沖縄に基地はいらない――「権力の総動員」に対抗する「民意の反乱」 第6期沖縄意見広告運動の集会開催 2014.10.28

記事公開日:2014.11.3取材地: テキスト動画
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(IWJ・藤澤要)

 沖縄意見広告運動(第6期)の主催による集会「辺野古新基地ノー!」が10月28日(火)、東京都千代田区の日本教育会館で開かれた。

 集会では、衆議院議員の照屋寛徳氏、沖縄意見広告運動(第6期)の全国世話人で自然環境保護活動に取り組む花輪伸一氏、元国立市長の上原公子氏が登壇。また、会場にかけつけた、砂川事件の再審を求める「伊達判決を生かす会」の土屋源太郎氏もスピーチした。

 照屋氏は、沖縄防衛局が設けた立ち入り制限区域を明示するブイやフロートの設置が原因で、貴重なサンゴ礁が損傷している事件を報告。また、新基地反対の抗議活動を続ける市民を強圧的に排除する海上保安庁の姿勢を問題視し、「海賊」のようだと非難した。

 花輪氏は、「環境、人権、平和は一体」との観点から、辺野古新基地建設に強く抗議。「脱原発首長会議」の事務局長もつとめる上原氏からは、原発と基地の立地自治体に共通する「依存」構造の指摘があった。

 土屋氏は、砂川事件に対する再審請求の意義を強調。「憲法の上位に、安保協定・地位協定を置いている」ことの根拠としてある砂川事件の最高裁判決に疑問をぶつけることは、「日本の基地反対闘争にとっての、どれだけ大きな力になるか。日米安保体制の根幹を揺るがす問題になっていく」と語った。

 沖縄意見広告運動は、普天間飛行場の閉鎖、辺野古新基地建設の中止、そして日米軍事同盟の「根本的見直し」を求めて活動。ノーム・チョムスキー氏など、海外の知識人の協力も受けた第5期の意見広告は、米ワシントン・ポストや国内4紙に掲載された。

 第6期の意見広告は、沖縄県知事選の結果を受けて、来年の方針を決めていく予定。東アジアの新聞との連携を深めるべきだという意見も、賛同人から出ていると発表があった。

■ハイライト

  • 映像で観る辺野古現地の闘い(ビデオ放映)
  • 辺野古現地よりの報告
  • 講演 照屋寛徳議員
  • 報告 花輪伸一氏(全国世話人)、ほか
  • 講演 「沖縄県知事選と住民自治」 上原公子氏(元国立市長)

「海保ではなく、海賊だ」

 「昨日、沖縄防衛局に抗議しにいってきた」。

 10月27日、衆議院議員の照屋寛徳氏、沖縄選出・出身の野党国会議員、ヘリ基地反対協議会の安次富浩氏らは、沖縄防衛局へ抗議に出向いた。何に対する抗議か。照屋氏は次のように語る。

 「国家権力が権力を総動員して、辺野古に新基地を作るために、その前提でボーリング調査をやっております。その調査をする上で、キャンプ・シュワブ前の立ち入り制限水域を一方的に拡大して、そして、フロートやブイを設置した。

 ところが、台風19号の影響でフロートの一部が陸へ打ち上げられ、固定するワイヤが切れ、こともあろうに、貴重なサンゴを大規模に損壊させた」

 キャンプ・シュワブ前や、辺野古湾海上では、新基地建設に反対する市民の行動が続く。しかし海上保安庁は、行動に出る市民を強圧的に排除しようとする。「エンジン付きのゴムボートでカヌー隊を過剰に、そして威嚇的に取り締る、拘束をする。そんな不法不当なことを繰り返している」。

 市民ばかりではない。現場のできごとを伝えようとする報道関係者も、同じように排除される。「報道の自由、取材の自由を、平気で妨害する」。照屋氏は、海上保安庁に対し「ぼくにい言わせれば、海保ではなく、海賊だ」と抗議したという。

 沖縄住民は新基地建設に「ノー」を突きつけていると照屋氏は語り、日本政府の姿勢は、それとまったく乖離するものだと断じる。「名護市長選挙2回、市会議員選挙2回、そこで示された民意をまったく無視して、日本政府が国家権力を総動員して強行しようとしている」。

