「吉田調書」をめぐり国民不在で行われる朝日vs産経報道、東電株主代表訴訟の原告らが調書公開を求め国を提訴 2014.8.20

記事公開日:2014.8.21取材地: テキスト動画
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(IWJ・原佑介)

特集 3.11

 「吉田調書」の公開を求め、東電株主代表訴訟の原告らが8月20日、国を相手どり、東京地裁に行政訴訟を起こした。原告らは同日、司法記者クラブで記者会見した。

 吉田調書とは、福島第一原発事故の原因究明にあたった政府事故調が、現場責任者として当時事故対応にあたっていた故・吉田昌郎所長を聴取した記録のことだ。朝日新聞がスクープしたことで調書の存在が知れ渡った。

 その後、東電株主代表訴訟の原告らは今年6月に、吉田調書とともに他771名分の調書の情報開示請求をした。政府は、本人の同意が取れたものは順次公開する方針を示したが、吉田調書については本人が故人であることから同意を得られないとし、非開示にすると決定した。

■ハイライト

  • 日時 2014年8月20日(水)
  • 場所 司法記者クラブ(東京都千代田区)

吉田調書は情報公開法が定める開示義務に該当する?

 訴状は、吉田調書について「畑村洋太郎・政府事故調委員長は、吉田調書の他に吉田氏の公式の調書がないことから『貴重な歴史的資料』と呼んだとされる」と重要性を確認。二度と原発事故が起きないよう、事故の原因を究明することが日本の責務であり、そのためにも吉田調書の公開は必要であるとしている。

 弁護団の海渡雄一弁護士は会見で、吉田調書の意義について、「(調書は)社会的に注目を集めている。東電内外の接点にいた人がどう語ったのか、みんな知りたいと思っているだろうし、事故を二度と繰り返さないための共有財産だと思っている」と位置づけ、調書の開示は、原発推進、反対の立場を越えて、国民が望んでいるのではないかと主張した。

 内閣官房は非開示の理由について、吉田氏がすでに故人であり、調書の公開に同意するか否かの確認が取れない、と説明しているが、情報公開法5条は「人の生命、健康、生活又は財産を保護するために、公にすることが必要であると認められる情報」の開示を義務付けている。

 海渡弁護士は、吉田調書がまさにこの開示義務に該当するとし、「これは裁判所に対しても説得力があるのではないか」と自信をみせた。

 朝日に続き、産経新聞も吉田調書を入手したとして、その中身を報じているが、朝日新聞と調書の内容が食い違っていることがわかり、波紋を呼んでいる。海渡弁護士は、「まさしく我々に見えないところでそういう論争が行われていること自体が、大変なフラストレーション。正確な判断をするためにも、この情報が公開されなければいけない」と述べた。

「事故処理が進まないのは事故原因が明らかになっていないから」

(…会員ページにつづく)

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