「兄はこう言いました。『戦争は、人間を人間じゃなくする、ということは知っていたけれど、戦争の準備をする人も、人間じゃなくなるんだよ』と」――。
沖縄の米軍普天間基地の名護市辺野古への移設計画をめぐり、沖縄防衛局は、1月15日(木)、海上でのボーリング調査のための準備作業を開始した。キャンプ・シュワブの砂浜から重機を使い、埋立予定地に浮き桟橋を設置したのだ。
これを受けて、シュワブゲート前では抗議集会が開かれ、基地に出入りするトラックなどによる資材持ち込みを阻止すべく、夜を徹した運動が続いている。道路に横たわり、車両の走行を止めようとする住民が警察官と揉み合いになる画面も見受けられた。報道では、80代の女性が転倒し、頭部を打ってけがをしたとの情報も伝えられている。
沖縄県警と機動隊約200名が動員され、強行されている作業には、全国的な反発が生まれており、各地で反対集会が行われるなか、1月16日(金)18時半より、「県民の総意『辺野古新基地建設NO!』を踏みにじるな!! 1・16防衛省前緊急抗議行動」が行われた。現在、辺野古基地建設のための工事再開が強行される状況に対し、シュワブゲート前では24時間体制で県民が反対の声をあげ続けている。機動隊による不当な暴力や強制排除に抗議する、「辺野古への基地建設を許さない実行委員会」の主催で開催された。
防衛省前に集った参加者は、それぞれの手に基地移設反対を訴えるプラカードを持ち、シュプレヒコールに声をあわせた。また、有志でスピーチを行い、防衛省の代表に向けて抗議の申し入れ文を読み上げる参加者もいた。勤務が終わり、帰宅する防衛省官僚のみならず、週末の街路を行く通行人たちにも、辺野古での不当な圧力への注意と、沖縄県民への共感を呼びかけた。
- 日時 2015年1月16日(金) 18:30~
- 場所 防衛省前(東京都新宿区市谷)
- 主催 辺野古への基地建設を許さない実行委員会(詳細)
「すでに大量の土砂が運び込まれている」――建設開始への懸念
辺野古へ乗り込み、抗議行動を続けている加藤宣子氏がマイクをとって、現地の状況を伝えた。
「昨日の報告では、(沖に出て埋め立て反対を訴える住民による)カヌー18、19艇が拘束されました。(当局による)かなりの暴力行為があったと聞いています。ゲートは完全封鎖をしていて、基本的に車両の出入りはしていません。新型のフロートなどは、まだ入れられていないようですが、すでに大量の土砂が運び込まれているため、それは心配だ、という声が上がっています。
もう一つ、良い報告ですが、日本中ので辺野古基地移設反対活動をしている人々が動いてくれているおかげで、名護警察はファックスと電話がパンクしている、ということです」
工事を請け負う大成建設への抗議運動
また、加藤氏は、自身が共同代表を務める団体による株式会社大成建設への抗議運動の状況についても語った。大成建設は、辺野古基地建設のための仮設工事を受注しており、社に直接乗り込んでの抗議について明らかにした。
「私がやっている『Stop! 辺野古埋め立てキャンペーン』では、(仮設工事を受注している)株式会社大成建設への抗議を行いました。1月14日、午後4時半から、35名の参加者が集まり、担当者が降りてきて、『2名だったら話しをする』と言われたので、代表者が社の中で、辺野古の状況について、『こんなことが起きているが、知っていますか』、『こうした状況に誠実に向き合わない限り、大成建設がこんなひどいことをしているんだ、ということが、今後どんどん広がっていきますよ』ということを念押ししておきました。
参加者のなかには、『大成建設は一兆円くらいの利益があり、(辺野古基地建設での収益である)60億円くらい、諦めてもいいじゃないか』という人もいて、おお、そうなんだ、と感心しました」
「利益は、ほとんど本土に還流される」――“基地マネー”の行き先