汚染水漏洩の東電対応について規制委「その場限りの対応」と苦言~2014年度 第11回原子力規制委員会 2014.6.11

記事公開日:2014.6.11取材地: テキスト動画
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 2014年6月11日10時30分より、2014年度第11回原子力規制委員会が開催された。6月2日に発見された、東京電力福島第一原発の4000トンノッチタンク群からの汚染水漏洩における、東電の水処理に関する対応について、「その場限りの対応をしており、持続可能な水処理対策が急がれる」との意見が上がり、「それが今回の教訓だ」ということが再確認された。

■全編動画

  • 日時 2014年6月11日(水) 10:30~
  • 場所 原子力規制庁(東京都港区)

議題 1 国際規制物資の使用等に関する規則の一部を改正する規則等の制定等について

 日トルコ原子力協定、日アラブ原子力協定の発効に伴い、国内担保するための規則改訂が、4月23日の第5回規制委員会で承認され、4月23日から5月23日まで、パブリックコメントの募集が行われた。その結果をまとめ、委員会に報告があり、議論された。

 パブコメでは、10件の意見が寄せられ、不明瞭な箇所の指摘や、誤記の指摘が主だった。

 また、今後の二国間協定に伴う規則や告示の形式的な改正は、簡易な変更であるため委員会で議論することなく、長官専決処理とすることが事務方から提案があり、了承された。

議題 2 空間線量率の分布状況及びその推移について(サーベイメータによる地上での空間線量率の測定)

 実施している空間線量率の測定結果について、特にサーベイメータによる結果を、土地の利用状況に注目して取りまとめた結果が報告された。

 自動車による走行サーベイにて、「道路上およびその近傍」を測定した。また、人がサーベイメータを用い、「人為的な『かく乱』の少ない平坦な開かれた土地」(人があまり立ち入らない場所)を測定した。その上で、事故から3ヶ月後となる2011年6月の結果と、事故から2年8ヶ月後の2013年11月ごろとを比較した。

 その結果、空間線量率の”物理的な減衰”に比べ、速く減衰していること、道路上のほうが、より速く減衰していることが分かった。

 中村佳代子委員は、今後は生活圏でも走行サーベイし、情報を提供するようなモニタリングが「より役に立つ」とコメントした。

 更田豊志委員は、空間線量率のデータをどう読み取るかが重要だとコメントし、「物理減衰より速く減衰しているが、(核種が地下に)しみ込んだのか、側溝などに移動しているのか」などと疑問を口にした。その上で、測定結果から何を導き出すか、引き続き努力するよう指示した。

 田中俊一委員長は、住民が(帰還して)戻りつつあることから、空間線量率と個人線量を結び付けるよう、生活支援チームなどと協力して検討するようにうながした。さらに、報告されたデータの特異点(減衰トレンドから外れている結果)について、新たな知見になるため、詳細な調査を行うよう指示した。

議題 3 発電用原子炉施設保安検査実施要領の制定について

 全国の原子力発電所の保安検査は、手順書として実施要領が作られている。新たに、「重大事故発生時の対策要因の教育訓練が法令で義務付け」られ、原子力規制委員会で年度ごとの「保安検査の重点方針」が決められることになった。

 これらを含めた保安検査実施要領が策定され、委員会に報告された。

 更田委員から、違反事項についてはグレード分けし、取り扱いが決められている。今後は「良いこと」もグレード分けして、取り扱いを決めることが重要だとコメントした。それを事業者の活動に反映し、保全活動において良い影響を与えられるよう期待するとした。

 田中委員長も、「良いこと」が「事業者の安全への取り組みの一つの指標になる」とコメントし、事業者の安全に対する前向きな取り組みをプロモートするような考え方で、保安検査の実施要領を考えるようにと指示した。

議題 4 東京電力福島第一原子力発電所における4000トンノッチタンク群から堰外への漏えいについて

 東電福島第一原発にて、6月2日に発見された4000トンノッチタンク群からの汚染水漏洩について、法令報告事項となり、規制庁は報告を受けた。それを委員会に報告するもの。

 4000トンノッチタンク群の周りにある「タンク堰」は、ドレン弁が「開 open」だったことに対し、田中委員長は、「なんのための堰だ」という議論があったが、ノッチタンクは考え方に誤りがあるのではないかと疑問を呈した。さらに、福島第一原発の「水処理」に関しては、「その場限りの対応をしており、持続可能な水処理対策が急がれる」との意見が上がり、「それが今回の教訓だ」ということが再確認された。

田中委員長、国際アドバイザーとの意見交換について報告

 予定議事の終了後、田中委員長は6月9日から10日に行われた、国際アドバイザーら3人と規制委員会との丸2日間の意見交換について、簡単に報告した。

 意見交換では、防御措置のあり方や廃炉など、幅広いテーマを扱ったという。海外のアドバイザーとの懇談は非公開で、今後も非公開にする方針。ただし、今回の懇談の結果は、書面の形でアドバイザーらに出してもらい、公開することになったということだ。

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