もんじゅの保安規定違反に規制委「同じことが繰り返されている。問題は根が深い」~第7回原子力規制委員会 2014.5.14

記事公開日:2014.5.14取材地: テキスト動画
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 2014年5月14日10時30分より、2014年度第7回原子力規制委員会が開催された。2013年度第4四半期の保安検査の実施状況が報告され、もんじゅの点検漏れという保安規定違反が認定されたことを受けて、田中俊一原子力規制委員長は「同じことが繰り返されている。もんじゅの問題は根っこが深い」との見解を述べた。

■全編動画

議題 1 「NRA技術報告」の作成等について

 旧JNESで行っていた安全研究は、JNESとNRA(原子力規制庁)の統合により、原子力規制庁長官官房技術基盤グループに引き継がれた。今後、技術基盤グループで行う安全研究の成果の公表の方針について、事務局から方針案が示され、議論された。

 内部査読を行い公表するとともに、査読付きの外部の論文誌への発表も奨励することが発表された。中村佳代子委員は、「人材育成、人材確保につながる」と述べ、更田豊志委員からは「研究成果・論文を外部の評価にさらしてほしい」との意見が出た。委員らからは、賛成と期待の意見で承認された。

議題 2 平成25年度第4四半期の保安検査の実施状況について

 2013年度第4四半期の保安検査の実施状況について、委員会に報告があった。特に高速増殖炉もんじゅの保安規定違反が大きく取り上げられた。もんじゅの保安規定違反は、4月2日の2014年度第1回原子力規制委員会で中間報告としても報告されている。

 もんじゅの保安規定違反とは、機器の点検漏れがあり”不適合管理”というカテゴリに区分けしなければいけないことを、保全計画書の誤記として訂正印で訂正していたというもので、今回が初めてではない。

 更田委員は、「もんじゅを運転・管理する組織の安全文化が問題。所長承認を得ているが、承認するに必要な情報を知らされていたのだろうか」と疑念を示した。さらに、田中委員長は「同じことが繰り返されている。もんじゅの問題は根っこが深い」と顔を曇らせた。

 その他、発電所について、”監視”に該当する事象が2件(泊原発、浜岡原発)、核燃料施設等では保安規定違反はないことなどが報告された。

議題 3 平成26年度の保安検査の実施方針について

 4月2日の規制委員会で、2014年度の保安検査の重点方針が決定されたことを受け、各地の規制事務所で作成した「平成26年度保安検査の実施方針」について、委員会に報告があった。以下の施設についての方針が示された。

(1)(福島第一を除く)実用発電用原子炉施設
(2)福島第一原子力発電所
(3)高速増殖炉もんじゅ
(4)核燃料加工施設
(5)試験研究炉
(6)再処理施設
(7)核燃料物質の使用施設
(8)廃棄物埋設施設
(8)廃棄物管理施設
(9)廃止措置中施設

 大島賢三委員は、安全文化の醸成につながる保安検査は重要だと前置きし、「経営者の積極的な関与」を確認するため、ルーティンの保安検査以外にも、事業者のトップレベル・マネジメントレベルの人にアクセスすることを検討するよう事務局に要請した。石井康彦 安全規制管理官は、「保安検査は法律に基づく検査。その中でできることを検討していきたい」とこれを受けた。

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