市民は過激派?! 辺野古から遠く離れた東京で我が身を守る、海保・防衛省職員らが撮影拒否〜新基地建設問題で福島みずほ・山本太郎議員が辺野古での過剰警備を追及 2015.1.23

記事公開日:2015.1.25取材地: テキスト動画
このエントリーをはてなブックマークに追加

(IWJ・ぎぎまき)

 「過激行動を行なっている団体から、組織に対する何かしらの行動があると困る」

 1月23日、参議院議員会館で行われた、辺野古新基地建設に関する行政交渉の場で、答弁に訪れた海上保安庁職員から、基地建設に反対する市民を『過激派』と捉えるような発言があった。

 メディア関係者に対して、職員の顔を撮影しないようにと要求した場面でのことだ。同席していた福島みずほ参議院議員が理由について尋ねると、驚いたことに海保からは「過激派から狙われると困る」という趣旨の発言が飛び出した。防衛省からも同様に、「不特定多数に向けて配信されるのであれば、誰が見ているか分からない」という、視聴者の中には、攻撃してくる人間もいると言わんばかりの主張が聞かれた。

 結果、申し入れの取材は終始、職員の顔から下のみの撮影に限られた。

 彼らは、何に怯えているというのだろうか。

 福島議員は、撮影不許可の根拠を問いただしたが、納得できる説明は聞かれなかった。「顔出しNG」の是非をめぐる議論に時間を費やしたくはないと、福島議員はそれ以上の会話を打ち切った。本題は、連日、辺野古海上で市民が受けている、海保職員からの暴力排除について両者を問いただす点にあるからである。

 しかし、IWJではこの問題を敢えて、取り上げて指摘したい。市民を、過激派だと断定するかのような海保や防衛省の姿勢は、昨年2014年9月の行政交渉の場で、辺野古で抗議する市民を『犯罪者予備軍』と見なした時よりも、悪化している。

■ハイライト

  • 辺野古で抗議活動をする市民に対する海保職員の対応の仕方について(海上保安庁)
  • 仲井眞前沖縄県知事の辺野古埋め立て承認を検証する第三者委員会の発足前に埋め立て工事を進めることについて(防衛省)
  • 日時 2015年1月23日(金)11:00~
  • 場所 参議院議員会館(東京・永田町)

遠く東京で、我が身を守るという情けなさ

 沖縄の民意は、選挙という民主主義的手続きを通して、辺野古新基地建設に「NO」を突きつけた。

 それも、一度の選挙だけではない。2014年1月の名護市長選、11月の沖縄県知事選、12月の衆院選では、基地建設を容認する自民党が全小選挙区で完敗を喫した。にも関わらず、政府は移設工事を強行に推し進め、民意を平気で踏みにじった。辺野古には沖縄県外からも、沖縄の民意を応援する市民が集まり、その数は日々、増えているように見える。

 冒頭に海保職員が述べた、撮影不許可の根拠とした「過激派」の存在は、紛れもなく、そうした基地問題の行方に高い関心を払っている市民に向けられている。

 辺野古海上では、上からの指示に従わざるを得ない、海保の若い職員たちが身体を張って市民と対峙している。明らかに行なわれている暴力行為は追及されるべきだが、その背後には、現場にしか分からない気遣いが両者の間に存在すると、基地建設に反対する海上行動のリーダー、仲宗根氏は語っていた。

 現場で身体一つ張らず、遠く東京でのうのうと働きながら我が身を守ろうとする姿勢は、情けないと言わざるを得ない。

負傷者の存在も行き過ぎた警備も一切認めない海保

 行政交渉の場では、虚しいばかりの、官僚答弁が続いた。

 海上では1月16日、カヌー隊のメンバーである男性が肋骨を骨折。19日には、女性が右手首に全治1週間の怪我を負っている。それについて、福島議員が確認すると、海上保安庁警備救難部の花村幸宏氏は、「そういう申告を受けたことはない」と、しらを切り、市民が負傷した事実を否定。カヌー隊メンバーの顔を、何度も海水につけてから確保しているという指摘については、「全てにおいて適切に処置をしている。そういうことは一切やっていない」と断言した。

 20日、「圧殺の海」の共同監督である、影山あさ子氏が海保職員に馬乗りされ、その写真が翌日の琉球新報に掲載されて話題になった。これについても花村氏は、「大きなカメラを両手で持ち、(女性は)立って撮影していた。船が揺れて危ない、座ってもらうため・・・。職員も自分の体勢を保つために・・・」と説明にならない弁明を続け、海保は一貫して、職員による行き過ぎた暴力行為を認めることはなかった。

 臨時制限水域外で市民を排除、確保する法的根拠を問われると、花村氏は昨年2014年9月同様、海上保安庁法18条をあげた。18条には、「海上における犯罪が行われようとする場合に、船舶を移動させることができる」とあるが、前回も、18条適用は、市民らを「犯罪者予備軍」と見なす行為であると、海保は厳しく追及されていた。

警備の指示はどこから来ているのか

 「抗議市民への排除はどこから命令が来て、実行しているのか」

 交渉に居合わせた、山本太郎参議院議員が追求すると、花村氏は、「(沖縄県の)第十一管区海上保安本部が仕切っている」と回答。第十一管区があげてくる警備計画を本庁が確認、了承すると述べ、現場で見られる警備内容への直接関与をそれとなく否定した。

 しかし、選挙結果を無視してまで、工事着工を目論む政府の強行姿勢が、現場警備の強度を左右していないわけがない、というのが大方の見方である。翁長雄志沖縄県知事は、近く、新基地建設のための埋め立て承認を検証する「第三者委員会」を発足する予定で、検証終了まで、工事を進めないように表明すると言われている。

 この点について、防衛省は、「普天間飛行場の代替施設の建設事業は、法に基づいて、承認を得ている。行政行為は適切に行なわれている」とする認識を示した。

山本太郎議員インタビュー「国会議員団の人間の壁でおさえるしかない」

(…会員ページにつづく)

アーカイブの全編は、下記会員ページまたは単品購入より御覧になれます。

一般・サポート 新規会員登録単品購入 330円 (会員以外)

関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です