安倍政権の狙いは「大日本帝国を取り戻すこと」――院内集会でエコノミスト・浜矩子氏(同志社大学大学院教授)が安倍政権の「富国強兵」政策を徹底批判! 2015.8.27

記事公開日:2015.8.31取材地: テキスト動画
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(取材・記事:石川優、記事構成:平山茂樹、文責:岩上安身)

※8月31日テキストを追加しました!

 「アホノミクスで富国を盛り立て、安保法制で強兵を実現する。そのことによって、安倍政権は大日本帝国を取り戻そうとしているのではないか」――。

 大胆な金融政策、積極的な財政出動、民間投資を喚起する成長戦略の「3本の矢」からなる安倍総理の経済政策・アベノミクス。そのアベノミクスを「アホノミクス」と呼び、厳しい批判を展開してきたのが、エコノミストで同志社大学大学院教授の浜矩子氏だ。

 浜氏は「アホノミクス」の内実を、「富国強兵」政策であると分析する。安倍政権は、金融緩和によって資本を大量に市場に投下する一方、その資本を軍事方面に積極的に振り分けようとしている、というわけだ。そのうえで、現在、参議院で審議中の安全保障関連法案が、「富国強兵」のうちの「強兵」政策に該当する、と浜氏は述べる。

 2015年8月27日、超党派の議連・立憲フォーラムと「戦争させない1000人委員会」が共催した院内集会で、浜氏が「安保法制・アホノミクス・日本経済の変容」と題して講演を行い、安倍政権の「富国強兵」政策を痛烈に批判した。

記事目次

■ハイライト

  • 日時 2015年8月27日(木) 17:00~
  • 場所 衆議院第一議員会館(東京都千代田区)
  • 共催 立憲フォーラム・戦争をさせない1000人委員会

アベノミクスは防衛費を増やすためだ――安倍総理が米国で語った本音とは

 安倍総理は、今年4月29日に、米国議会上下両院合同会議で演説を行った。浜氏は、安倍総理がその直後に訪れた、笹川平和財団米国(SPF-USA)でのスピーチに注目する。安倍総理はこの時のスピーチにおいて、アベノミクスと外交安全保障政策は表裏一体の関係にある、と述べていた。

 「強い日本は、安定して成長する経済に土台を置きます。若い世代の日本人が、自分と自分の国と、その両者の将来について、自信をもつところから始まります。私の外交・安全保障政策は、アベノミクスと表裏一体であります。

 厳しい財政の中にある日本は、防衛費を劇的に増やすことはできません。それでも、日米同盟をもっと機能させる努力はできます。自分の国を自分で守る意図と能力を持たない限り、日米同盟を強くすることはできません」

 安倍総理は、さらにこの日の質疑応答において、以下のように具体的に語っている。

 「日本は15年間、1997年からずっとデフレ経済の中に沈んでいました。その中GDP、名目 GDP は縮小し、そして世界におけるプレゼンスも小さくなってしまいました。

 その間、日本人は自信を失い、もう成長できない、こう思いはじめていました。私はこれを変えなければいけない、デフレから脱却をして、経済を成長させ、そしてGDP を増やしていく。それは社会保障の財政基盤を強くすることになりますし、当然、防衛費をしっかりと増やしていくこともできます。また、海外に対する支援も行うことができる。日本のプレゼンスを引き上げていくことができる。つまり、強い経済はしっかりとした安全保障、安全保障政策の建て直しに不可欠であると、こう考えています」

 このように安倍総理は、経済を成長させてGDPを増やすことが「防衛費をしっかり増やしていくこと」につながると述べているのである。浜氏はこの点に注目し、「アベノミクスを突き詰めていくと、防衛費を増やすということにつながる」と述べ、安倍総理の「アホノミクス」が実は経済政策のみならず軍事政策の一環であることを指摘した。

「戦後レジームからの脱却」とは、すなわち戦前に回帰するということ

(…会員ページにつづく)

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