2014年5月28日10時30分より、2014年度第9回原子力規制委員会が開催された。各自治体が防災計画や避難計画を作成する際に参考となる被曝線量の試算データが示された。今後、関係自治体に情報提供するとともに、避難計画作成に活かすことを想定している。
2014年5月28日10時30分より、2014年度第9回原子力規制委員会が開催された。各自治体が防災計画や避難計画を作成する際に参考となる被曝線量の試算データが示された。今後、関係自治体に情報提供するとともに、避難計画作成に活かすことを想定している。
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原子力規制委員会設置法第24条に規程されている、国会へ報告する年次報告について、事務局から報告書案が示され、委員会で承認された。来週に閣議決定され、その後国会に報告される予定だという。
4月23日に開催された”第5回 原子力規制委員会”にて、事務局が骨子を示した際、委員から「文章の主語をはっきりさせること」「平成24年度、平成25年度の実績を区別して書くこと」という二つの指示が出ていたものを反映している。また、与党環境部会等にも説明し、基本的に了解を得ているということだ。
関係自治体が防災計画や避難計画を策定するにあたり、参考になるデータを示したいと、かねてから田中俊一委員長が発言していた。それを受け、事務方が放射性物質の放出時における予防的防護措置の効果について試算し、その結果について報告した。
この試算は特定の場所を指定したものではなく、セシウム137が100テラベクレル放出されると仮定した場合の試算を行った。
その結果、全身被曝は、PAZ(5km圏内)ではIAEA基準(緊急防護措置実施に関するIAEAの判断基準)である100mSv/週を上回るが、屋内退避、さらにコンクリート構造物内に退避する方が被曝量を下げられる。
一方、甲状腺被曝線量は、PAZのみならず、EPZ(8~10km圏)でも、安定ヨウ素剤服用に関するIAEAの判断基準である50mSv/週を上回る。そこで、防護措置として屋内退避すること、さらに安定ヨウ素剤を併用することでPAZ内でも50mSv/週を下回るまで被曝線量を低減できることが示された。
「緊急時の防護対策をつくるのに参考データとして有効」だと田中委員長は述べた。中村佳代子委員は、「これは自治体への押し付けではなく、避難計画をつくるための一つのツールだ」とコメント。大島賢三委員は「今日の試算はひとつの参考。規制委なり国がもっと親身になって考える必要がある」とコメントした。
田中委員長は「各自治体がこのデータを有効利用し、住民が安心できる計画を作ることを期待する。規制委はできるかぎりの技術的サポートはしたい」との認識を示した。
■jaikoman氏によるツイート