「青春をバブルで過ごした我々は、政治を真剣に論ずる文化を作らなかった」――。
衆議院で強行採決され、審議の場を参議院に移した集団的自衛権行使容認にもとづく安全保障関連法案。「戦争法案」とも言えるこの法案に対し、国会前では、大学生有志による「SEALDs」が毎週金曜日に集まり、抗議の声を上げている。
この「SEALDs」に負けじと、大人たちも立ち上がった。年配の人々が「OLDs(オールズ)」を、中高年が「MIDDLEs(ミドルズ)」をそれぞれ立ち上げ、「暴走」を続ける安倍政権に対して「No!」の声をあげ始めたのである。
8月8日(土)、この「OLDs」と「MIDDLEs」が巣鴨駅前に集まり、合同で集会を開いた。「MIDDLEs」を代表して岩脇宜広氏が読み上げた声明文の中には、「立ち上がったSEALDsの若者たちへの、重い責任があるのは、わたくし達、親世代だ」とある。子供連れで家族で参加した男性はIWJのインタビューに対し、「昔の学生運動とは違ったかたちで、率直に自分たちの意見を表明しているのは感動しますね」と、「SEALDs」への共感を語った。
以下、岩脇氏がスピーチの中で読み上げた「MIDDLEs」の声明文を掲載する。
- 日時 2015年8月8日(土)
- 場所 巣鴨駅前(東京都豊島区)
「MIDDLEs」岩脇宜広氏スピーチ全文
岩脇「大日本帝国への呪縛が、我らが日本国の平和と民主主義支配を壊さんとしている。立ち上がったSEALDsの若者たちへの、重い責任があるのは、わたくし達、親世代だ。青春をバブルで過ごした我々は、政治を真剣に論ずる文化を作らなかった。
その結果、東日本大震災以来、市民間でフェアな対話が出来ず、差別主義者、歴史修正主義者がデマをまき散らして、安倍晋三を総理の座に戻すの、4割もの衆院選棄権率を出して許した。
議会多数制の専制でこの国を、戦争ができる『普通の国』にするのはいともたやすい。だが、いったんそうなれば、平和国家には二度と戻れない。
我が国憲法前文の平和的生存権、すなわち、殺さず、殺されず、戦火で飢えないことは、第二次大戦の死臭ただよう瓦礫のもと、世界のすべての人々の決意だった。国家理念として実現できたのは、日本国のみであり、平和は日本国民の崇高な使命である。
冷戦下の欧米も、独立戦争渦中の諸国も、どんなに願ってもかなわなかったことが、永久の戦争放棄だ。しかし、安倍自公政権のままでは、この国はわたくし達の愛する子らに殺し、殺され、独裁に隷属させる、悪夢の大日本帝国に戻ってしまう。
我々は、両親や祖父母の戦争体験を直接聴いた最後の世代でもある。戦争は悪だとする家族の堅い信念を共有し、種々の深刻かつ未解決な問題を抱えながらも平和主義国家日本を愛してきた。
わたくし達の子らに、愛せない国を残してはならない。今こそ、立ち上がろう。立ち上がり、自らの手で安倍政権を引きずり落とすことが、我ら国民のプライドだ。武器補給部隊の参戦を、後方支援だから安全だなどと、国民を騙す安倍政権は許さない。この国は、安倍晋三の私物ではない。この国の主人は、我ら主権者国民一人一人だ。
我々ミドルズは戦争法案に反対するとともに、廃案を求める」
▲集会には京都大学教授で「安全保障関連法案に反対する学者の会」呼びかけ人の高山佳奈子氏も駆け付けた