福島原発事故当時の東電幹部らを、業務上過失致死容疑などで告訴・告発した「福島原発告訴団」が7月15日、東京第五検察審査会へ上申書を提出した。
告訴団は2013年10月、東電役員ほか政府関係者全員を「不起訴処分」とした東京地検の判断を不当とし、検察審査会に妥当性を審査するよう申し立てていた。
半年が経っても何の進展も見られなかった矢先、突然、審査会事務局は告訴団に対し、申し立て内容の釈明を求めてきたという。
「審査の決議が近いのではないかとも受け取れ、危機感を持って上申書を提出した」
上申書提出後、司法記者クラブで記者会見を開いた告訴団の保田行雄弁護士は、突然の検察審査会の動きに強い懸念を示す。検察審査会はこれまで一度も、申し立て人に対し事情聴取を行っておらず、被害当事者の声を聞くことなく決議される可能性が否定できないからだ。
記者会見に出席した弁護団長の武藤類子さんは、被害者の声を代弁するように、切実な思いを訴えた。
「福島は今、大変ひどい状況にある。放射性物質を閉じ込めることもできていない。汚染水は海に流れ続けている。避難先から家に帰れない人は13万で、震災関連死は、認定された人だけでも1700人いる。自殺は被災3県で福島県が一番多く、増加しています」
告訴団が上申書を提出したのは、2013年10月、11月に続き、今回で3回目となる。武藤さんは提出に至った経緯を次のように語った。
「どうして加害者の罪が問われないのか。司法の場でちゃんと責任を問いたい。再度分かってほしいと思い、上申書を提出した」
上申書の中で告訴団は、審査会の委員の前で発言する機会を求めている。東京に住む審査会の委員らに、福島の現実を理解して欲しいという思いからだ。
「どうして加害者の罪が問われないのか。司法の場でちゃんと責任を問いたい。」と。この被災者の真っ当な意見を都民は聞かなくてはいけない。