原発事故による被災者の体験は将来のエネルギー政策に反映されるのか? 専門家らが懸念を表明~シンポジウム 日本の排出削減目標議論の行方 2015.4.8

記事公開日:2015.4.14取材地: テキスト動画
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(IWJ・青木浩文)

特集 地球温暖化と原発ルネッサンス

※4月14日テキストを追加しました!

 国立環境研究所主催のシンポジウム「日本の排出削減目標議論の行方」が2015年4月8日(水)、東京都目黒区の東工大蔵前会館で開催された。

 国立環境研究所主任研究員の藤野純一氏、産業技術総合研究所主任研究員の歌川学氏、システム技術研究所所長の槌屋治紀氏、国立環境研究所社会環境システム研究センター室長の増井利彦氏、東北大学教授の明日香壽川氏の5名が発表者として登壇した。

■ハイライト

温室効果ガス排出削減目標――6回の会合でもいまだ結論に至らず

 2015年12月にパリで開催されるCOP21において、2020年以降の温室効果ガスの排出削減目標に関する議論が行われる。それに先立ち、今年2015年3月までに各国政府は約束草案を作成することが求められ、すでに数十カ国が提出を済ませている。

 一方、日本では、2014年10月から2015年3月までに計6回、「中央環境審議会地球環境部会2020年以降の地球温暖化対策検討小委員会・産業構造審議会産業技術環境分科会地球環境小委員会約束草案検討ワーキンググループ合同会合」(以下、「合同専門家会合」)が開催された。

 しかし、2015年3月30日に開催された第6回目の会合時でも、具体的な削減目標に関する事務局案は出されず、いまだ結論には至っていない。

「合同専門家会合」は蚊帳の外?――エネルギー政策は「総合資源エネルギー調査会」が議論

 温室効果ガスの削減目標値を決める議論は必ずしも「合同専門家会合」だけで行われていないと、同会合の委員でもある藤野氏は強調した。

 温室効果ガスの値を決めるためには、エネルギー政策について話をする必要がある。しかし、エネルギーに関する主な議論は、「総合資源エネルギー調査会」で行われているとのこと。

 たとえば、原子力については同調査会の「原子力小委員会」(委員長:安井至氏)が、省エネルギーについては、「省エネルギー小委員会」が議論をしている。さらに、「省エネルギー小委員会」の下に「買取制度ワーキンググループ」、「系統ワーキンググループ」があり、再生可能エネルギー固定価格買取制度の見直しなどの議論も主にこちらで行われているという。

 また、「長期エネルギー需給見直し小委員会(ベストミックス小委員会)」は、前経団連環境安全委員会委員長で小松製作所相談役特別顧問の坂根正弘氏をトップに据えながら、ベストミックスの議論を行っている。

 つまり、エネルギーに関する主な議論はこれらの「総合資源エネルギー調査会」で行われ、その結果が都度、藤野氏が参加する「合同専門家会合」に報告される。もちろん、それに対して意見やコメントは言うが、それがどのようにフィードバックされているかは追跡できていないと、藤野氏は語った。

 また、いつ、どのタイミングで、どういう議論が行われるのかという「総合資源エネルギー調査会」の議論のプロセスについて、事務局から提示されなければ、削減目標の議論ができないと藤野氏は抗議したが、現時点までにそれに関する明確な資料等は提出されていない。

将来へ向けたベストミックスの議論に原発事故被害者の体験は加味されるのか?

 第6回目の「合同専門家会合」における、藤野氏の発言原稿が紹介された。原稿には、藤野氏自身が福島県「飯舘村の40代の男性から直接聞いた話」として、次のように記されていた。

(…会員ページにつづく)

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