 照屋氏は、11月16日に投開票される沖縄県知事選挙は「民意の反乱」の発露となるだろうと述べる。「民意の反乱、これは必ず起きます。起こさなくちゃならない」。

「環境、人権、平和は一体」

 辺野古の埋め立てにより、自然環境が破壊される。自然環境の破壊は、土地に暮らす人びとの生活の破壊へと連鎖する。さらに辺野古の場合は、軍事基地によって環境が破壊される。

 「沖縄のための日米市民ネットワーク」の花輪伸一氏は、「環境、人権、平和は一体として考えなければならない」と訴える。

 「自然を破壊する、環境を破壊するということは、同時にその地域に住む人びとの生活も破壊するということ」。つまり、環境破壊は「安心・安全な暮らし」を享受するための人権が損なわれることを意味する。

 「そして、環境破壊が軍事基地によって行なわれる場合は、これは平和を破壊することでもあります」。

「まったくいいかげん」なアセスにより、危機に瀕する沖縄の生物多様性

 動物地理区から見れば、琉球列島は北の「旧北区」と南の「東洋区」との境界に位置する。「北の要素と南の要素が両方入っている。ですから非常に多様性の高い島々になっているわけです」。

 また、地殻変動と水位の変化により、大陸と地続きである時代が琉球列島にはあった。大陸からやってきた生物が、後には島となった琉球に取り残される。このため、琉球列島には固有の種が数多く生息する。絶滅のおそれが高いものも多い。「地球環境を代表する一つの地域、それが琉球だということです」と花輪氏は語る。

 琉球の生物多様性を語る上で、しばしば引き合いに出されるジュゴン。「ジュゴンを守れ」は、スローガンとして定着している。しかし花輪氏は、ここに込められているのは、ジュゴンの保護だけではないと語る。

 「ジュゴンの住む海を守ることができれば、その周辺に住む人々の暮らしも守ることができる。『ジュゴンを守れ』というのはそういう意味。ジュゴン以外の生物も守れるし、ジュゴンが生きていける地域には、人々も安全で安心な暮らしを営むことができる」。

 新基地の建設は、ジュゴンの餌場が消失することを意味する。当然、住民の生活も軍事演習によって脅かされるおそれがある。基地建設が環境に与える影響は、きちんと調査されているのか。

 「アセスはまったくいいかげん」。花輪氏は切り捨てる。環境アセス現地調査の前に、予備調査や現況調査が実施されるが、海底にはビデオカメラや録音機など、海底に100何カ所にもわたり設置された。この結果何が起きたか。

 「もうジュゴンはびっくりして、そこからいなくなったわけですね。そして、『ジュゴンがいないから埋め立てても影響がない』というのがこのアセスの結論です」。

基地と原発に共通する「依存」の構造

 「基地に依存する限り、やはり構造は原発立地自治体と同じ」。元国立市長の上原公子氏は、「脱原発首長会議」の事務局長を務める。「基地に依存する限り、原発に依存し続ける限り、経済的自立はない。それは経済的自立をしようという頑張りも失わせてしまうから」。

 上原氏は、原発の立地自治体には、再稼働を受け入れなければ「干上がってしまう」という恐怖があると語る。「一基受け入れたら、2基、3基と受け入れないと、食べていけないと、思い込んでいるんです」。

 沖縄に基地が必要だという主張も、同じ構造から生まれていると上原氏はみる。「だから、基地を推進する人たちは、基地なくしては、もう生きていけないと思い込んでいる」。

沖縄の問題は、日本全体の問題

 「沖縄の問題が、日本全体の問題としてあることは、皆さんもお分かりだと思う」。これは、集団低自衛権行使を容認する閣議決定についての上原氏の発言。どういうことか。

 「集団的自衛権により、私たちが争っていない国から敵国とみなされる可能性が出て来たわけです。戦っていない相手からの報復が予想される」。

 日本を敵国としてみなす場合、その具体的な攻撃対象はどこか。「国際法によれば、基地は攻撃してよいことになっている」と上原氏は指摘。「沖縄だけでなく、全国各地、重要な基地のある場所は、当然、攻撃の対象になります」。

 これに加え、全国各地に散らばる原発が攻撃対象になる可能性も否定できない。「原発一つ攻撃すれば、日本は壊滅」。

 「日本国民全部が、危機にさらされる状況が、もう目の前にある」。上原氏は、沖縄の基地問題は「ひとしく、沖縄の問題ではなく、私たちすべてをかけて、考える問題」だと訴えた。

「憲法の上位に、安保協定・地位協定を置いているという結果」

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