【続報3】「国会議員の方に質問主意書を出して欲しい」令状は闇の中?! 法的根拠がうやむやのまま幕を閉じた辺野古ゲート前での逮捕劇 〜弁護士が沖縄県警の検証を訴える 2015.2.24

記事公開日:2015.2.24取材地: テキスト
このエントリーをはてなブックマークに追加

(IWJ・ぎぎまき)

 2月23日午後8時頃、那覇地検は、沖縄平和運動センターの山城博治氏と宮古島市に住む谷本大岳(だいがく)さんを釈放した。刑事特別法違反の容疑で逮捕、送検されていた2人の供述をもとに、「勾留する理由なし」との判断を下したと見られる。

 不当逮捕を主張していた山城氏らの解放に、連日、名護署前で解放を求めてきた市民は、歓声を上げて喜んだ。しかし、山城氏がぶらさがり会見の中で「怪訝に思う」とコメントしていたように、県警が最後まで、2人に逮捕状を見せなかったことは理解しがたい。

 翌24日、IWJは弁護団の三宅俊司弁護士に改めて話を聞いた。

 逮捕状の発布が確認できないと首を傾げていた三宅弁護士からは、「22日の夜に出ていたようだ」と新たな報告があった。しかし、どこの裁判所が、何を根拠に、何の罪名で2人に逮捕状を出したのか、逮捕状の中身は未だに示されていないという。法的根拠は闇の中のまま、逮捕劇に終止符が打たれた形だ。三宅弁護士は、被疑者に対し逮捕状が示されないのは、異例のケースだと指摘する。

 「県警は、米軍が身柄を拘束した者は、逮捕せざるをないと思っているのでは」

 今回の逮捕劇で、法的手続きのあいまいさが浮き彫りになり、「県警も戸惑っているのでは」と23日のIWJの取材にも答えていた三宅弁護士は、このようにコメントした。

 つまり、逮捕の根拠が不明瞭なままに、県警は逮捕に踏み切った可能性が拭えないからだ。「米軍が県警の尻を叩いた」というわけだ。山城氏も今回の逮捕について、「米軍がしゃかりきになっている現れだ」と振り返ったように、新基地建設に反対する市民との間で緊張が高まれば、再び、刑特法が適用されかねない。法の乱用を防ぐためにも、「日本の司法制度に及ぶ範囲からは、チェックする必要がある」と三宅弁護士は指摘し、米軍が2人を拘束してからの県警の手続きを検証する重要性を訴えた。以下、その模様を掲載する。

▲山城博治、谷本大岳両氏が米軍基地内に拘束されている間、ゲート前では沖縄選出の国会議員らが説明責任と2人の釈放を求めた

どこの裁判所が発布したのか?! 逮捕状は闇の中

Q. 山城氏はぶらさがり会見の中で、逮捕状が示されなかったと訴えてたが、これはやはり異例のことなのか。

三宅俊司弁護士(以下、三宅・敬称略)「考えられないことです。通常は、身柄を拘束する根拠を、警察が示すわけですから。(今回2人に適用された)『緊急逮捕』であっても、最終的に逮捕状で被疑事実が確定するので、原則的には見せますね」

Q. 逮捕状は22日夜に出ていたということだが、逮捕状には通常、何が書かれているのか。

三宅「何月何日、何時頃、例えば、どこで基地に進入したとかですね。いろいろなことが書かれています。どういう理由で逮捕するかが分からなければ、被疑者が自分を防御する対象がありません。事実を自由に書き換えることだってできます」

県警は米軍が身柄を拘束すれば、逮捕せざるをえないと思っている節がある

Q. 逮捕状を示さないままの逮捕は問題ではないのか。

三宅「刑事特別法(以下、刑特法)の手続きには、複雑な点があるので、今回の件はきちんと明らかにすべきです。

 要するに、刑特法で米軍が身柄を拘束する。拘束後、今度は身柄を日本に引き渡す。引き渡すときには原則として、裁判所の令状を取った上で引き渡しを受けます。緊急で、裁判官の逮捕状が得られないときは、その旨を伝えて身柄の引き渡しを受け、その後、直ちに、裁判所の逮捕状を求める手続きをしなければいけません。今回は、どういう事実で逮捕状の請求を、どこの裁判所にやったのかも分かっていない。

 結局、米軍の身柄拘束の間は、事実上、日本の司法権の範囲を超えています。しかし、日本の司法が及ぶ時には、必ず、裁判官の逮捕状が必要になってくるわけで、そういう手続きがきちんとやられていたのかどうかを検証するべきです。2人が拘束されていた3時間の間に、逮捕状の請求をすることもできた。なぜ、しなかったのか。その辺りについて、警察は答えない。事実が確認できないんです。

 国会議員の方たちにはぜひ、質問書を出してもらって、この経過をきちんと検証すべきだと思っています。県警は米軍が身柄を拘束すれば、逮捕せざるをないと思っている節がある」

刑特法が乱用されないためにも検証が必要

(…会員ページにつづく)

アーカイブの全編は、下記会員ページより御覧になれます。

一般・サポート 新規会員登録

関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です