、アピールを発表した」

 安保法案は、集団的自衛権の行使を中心に据えていることからも、日本の戦後体制の基本である憲法の「平和主義」と矛盾する、と栗田氏は言う。さらに、ほとんどの憲法学者や、歴代の内閣法制局長官までもが「違憲」だと言っているにも関わらず、一内閣の判断、解釈で変えてしまうことを批判。「その点だけをとっても、この法案は廃案にすべき。そもそも、国会に出すことを許すべきでなかった法案なのだ」と断じた。

 「これは憲法と国民に対する一種のクーデターである」と表現した栗田氏は、先頃、共産党の仁比聡平議員が暴露した防衛省の内部文書に触れて、「自衛隊の統合幕僚長がアメリカに行って、法案成立後の夢を語っているとあれば、本当のクーデターだ。それだけでも、この法案は撤回すべき」と主張した。

 安保法案は違憲立法であると同時に、平和憲法を自ら投げ捨ててしまうことを意味すると栗田氏は述べ、「戦後の日本は、武力行使をしない平和主義であったからこそ、中東を含む諸外国との信頼関係が守られてきた。それを捨てれば、諸外国との関係が根底から覆される」として、次のように言葉を重ねた。

 「憲法で国が守れますか、と言う人がいるが、実際に中東で活動してきた日本人の実感として、中東で日本人や日本企業の経済的な利益を守ってきたのは、自衛隊でもなければ、米軍でもない。日本国憲法だ。憲法9条が、日本と中東諸国との信頼関係の基礎にあって、それが日本人を守ってきた。それを投げ捨てることは、これまで自分たちを守っていた見えない鎧を投げ捨て、これだけ紛争がある世界に丸腰で入っていくという、大変に危険なこと。現実的な国際的影響を考えるべきだ」

安保法案の悪質な点は、特措法ではなく恒久法にしていること

(…会員ページにつづく)

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「「安保法案が通ったら、日本・中東関係に未来はない」 ~中東研究者が指摘する安保法案が招く危機 「中東諸国との信頼の基礎は憲法9条」」への1件のフィードバック

  1. 本当に記者? より:

    “耳障りがいい”とは、どういう意味ですか?

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