7月2日10時30分より、2014年度第15回原子力規制委員会が開催された。7月3日で運転開始後から30年を経過する九州電力川内原発1号機は、新規制基準適合性審査の状況を踏まえつつ、引き続き高経年化対策の審査を進める方針が確認された。
7月2日10時30分より、2014年度第15回原子力規制委員会が開催された。7月3日で運転開始後から30年を経過する九州電力川内原発1号機は、新規制基準適合性審査の状況を踏まえつつ、引き続き高経年化対策の審査を進める方針が確認された。
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東日本大震災により損傷した東北電力女川原発の天井クレーン原因調査報告書に対して、規制庁は評価を終え、事業者の原因分析や今後の対応策が妥当だと判断し、規制委員会に報告した。
2011年3月11日、東北地方太平洋沖で起きた地震により、東北電力女川原発1号機の天井クレーンの走行部軸受が損傷した。東北電力は以下の経緯で対応し、報告書を提出している。
東北電力は原因について、地震の揺れが軸受の破壊強度を超えて損傷したと推定している。クレーン軸受の構造の違いから、1号機のクレーンのみが損傷し、2、3号機は強度が強く損傷しなかったという。そこで、東北電力は1号機を、2、3号機と同じ構造のものに変更している。
規制庁は、東北電力の原因分析、対応策を妥当なものと判断し、本事象はINESレベル0と評価した。
クレーンは、燃料の上に落下しないよう、落下に対して規制庁が厳しい安全要求をしている。しかし、走行に対してはそうではない。耐震クラスはBクラスだ。にもかかわらず、より安全な対処を取った東北電力の前向きの姿勢を評価したいと、規制庁の山形浩史 安全規制管理官は考えている。
クレーンの軸受が損傷する位の大きい揺れがプラント全体にもかかったはずだ。そこで、プラント全体の影響についても調べるよう、田中俊一 委員長が指示し、山形管理官は女川1号機の審査申請はまだだが、今後、定期的な保安検査でしっかり調べると答えている。
大島賢三委員も懸念を示し、太平洋側にある14基の原子炉のうち、福島第一原発の1~4号機を除いた10基について、耐震クラスSクラスからBクラスにかけて、女川原発以外は問題なかったのかを質問した。事務方は「提出された復旧計画を評価しいるところだ」と回答。これから調べることになるということだ。
7月3日に運転開始後から30年を経過する九州電力川内原発1号機について、法令に基づいて高経年化技術評価を行うが、実際に運転するには新規制基準の適合性審査を行わなければならない。この方針が確認され、了承された。
発電用原子炉は運転開始後から30年を経過する際、その後の10年間にわたる保守管理の方針を事業者が策定し、保安規定に入れ、規制委員会が高経年化技術評価を行うという法律上の建てつけになっている。さらに、高経年化評価は、新規制基準の工事計画変更の認可が終わっていなければならない。
しかし、同原発は、まだ工事計画変更の認可が終わっておらず、当分時間がかかると規制庁は考えている。そのため、新規制基準適合性審査の状況を踏まえつつ、引き続き高経年化対策の審査を進める方針だ。
一方、同原発の高経年化技術評価は、”運転を前提とした申請”として2013年12月18日に申請されている。運転を前提としているが、同評価が終わっても、新規制基準適合性審査が完了しなければ、運転を再開することはできない。
以上に示された事務方からの方針を確認し、委員から特に意見はなく了承された。
民間規格の活用として、日本機械学会の「溶接」に係る技術評価、検討の進め方等について事務方が案を示し、了承された。溶接規格2012年版について、技術評価が実施される。
設計・建設規格や材料規格と同じ流れで進められ、外部専門家も含む検討チームで検討を行い、ヒアリング、技術解釈文書案を策定し、パブコメを募集して議論がされた後に決定する。
「原子炉のトラブルでは溶接の部分が多い」と田中委員長は述べ、現在ある多くのものが古い規格(2007年版の溶接規格)で作られていることから、新しい規格(2012年版)で問題ないかを明らかにするよう指示。「問題があれば何らかの対策が必要になる」とコメントした。